その文字の向こう側と、お話してみたいのです。

非常にためになり、かつ自身のレビューを振り返る良ききっかけとなった文章であったように感じる。短く纏められた文章は伝えたいことが簡潔に述べられているので、読んでいてとても清々しい。

あるときレビューを恋文と喩えている人を見かけて、正直「そんな大げさな」と思ったことがある。けれど、好きな作品について語るとき確かにそのレビューは恋文となっていることに気付き、私はとても驚いた。その人の言うことは本当だったのだ。

作品のその向こう側に、私たち読者は作者の哲学を不意に感じることがあると思う。
それが同じものであれば嬉しく思うし、自身の中にない全く新しい視点であれば驚いたり感動したりする。
そういった反応を思ったまま伝えたらいいじゃないか、という肯定の言葉がこの小説には詰まっている。

優しさゆえに、もしも一歩を踏み出せない人がいるのだとしたら、この文章を読むべきだ。

私は読者の立場でも、作者の立場でも、どちらにしても文章の奥にいる“あなた”とお話してみたいと思う。

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