人魚は、冷たいあなたの海にいた。

海に殺された情念がぽとりぽとりと水滴を落とし、主人公を巻き込み交差していく。

人魚という比喩を超えた表現力が素晴らしく、短編ならではの引き手が強い。それなのに、つかみどころのない美しい作風はこの作家さんの持ち味なのでしょうか。

海に沈む、複雑な大人の恋愛の行方。彼女の不自然な言動。
読み終わった今、寒くて仕方ないです。
表現の可能性に触れた気がしました。素晴らしかった。

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