この作品は以前から知ってはいたものの、登場人物などを覚えるのに苦労しそうということで、完結してから読むことを決めていました。
そして昨日から今日までで、一話から一気に読み進め、最終話まで読み終わりました。
一話目のぶっ飛び具合から衰えることの無い独特のセンス。とても可愛い菅原さん。後ろに行くほど複雑化と物語の収束、ある意味では単純化が進み、笑いながらも伏線がどんどんと回収されていくストーリー展開。出てくる度に可愛い菅原さん。そして最後のしんみりとさせる〆。
そして台詞の応酬や世界観の設定、たまに現れる地の文の姿には、ギャグの仮面に隠された筆者の知性やセンスが光ります。
見ましたか!?最終話冒頭の文なんて格好良くて憧れましたよ!?
笑いのツボを一々取ってくるのにも、前話での伏線を大事な所で回収する部分など、常に突飛という訳では無い辺りが凄まじい。最後の方は黒滝さんがギャグとシリアスのコントラストを生み出していて、筆者の舞台設計能力に痺れます。
そして菅原さんが可愛いのなんの。これは僕の好みですので、他の人に伝わるかどうかは分かりませんが、あの常に余裕を崩さないお道化おとぼけ天然キャラは完全に僕に刺さりました。
いやあ、本当に最高でございました。書籍化する機会が来るかどうかは分かりませんが、どこかの出版社がこの魅力に気付いて出版を取り決めるべきでは、という程に頭を撃ち抜かれました。
その内二周目で分からなかった所なども読み直していこうと思います。
是非カクヨムに接続した方々には、最後まで読み通して欲しいと思える名作です。日本史を学んでおけば、更に楽しく読むことができたのでは、と後悔すらしている始末です。
僕は実の所作品レビューなどというものが苦手で、2,3文書けば気力が尽きるというのが常のことでしたが、自分でもここまで書けて驚いています。小学校の読書感想文なぞ思ってもいないことしか書きませんし、素直に並べ立てた言葉だけでここまで感想が出てくるこの作品は、世界の名作にも、部分的に勝るパワーを持っているのではないでしょうか?
最後に
菅原さんが本当に可愛いかったです!!!!
平凡(?)な女子高生、宝蔵院お春――こと西大寺千秋はある日忍者を目撃したことから政府に拉致され、サイボーグに改造されてしまうのだった!
導入点だけ見れば外連味だらけで実際そうですが、変態ばっかりなので悲壮感などはあんまりありません。ぶっちゃけ笑えます。
「ツッコミ」も弱くはないのですが、「ボケ」が偉大すぎて作品全体が笑いの渦に変じているといえばわかりやすいと思います。
で、その場その場の力強い言葉で腹筋を殴ってくると思いきや、生半可でない世界観をその一語一句でしっかり形作ってくるので侮れないところがあります。
巻き込まれ型主人公の極北にして王道を見たい! と言う方にもおススメです。
変態どもにしっかりツッコミを入れながら自分自身も天然ボケで存在感を示す彼女には強かさと頼もしさを覚えます。
バイタリティ溢れる女性主人公が最初から精神的に強い上に、背景で戦ってる連中とは別に「女子高生」としての強さを主張しているので、作中のパワーバランスとは別の意味で別格ですね。
過度に強すぎる、もしくは弱すぎるという問題もなくて、その辺も安心して読めるポイント!
作風的にハマる人はとことんハマります。
ギャグとシリアスが不可分で、一読するだけでは理解しきれない部分も出てくるとは思いますが、対立する「政府―忍者」、「教頭―禅僧」のラインなど、押さえるべきところはかなり明確な上に 物語の導線だけ見れば結構簡潔です。
現代で和風で伝奇な世界観、日常に視点を移しても異常極まる同級生、芯だけ見れば骨太でしっかりしてる! と思わせるところなど、地味に締めるところは締めています。
どの辺がミステリなのかは最新話まで読んでもさっぱりわからないとは思いますが、問題はそんなところではない気がするので作者と一緒に予測不可能な物語を楽しみましょう!