太宰が「書かれる身が辛いかね、書く身が辛いかね」と嘯いている。

これは面白いです。
メタものなのに笑えるのは、「メロス」も「太宰」もともにキャラが立っているからでしょう。
いや、作者の筆が冴えているんですが。
それにしても太宰のゼウス感がいい味です。オリジナルの「走れメロス」よりもこちらの方が真の神話に近い気さえします。
「待つ身が辛いかね、待たせる身が辛いかね」は、太宰がメロスを地でやった時(友人を借金の形にして遊んでいた時)の言葉ですが、今回ならばきっと「書かれる身が辛いかね、書く身が辛いかね」と嘯くことでしょう。
本当の太宰も、この作品の太宰も、笑える。

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