本作「ゴーアルター」は英雄の物語ではないだろう、そう私は思うのだ。
何者に為れるかすら分からない、分かりようの無い少年がある日得たのは力。
神にも悪魔にも為れないが、人間には手の余る力は、ただただその可能性である力により登場人物達の人生を狂わせていく。
その物語の集束は、最初に喪った幼馴染の少女の目覚め、非日常から日常への帰還を持って終わる。
自己の模造、自演、鏡合せーーそれが非日常を生んだ産物の全てである。
それは自己と向き合い続ける虚しさとの戦いだ。
この作品に於いて、特筆すべきは未来が見えず翻弄されるただの少年の虚無が、殆ど何も示さないという凡庸さにあるのだーー
ありきたりの近未来
よくいるロボットオタク
よくいる可愛くて優等生だけど、ちょっとツンデレなヒロイン
特有の堅苦しい文体ではなく、読みやすいライトな質感
古風な機体名なのに古くささを感じない
古きを存分に重んじている
しかしストーリーは軽快に、風のように取り巻いていく
現実や未来を思わせる空の青、歴史を感じさせる土
時折混じる、昔懐かしい大好きなアニメの決めセリフが胸を高鳴らせる
今の子は、モトネタを追及せずにただの中二セリフだと思うだろう
やり取りはイマドキ、機体は細部までの拘りを感じる
ロボットアニメはロボット作品は、こうであるべきだとうち震える
……ボクもせめて10年若ければ、ロボット大戦したかった
スーパーロボット好きのスーパーロボット好きによるスーパーロボット好きの為の小説です。そうそう、こういうのでいいんだよこういうので! いいんだよ気合と根性で! 同じスーパーロボット乗り(あえて作者とは言うまい、だって書いてる時は乗ってる気分なんだもの)としてキュンと来ちゃいました。
こういう長編のロボットものだとどうしてもキャラやロボや組織が混み合ってしまうものですが、ウィキでわかりやすくまとめているのが非常に良いですね。他に無い工夫、この作品の良さとして推すべきポイントです。
他の作品でもこういうの真似するべきですよ。
それと、折角近況報告を丁度見ていたお伝えさせていただきたいことがあります。やはりロボット物なのでもっと戦闘が見たいなと思うんですよ。せっかくのスーパーロボット物なので私個人としてはガッツリ見たいです!
ロボットアニメやなんかでは、登場する「ロボット」が単なる「人型機動兵器」の意味だったりすることが多い。
モビルスーツしかり、アーマードトルーパーしかり。
だが、果たしてそれでいいのだろうか?
いわゆる「巨大ロボ」というものは、戦車や戦闘機、戦艦や駆逐艦とは違う存在なのではなかろうか。
そう、改めて言うまでもない。
「巨大ロボ」とはことごとく、「兵器」である以前に「破壊神」であり「英雄神」である、いわば「力の象徴」であるべきなのだ!
本作に登場するサーヴァントというロボは、まぎれもなく「兵器」としての立ち位置を与えられている。
しかし物語が進むにつれ匂い立ってくるのは、間違いなく「マジンガー」以来連綿と培われてきた「巨大ロボ」の持つ芳香だ。
ロボ好きのひとりとして、今後とも目が離せない一作と言えよう!