ツッコミ不在の予測不可能娯楽活劇!!

平凡(?)な女子高生、宝蔵院お春――こと西大寺千秋はある日忍者を目撃したことから政府に拉致され、サイボーグに改造されてしまうのだった!
導入点だけ見れば外連味だらけで実際そうですが、変態ばっかりなので悲壮感などはあんまりありません。ぶっちゃけ笑えます。
「ツッコミ」も弱くはないのですが、「ボケ」が偉大すぎて作品全体が笑いの渦に変じているといえばわかりやすいと思います。

で、その場その場の力強い言葉で腹筋を殴ってくると思いきや、生半可でない世界観をその一語一句でしっかり形作ってくるので侮れないところがあります。

巻き込まれ型主人公の極北にして王道を見たい! と言う方にもおススメです。
変態どもにしっかりツッコミを入れながら自分自身も天然ボケで存在感を示す彼女には強かさと頼もしさを覚えます。
バイタリティ溢れる女性主人公が最初から精神的に強い上に、背景で戦ってる連中とは別に「女子高生」としての強さを主張しているので、作中のパワーバランスとは別の意味で別格ですね。
過度に強すぎる、もしくは弱すぎるという問題もなくて、その辺も安心して読めるポイント!

作風的にハマる人はとことんハマります。
ギャグとシリアスが不可分で、一読するだけでは理解しきれない部分も出てくるとは思いますが、対立する「政府―忍者」、「教頭―禅僧」のラインなど、押さえるべきところはかなり明確な上に 物語の導線だけ見れば結構簡潔です。

現代で和風で伝奇な世界観、日常に視点を移しても異常極まる同級生、芯だけ見れば骨太でしっかりしてる! と思わせるところなど、地味に締めるところは締めています。
どの辺がミステリなのかは最新話まで読んでもさっぱりわからないとは思いますが、問題はそんなところではない気がするので作者と一緒に予測不可能な物語を楽しみましょう!