完成度の高い女子高生青春アクションが欲しければ、これを読め!!

面白かった――ッ!!
読みやすい文章、非常に丁寧な描写の積み重ね、抜目のない伏線の回収といった高い構成力に加え、スピード感と迫力に満ちたアクションの描写、小難しすぎずすっと頭に入ってくる格闘知識の数々。そして活き活きとした生命力と魅力にあふれた登場人物たち。間違いなく名作です!
地道な特訓の描写は、人によっては退屈かもしれませんが、私は格闘技うんちく満載で面白く読めました。苦しさに耐えながら、なにくそとかじりついて行く主人公ユーハの姿に、拳を握りしめて応援してしまいます。
ストーリーは概ね紹介文にあるとおりに進んでいくのですが、いよいよショーコとの対決となった段に、〝ある不安〟があり――そこからの捻りと返しがまたうまい。非人間的な暴力女といったおもむきだったショーコが、それまでの印象を一気に裏切って素顔を見せるくだりは、伏線の回収と相まってぐぐぐっと引きこまれました。それに合わせて、ネコにもそれまで隠していた事情が明らかになり……。
この作品はタイトルのセンスが素晴らしく「これだけでもう勝ったようなものだな」と思っていたのですが、掛け軸の言葉として作中に登場するそれに対する、ユーハの意識の変遷もまたドラマの良いアクセントです。
キャラクターの成長、努力、勝利、友情。真っ直ぐで美しい、王道の青春が、あまりにも眩しく、爽やかです。とても良い物を読ませていただきました!

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