日本には四季があり、太陽に熱せられるシーズンや冬将軍に支配される時季もある。だがもしこの気候が一変したら、いったいどうなってしまうのか。一年をかけて移りゆく季節が、たった一日の間に高速回転しだしたら、果たして人は生きていけるのであろうか。
そんな過酷な環境下で生きる少年を主人公とした、近未来の物語。
設定が意表をつきます。登場するキャラクターたちがとても生き生きと描かれています。
ボーイミーツガール、とあるようにもちろん主人公の少年が少女と出会うことで物語は進んでいきます。このあたりはお約束なのですが、それを含めてもスピーディーな展開に読み手は引き込まれていきます。
細部まできっちりと計算されており、リアリティにあふれております。
ラストのクライマックス・シーンは圧巻です。
こんな物語を読みたかった、そう思わせてくれる一品です。
未読の閲覧者の為に、誤解を恐れずに、既存作品を例示します。イメージアップの足掛かりとしての例示です。
世紀末の世界を舞台に、若い男女が心を通わすという点は、未来少年コナンを彷彿させます。ですが、主人公の少年はコナンのように怪力ではありませんし、その彼女もラナのようにテレパシーで鳥と会話することもできません。
また、気象変動の設定が、良く考えられ、且つブっ飛んだ設定ですが、田中芳樹先生の七都市物語を彷彿させます。この例示は、如何ともし難い世界環境の中で精一杯努力するという点が似ているだけで、戦闘シーンが相次ぐわけではありません。
舞台が山手線沿線と横浜に限られているので、土地勘のある東京在住者と東京勤務者には感情移入し易いです。
感情移入といえば、若い男女が心を通わすところが最大の読みどころだと思いますが、良く描けていると思います。
最後に作者に向けて一言。彼女に持たせた小道具。上手いと思いました。小道具に過ぎませんが、その小道具中心に物語が展開しますもんね。
天候を支配したはずの人類が、より劣悪な気象条件に苛まれることになる設定が面白かったです。世界観を構成する設定が緻密に考えられており、そこで暮らす人々の生活をリアルに感じることができました。
しかし物語の展開には若干の違和感を抱きました。特別な敵意や不信感を抱いているわけでもないのに管理公社から逃げようとしたり、翔太が絵真のために必死になるには少しばかり交流の密度が希薄に思えました。魅力的な世界観を、もう少し活かせたんじゃないかなとも感じました。
ですがSFとしては充分な面白さを備えていました。この世界観で続編やアナザーストーリーも展開できるのではないでしょうか。期待しつつ、ひとまず完結おめでとうございますとお伝えしたいです。
特殊な環境下に生きる二人のボーイミーツガール。まだ完結前ですが、とても心温まるお話でした。世界を揺るがす邪悪な敵がいるわけでもなく、登場人物にビックリするような秘密があるわけでもない、普通の人々による物語。だからこそ、彼らの素敵な思い出も冴えて見えます。
世界観の設定も思ったよりしっかりしていて、なるほど、と思わず唸ってしまいました。
事態の発覚後、本格的な二人での行動まで少し間が入りましたが、良い意味で焦らされた感じ。緊張感もあって良かったと思います。
最終話まで読みました。いやー、良い話だった。二人が本当に青い春を過ごしていて、思わず笑みが零れます。特に最後のシーン。日常を交えた終わり方で、何だか心が暖まりました。
完結おめでとうございます、お疲れさまでした。
私は今でも、ジ⚪リのアニメで不可解なことがあります。数分で肺が腐ってしまう森のなかで、眼の粘膜や耳は大丈夫なのでしょうか。あの防護マスクは、鼻と気管しかガードしていないように思うのですが……。
壮大な設定は、緻密で繊細な設定を求めてきます。
あのジ⚪リにも、枝葉末節の一葉に、気になる点が出るほどに。まあ、ビジュアル的に全員が眼と耳の保護をしていたら、誰が誰やら混乱を招くでしょう。アニメでそこまで犠牲にできません。
それほど制限の多いなか、この作品はギリギリのところで説得力を保ち、科学的にもきちんと説明をしてくれます。核融合発電についてなど、私の脳内知識が無学なもので追いつけませんが。
ブラック・スワン。
その優雅さに、ひとは騙されていたことすら気づけない。
読者をどこまでアッといわせてくれるのか。
続きが気になり、わくわくします。