苦(にが)くて甘い青春の真っただ中に、貴方自身が溶け込んでいける作品です。
陸上競技の専門知識はいりません。
読んでいれば自然と、自分が選手になってトラック等を走りだしていますから(笑)。
ただ長編小説の宿命でしょうか。
登場人物が多いので、
例えば・・・
「園村晴美(親友)」
「湯川麻子(中学はバスケ部)」
というふうに登場人物をメモにとりながら読んでいかれると良いと思います。
学生同志は、名前で呼び合っていますが、先生は名字で呼ぶので、途中で誰が誰だか分からなくなる可能性がありますから。
カクヨムでは、まだ完結していませんが、ネットでいろいろ検索してみれば、最後まで読破することが出来ます。
今を生きている貴方も、もう一度、青春時代を謳歌してみませんか?
ヒロイン・澤野聖香と共に!!!
中学時代、澤野聖香は女子長距離界のスターだった。
しかし、彼女は県一番の強豪校ではなく、陸上部のない桂水高校へと進学する。高校に入学したら勉学に集中するようにと父親にきつく言われていたからだ。
ところが新入生向けの部活紹介の時間、聖香は駅伝部の存在に気づいてしまう。そのとき、心に秘めていた「走りたい」という思いが疼きはじめて……。
というわけで、スポーツに打ち込む女の子たちを描いた青春小説です。
わたしは恥ずかしながら陸上の知識はあまり持ち合わせていないのですが、本作を読むにあたって競技のルールを詳しく知っている必要はありません。
大会のレギュレーションは都度説明が入りますし、試合も結局のところ先にゴールするか否かですし、何よりもキャラクターひとりひとりが魅力的なためグイグイ読ませてくるんですね。
信頼できる仲間と襷を繋ぎ、ライバルたちと競い合う。
そんなスポーツの醍醐味、そして高校生という若い年代の輝きが詰まった小説です。
一見とても分量があるように見えるので腰が引けてしまうかもしれませんが、一話一話はさほど長くないのでサクサク読み進めていけるのもポイントですね。
中学時代、長距離で県内1位に輝きながら家庭の事情で陸上から遠ざかっていた澤野聖香が、全国高校駅伝を目指して再スタートする。
同学年のライバルに出遅れた彼女だが、「マラソンは365日24時間すべてが特訓に繋がる」という顧問の言葉を信じて仲間と練習に励む姿が熱い!
創設まもない桂水高校女子駅伝部は、たった5人の弱小校。しかし聖香を含めて隠れた才能を持つ選手が集まっていて、大会のダークホースとして強豪校相手に真っ向勝負を挑む姿が痛快なのだ。
駅伝では設備の整った競技場のトラックと違って起伏や環境の変化がある。周囲の選手を観察しながら自分のペースを考え、どのタイミングで勝負を仕掛けるかを狙う。身体が悲鳴を上げ、呼吸が苦しいなかで繰り広げられる駆け引きは、まさに息が詰まりそうだ。
自分の使命を果たして仲間へとタスキを繋ぐ達成感。自分を限界まで出しきった充足感。それらすべてが混ざりあった喜びや感動がここにある。
みなさんも彼女たちの走りを追いかけてみてはいかがだろうか。
(「女子高生だけいればいい」特集/文=愛咲優詩)
これは連載モノの上手い作品やで、というのが冒頭ちょっと読み始めた時点での感想です。
連載モノというと、一話ごとに起伏と次話へのヒキが必要。ってことは大体の人は分かっていると思うけど、それをじっさいにやるのは難しいわけです。本作品は、そこがきっちりと、それでいて自然な感じでできています。
で、作品自体はスポーツもの。昔のスポ根ものから、現代的なものでいえばラブライブやガルパンまで、弱小が頑張って→強豪と互角以上に戦う、という基本的な流れは変わりません。
どうしても退屈になりがちな、主人公が戦うことを決意するまでとか、地味な練習シーンなどを、どう読者を退屈させずにクリアするかがスポ根ものの課題なわけですが。やはりキャラの魅力が必要となります。
主人公の状況はありがちといえばありがちですが、それだけに読者の共感を得やすい感情の起伏があります。最初に述べた一話ごとの起伏として上手く機能している。
また、周囲のキャラも魅力があり、読者を引っ張ってくれます。
青春を駆け抜ける爽快感が、ここにある。
中学のとき、陸上部でした。
小学校のときから体力には結構自信がありましたが、スプリントの才能がないのに気づかされるのにはそう時間はかかりませんでした。
それでもスプリント力が必須とされる跳躍が好きでした。中学二年まで、自分は走幅跳をやっていました。
それでも学校の代表として選抜される大会では400m、活躍できるのは校内マラソン。短距離、跳躍が不向きなのは明らかでした。
どうにかギリギリ県新人までいきましたが、限界を痛感させられました。
そこで自分が出会ったのが、秋の駅伝です。陸上部全員強制参加、代表を決めるトライアルで長距離勢に勝ったときは、今まで味わったことのない奇妙な感覚に教われました。不安やら困惑やら。
自分の学校は地区大会連続優勝するくらいのそこそこ強豪でしたが、自分が走ったその年だけは大敗でした。例年なら区間賞取れるタイムで走っても、ダメでした。全体のレベルが高かった。自分は翌年、駅伝には参加しませんでした。
しかしその年、代わりに入ったバドミントン部が、去年の自分と同じタイムで区間賞を取ってきて、さらにチームも優勝しました。ちやほやされていたのを横目でうらめしく見たのを覚えています。
「自分が走っていれば……」と少しでも思ってしまったら、それは後悔しているってことなんだと思います。
主人公は物語冒頭から経験者で、陸上が好きで、実力もあって、努力もして、親とも正面からぶつかって……。
要は中途半端な自分とは違い「もうぜんぶやってる子」なんです。直すところがない。これは珍しいなと思いました!
それでも「戦ってもいないのに」と言われている彼女を見て心が痛みました。彼女自身、まだ全力で戦ってないと思っていたみたいですが。
そして陸上部ならではの「他の部活の選手に負ける」ことから感じるリアリティもよし。経験者なら「それなぁ……」とついつい唸ってしまいます。
ほぼ完璧に見える主人公がこれから得るまだ知らないものとは一体……。
長文失礼いたしました!
14区まで読了の感想です。
あぁ、走りたいな。そんな気持ちになりました。
本作品は非常に読みやすい。私は陸上に興味があり駅伝とかよく見るのですが、そうでない人も絶対にこの作品を楽しく読むことが出来ると思います!
仲間や主人公の葛藤もそうですが、陸上に関する練習等もきちんと書かれておりこの世界の中に入りこみやすいです。
チラリと他校のライバル校? らしき名前が出てきていますがこれからどんな高校が出てくるのか。どんな学校だろうかとか頭で勝手に想像してワクワクしています。
都大路に彼女達は果たしていけるのか。またもしそこに行ったら彼女達はどんなタイムを残すのか。非常に楽しみです!
陸上女子って萌えますよね、うんうん。運動してるからスタイル良いし、チャラチャラしてないし。うんうん。
あれぞ健康美の集大成ですよね、うんうん。
…なんてのは瑣末な問題で。
駅伝を題材にすることでチームワークも描けるし、マイナーな過疎部が一念発起するという過程も見事に書ききれています。
また、作者様ご自身が経験者なのでしょう、スポーツあるあるネタや練習メニューの基本もしっかり押さえており、きちんとした知識と取材力が地盤にあるのも読み取れます。
メンバー各人も可愛らしく、個性的だけど嫌味のない、等身大の女子高生が表現できているのも、作者様の筆力の高さを感じました。
ぜひとも最後まで完読…いや、完走…したい作品です。