そして彼女たちは風になる。弱小駅伝部が新風を巻き起こす。

中学時代、長距離で県内1位に輝きながら家庭の事情で陸上から遠ざかっていた澤野聖香が、全国高校駅伝を目指して再スタートする。

同学年のライバルに出遅れた彼女だが、「マラソンは365日24時間すべてが特訓に繋がる」という顧問の言葉を信じて仲間と練習に励む姿が熱い!

創設まもない桂水高校女子駅伝部は、たった5人の弱小校。しかし聖香を含めて隠れた才能を持つ選手が集まっていて、大会のダークホースとして強豪校相手に真っ向勝負を挑む姿が痛快なのだ。

駅伝では設備の整った競技場のトラックと違って起伏や環境の変化がある。周囲の選手を観察しながら自分のペースを考え、どのタイミングで勝負を仕掛けるかを狙う。身体が悲鳴を上げ、呼吸が苦しいなかで繰り広げられる駆け引きは、まさに息が詰まりそうだ。

自分の使命を果たして仲間へとタスキを繋ぐ達成感。自分を限界まで出しきった充足感。それらすべてが混ざりあった喜びや感動がここにある。

みなさんも彼女たちの走りを追いかけてみてはいかがだろうか。

(「女子高生だけいればいい」特集/文=愛咲優詩)

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