星の涙に想う人【短編】

誰かが旅立つ時、人が必ず思う事。それがちりばめられている綺麗なお話でした。読んで心が穏やかになりますね。

切なくて、あたたかくて、美しいお話でした。

星と人。遠い遠い遥か彼方なのに、人は星なしでは生きられない。——そんな気がします。
ひとは、自分の大切な何かを星に重ねます。
自分をずっと支え続けてくれたひとが、自分の側から離れて行ったとき…その夜の星を見上げる思いが、痛いほど伝わってきます。

思わず涙が浮かぶ、大切な人と星の物語です。

　命から星へ、そして新たな命へ。
　素敵なお話でした、本当にそうであったらいい。

　幸いにして、私はまだ、最も近しい人たちの死に直面したことはありません。
　もし、そのときが来たら、俯き、道端の石を見つめるのではなく、顔を上げて夜空に瞬く星を見上げる人でありたいと思います。

全体に、淡々とした落ち着いた筆致で 、それが主人公の思いのたけを綴った随筆っぽい作風にとても良くあっていました。

語彙も豊富で、平易ですが決して安っぽくもなく、とても読み心地が良かったです。

廊下の軋む音や冷たくなった父の頬など、細部の描き方が作品にリアリティと豊かさを与えていたことも魅力でした。
星が雫をこぼす、という表現から涙に持っていくところは秀逸だと感じます。

一方で、都会に出て、いつの間にか冷たい仕事人間になってしまった、というのは嫌な言い方をすればよく聞く話です。
それであっても登場人物たちの無二の物語としての光と、読み手が共感できるような説得力を与えるには、
具体的なエピ…続きを読む

色々思い出して、色々考えた。こんな風に、心に残る言葉を遺せたらいいなと思った。

星の涙
家族の愛に溢れる物語