意味深な響きだった。シンユウ 心友 でもいい響き。爽やかでもなく、ジレンマを抱くわけでもない、不思議な気持ちになる。悪くない気持ちだ。
すっと体の熱を奪い、そしてまた溶けて行ってしまうような、不思議な感覚に襲われる作品。しかしそこには、確かに作者の優しさがあふれている。描写も美しい。ライトノベルのテンションに疲れ、文学を読みたくなった人は是非。
読了と共に息が漏れる。ああ、と。はぁ、と。溜息にも似て、だけれどもっと様々な感情が入り乱れたそれは、きっと言葉にできなかった言葉の残滓――その集まりなのだ。その短い文章の中に、それだけの感情を呼び起こす物語が詰まっている。何もかもが魅力となって読者を惹起する。その言葉にすることも難しい切なさと愛しさを、どうか感じていただきたい。
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