季節はずれの桜は狂い咲く

愛しくて、悲しいお話ですね。麻美、目線の話も読んで見たい。

物語の雰囲気が徐々に変わっていき、最後には狂気に染まる。恐怖を演出するのがとても上手なように思いました。
登場人物一人ひとりのキャラクター性も強く、一度読み始めたら最後まで読んでほしい作品です。

丁寧な言葉と設定で綴られたお話。
綺麗にまとまっているだけに後から怖さがじわじわと来ます。
死してなお愛されるのは幸せなのかもしれません。

物語半ばで一つの仕掛けが明かされ、終盤も・・・。1万文字弱のショートストーリー。

　純和風的なホラーと、古典的な日本文学の融合。
　常に色を感じさせる世界観と、どこか冷たい空気感が足首や首筋から忍び寄る、そんな作品です。

　愛（いや、好きの範囲なんか……）があるからこその狂気。
　真夏の夜に相応しい一作だと思います。

文章が丁寧でまるでショートストーリーの映画を見ているかのような気持ちで読み進められます。

昔からよく使われるテーマでありながら、ラストシーンに向けて美しくまとめられています。

ZOOEYさんのレビューに全面的に賛成です。ZOOEYさん以上に適切な書評を書けないので、今回は口を噤みます。
ただ、登場人物が高校生の男女ではなく、成人男女だったら、もっと自分にはシックリきたと思います。理由はネタバレに直結するので、言えませんが。
でも、そうすると、舞台設定やら色んな小道具をアレンジする必要が生じて無理が出るんですけど・・・。
まあ、宮部みゆき先生の火車の終盤に出てくるシーンの記憶が鮮明な一読者の感想なので、聞き流してください。
星２つの理由は、短編には星ＭＡＸ２つが私の信条だからです。

狂気に満ちているから美しいのか、美しいほど狂気に満ちているのか。
読み始めはホラーであることを忘れてしまうほどなのに、読み進めていくうちに、いつの間にか足元が濡れていたような怖さが……。
まさに狂気を感じるホラーでした。

怖いです！
途中まで読んで「ああ、これは怖いな」という感じだったのですが、この作品の本領は、ラストで明かされるある衝撃的な事実を知らされてから発揮されます。
「うあああああっ、まじか！　怖すぎる」ってなります。

好きな人の「恵美さんと付き合ってはいないよ」という台詞に安心する主人公ですが、その台詞の裏側に隠れた真実を、あなたは見抜けるでしょうか。

それも愛の形。
けれど、間違いなく狂気。

季節外れである事が何故か救いに感じまた。