浦島太郎のように、10年という時間を超えて目覚めた主人公の誠哉。成長した義弟義妹に戸惑いつつも、彼の時間は再び動き出す。そうした冒頭で興味を引かれました。
描写や展開も丁寧で、安定感を持って楽しむことができました。キャラも個性的で、登場させるタイミングも適切で「この人誰だっけ?」とキャラを見失う心配もありませんでした。
周囲の人々との関係性や、誠哉に向けられる猜疑の目など、都合の良いことばかりでない部分にリアリティを感じ好印象でした。
ただ王道なファンタジーであるものの、作品の魅力やオリジナリティ、この作品ならではのセールスポイントをもう少し明確に見せて欲しかった気もします。
とはいえ確固たる実力を持った良作だと思うので、これからも堅実な展開作りに期待しています。
閉鎖的な村で育てられた、特異な容姿の青年。
言葉で、態度で、行動で、彼を差別する人達を守るために、自身を死地に置く彼が、突如姿をくらませる――。
素朴な文章で飾り立てることなく綴られるエピソード。魔族や獣人といった存在が存在するファンタジー世界にも存在する、「差別」という概念を描く物語。
13話分までで結構なボリューム。展開のテンポもよく、順次参入する仲間たちの強いクセもしっかり描けている作品。個人的には読点が増えた方が、もっと読みやすくなると思われる。
視点移動が少し唐突な印象を受けたのだけが残念。せっかく没入できそうなタイミングで「文章を読んでいる自分」に引き戻されてしまう。テーマが個人的な好物なだけに、ぜひ今後とも磨いてほしい原石だと感じた。
閉鎖的な村で、その容姿ゆえに差別されていた少年が、ある魔族の手によって10年もの間眠らされた後、成長した義弟妹と再会するというストーリー。
長い時間隔絶された主人公が、故郷に帰還して力を発揮するという物語が大好きです。この作品は、そんな僕の好みをうまく表現してくれました。
そのほか、黒幕的な魔族の存在、偏見厳しい故郷の目、主人公を慕う義弟妹+αが作品の特徴となっています。
主人公の強さが強すぎず弱すぎずバランスがいいと思いました。義弟の存在が大きいでしょうね。
全体的に読みやすい作品だなと思います。
これからも頑張ってください。