人工知能は倫理の夢を見るのか

 専門的な内容も多く含まれるにも関わらずけして難解ではなく、これはすごいぞ、とレビューを書いています。文章もさることながら、構成も素晴らしく、月並みな表現ですが引き込まれました。
 人工知能が人間を超えたとき、何が起こるのか。人工知能が人間に弓を引くとき、人間はどう対処するのか。この命題はSFの王道ですが、この小説では雑な表現をすれば『倫理』という答えがでます。『倫理』はもしかしたら『人類愛、人との結線』とも言えるかもしれません。しかしながら人類は母親の愚痴を『聞いてあげる』主人公のように、時には愛することに努力を必要とし、けして無条件ではありません。どうしても愛を注げないことだってあるでしょう。人工知能に教えるべきは無条件で無差別な『倫理』なのに。だからこそ『倫理』を人工知能に教えることができた時、人類は新たな進化を遂げているのかもしれません。
 長々と駄文を失礼いたしました。とても面白かったです。

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