一つの差異が、曇らせる……誰かのために強くある者、彼を見る目を。

閉鎖的な村で育てられた、特異な容姿の青年。
言葉で、態度で、行動で、彼を差別する人達を守るために、自身を死地に置く彼が、突如姿をくらませる――。
素朴な文章で飾り立てることなく綴られるエピソード。魔族や獣人といった存在が存在するファンタジー世界にも存在する、「差別」という概念を描く物語。
13話分までで結構なボリューム。展開のテンポもよく、順次参入する仲間たちの強いクセもしっかり描けている作品。個人的には読点が増えた方が、もっと読みやすくなると思われる。
視点移動が少し唐突な印象を受けたのだけが残念。せっかく没入できそうなタイミングで「文章を読んでいる自分」に引き戻されてしまう。テーマが個人的な好物なだけに、ぜひ今後とも磨いてほしい原石だと感じた。

その他のおすすめレビュー

たりさんの他のおすすめレビュー37