長い間放っておいたパスポートの更新のため、
遠方から戸籍を取り寄せた。
そこには自分の来歴が
何の過不足もなく、あまりに端的に記されていて
普段は、
ぼんやりとさせているつもりの過去の出来事が俄かに蘇り、
思わず泣いてしまった。走馬燈を見た気分だった。
過去に思いを馳せるのは、
常に自主的な行為だと思っていたのに、
こんな分かりやすい引き金が自分にあるとは、思っていなかった。
おそらく最近、心のゆとりができたのかもしれない。
ただなんとなく、年齢のせいかもしれないし
分からないが、
前までは動揺したり、心が振れると
そこから戻ってくるのが、とても堪えた。
それが今では少し穏やかに感じられる。