若き米沢藩士が命じられたのはかつての上役、初恋の女、その夫の処刑だった
奥州の「約束の地」日本最大級の切支丹弾圧はなぜ上杉の地で行われたのか。
時代は直江兼続と上杉景勝が転封された後の米沢藩。上杉城下のお話。直江の指示のもと、米沢藩は治水を基にした町づくりを次々と成功させていく。越後、そして会津から主君・直江兼続と上杉景勝に付き従ってきた足軽の新野家では男の子二人が成長していく。しっかり者の兄の登米丸と、気弱で泣き虫の四つの捨丸の仲良く成長する二人に思わぬ事態が…
親から期待されない末子の苦悩、初恋の人は尊敬するキリシタンの先輩に嫁ぎ、自身は苦悩の中初めての人斬りをしてしまう。ほとぼりを冷ますために江戸の上杉藩中屋敷に出仕した尚次郎の目に写ったのは品川宿の札の辻で火刑に処せられる大勢の伴天連と信者の姿。「元和の大殉教」だった。そのころ将軍職に就いたばかりの徳川家光からは厳しい切支丹弾圧の要請が上杉米沢藩に向けられる。尚次郎に指示されたのはかつての藩の上役、初恋の女性、その夫への処刑の命令だった。
1500年末から1600年代初めを舞台に成長していく捨丸・新野尚次郎純直の、史実をもとにした物語です。