変わる時間と変わらぬ想い

浦島太郎のように、10年という時間を超えて目覚めた主人公の誠哉。成長した義弟義妹に戸惑いつつも、彼の時間は再び動き出す。そうした冒頭で興味を引かれました。
描写や展開も丁寧で、安定感を持って楽しむことができました。キャラも個性的で、登場させるタイミングも適切で「この人誰だっけ?」とキャラを見失う心配もありませんでした。
周囲の人々との関係性や、誠哉に向けられる猜疑の目など、都合の良いことばかりでない部分にリアリティを感じ好印象でした。
ただ王道なファンタジーであるものの、作品の魅力やオリジナリティ、この作品ならではのセールスポイントをもう少し明確に見せて欲しかった気もします。
とはいえ確固たる実力を持った良作だと思うので、これからも堅実な展開作りに期待しています。

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