好きと伝えたい衝動を、誤魔化したことから始まるのか? この悲劇の連鎖は

 この物語は、三人の視点で語られている。その普遍的な手法は、王道と言っても良いのかもしれない。

 ひとり目、内向的な女の子の視点。
 そんな性格の彼女が、駅の反対側のホームからの、男の子の視線を感じた。そこから始まる彼への興味、煽る友人。ドキドキするような仄かな恋心が芽生え、一歩を踏みだそうとした時……。
 ふたり目、社交的な女の子の視点。
 内向的な彼女を見つめていたらしい男の子とは旧知の仲のようだ。しかし、純粋な応援が、ゾクゾクする純粋な嫉妬に変貌を遂げた時……。
 そして、三人目、その男の子の視点。
 序章と終章として、ふたりの想いを挟みこんだ視点が、物語を良質のサスペンスへと導いている気がしてならない。

 この物語、とんでもないほどのバッドエンド。不謹慎と言われようが、そこが、実におもしろいのだ。
 さて、一番の悲劇は、この物語の何処にあるのだろう……。

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