昭和の文士、高見順は言いました

「欧米追従の作品で話も稚拙」
 戦後まもなく歌手育成の映画を見に行った高見順はその作品をこう評価しました。
 こういったアイドルや歌手の育成小説、映画は何万と作られており、本作もまぁそんな感じかな、と思って読み始めました。

 とんでもない。

 最初職場で読んでいたのですが序盤で2回泣いて、1回声を上げて笑ってしまい「大丈夫ですか?」と心配されました。
 話自体はどこにでもあるお話なのかもしれませんが、『主人公』がどこの作品にもいない位、壮大なインパクトがあります。
 またヒロインの心理描写、ライバルの心理描写、心の移り変わりが解りやすく書かれており大人から子供まで読める事でしょう。
 終盤には2回声を出して号泣してもう職場で読むのは無理と判断。
 家で読みましたがまた号泣で「うるさい」と犬に怒られました。
 こんな感動して笑って泣ける作品初めてです。
 高見順もこの作品で作った映画を見たら「ほぅ」となったに違いありません。
 本当に感動しました。
 この作品は私の様に地面を這って生活している人間にとって何か心の中に暖かい物を送り届けて下さいます。
 素敵な時間をありがとうございました。
 
 
 

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