清瀬 六朗です。
夢月七海さまの『こなせ!カクヨムコン9奮闘記!』で、拙作『遥か昔のエジプト精神』をご紹介いただきました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330667776631019/episodes/16818023211838108313 ありがとうございます!
『こなせ!カクヨムコン9奮闘記!』
https://kakuyomu.jp/works/16817330667776631019 『遥か昔のエジプト精神』
https://kakuyomu.jp/works/16817139556810135815 ※ なお、今回の内容は、『遥か昔のエジプト精神』の「あとがき」と重複する部分があります。ご了承ください。
もともと夢月七海さまの自主企画「問えば響く君の答え」の「雨を降らすのは誰?」に参加するために書いた作品です。
すてきな自主企画をありがとうございました。
「雨はどうして降るのか」という問いならば、(温帯地方では)暖気の下に寒気がもぐり込むことによって、または、寒気の上に暖気がはい上ることによって、空気中の水蒸気が冷やされ、水滴になり……という答えができるのですが。
それでは「雨を降らすのは誰?」の答えにはなりません。
それで、「晴れ男 vs 雨女」のラブコメとか、「雨女 vs 晴れ女」の百合とか考えたのですが、なかなか形になりませんでした。
または、『金色夜叉』みたいに、「私の恨みで雨を降らせてやる」とか。
でも:
「雨を降らすのは誰?」
「それはわたしだ!」
……っていうのも、ちょっとなぁ、と思って。
よほどちゃんと書かないとギャグになっちゃうよ。
ギャグならギャグで覚悟を決めて書けばよかったのでしょうけど、その覚悟はつかなくて。
そういえば、年の初めに訃報が伝えられた八代亜紀さんの「雨の慕情」のサビの部分は、若いころに聞いて印象に残っていました。
当時の私は、演歌全体に対して敵対心を持っていたので、この曲に対してもすなおになれず、好きな曲だったとは言えないのですが、それでも、雨のせいで恋人が来てくれない、というのとは逆に、雨が降れば自分の好きな人が来てくれる、という設定は印象に残りました(曲の中でそこしか覚えていないのだけど)。
というわけで、参加させていただくのはやっぱりやめよう、と思っていたのですが。
7月18日が近づき、私がマーチングバンドの女子たちの物語を書いているのも、『響け! ユーフォニアム』のアニメを観たおかげだったなあ、と思い出していたときに、ふと、「そういえば、フライングバーズ雨乞い事件という設定があった! その話を書けばいいのでは?」と思いつきました。
女子高校のマーチングバンド「瑞城フライングバーズ」の物語を構想するにあたって、「雨乞い事件」という設定を作っていたのです。その構想は、『遥か昔のエジプト精神』の主人公たちとは対立する立場を中心に作ったものでしたが、事件の詳細は考えていませんでした。
それを、部長側の人物を主人公にして書いてみよう、と。
それで書き上げたのがこの物語でした。
夢月七海さまの評で「常に牽制し合っているのがぞわぞわした」、「生々しい」、「怖かった」と書いていただけたのがとくに嬉しかったです。
まだカクヨムに参加する以前のことですが、「清瀬の書く少女は、みんないい子で、ピュアで、そんな女の子は現実にはいない」と言われたことがあります。
言われたことが1980年代の宮崎駿みたいで、悪い気はしなかったのですが。
たしかにそういう面もあります。
たとえば、対立する立場から物語の構想を考えていたときには、向坂恒子部長は基本的に「かたき役」だったのですが、この物語を書いて、恒子はいくぶん「いい子」になったと思います。
しかし、自分としては、「いい子」ばかりを書いているつもりはないので、そうなのかな、とずっと思っていました。
だから、このように評価していただけて、とても嬉しかったのです。
それにしても。
この瑞城フライングバーズ関係の物語を公開して(「カクヨム」未掲載の物語もあります)感じたのは、吹奏楽を経験された方って多いんだな、ということです。
ところが、私は吹奏楽もマーチングも完全に未経験で、とくに金管楽器はよくわからないのです!
したがって、吹奏楽やマーチングの物語は「ファンタジー」として書いているのですが。
やっぱり、冷や汗ものではあります。
なお、この物語を書くときに設定した生徒会内部の人間関係が:
『おばかさん』
https://kakuyomu.jp/works/16817330653957081067 『続おばかさん ぐちゃぐちゃ編』
https://kakuyomu.jp/works/16817330654152078628 『クリスマスソングのすずの音』
https://kakuyomu.jp/works/16817330659097676511を書くときに活かされています。
そういう点では、私の書くものの幅を広げてくれた一作でもありました。
ご紹介くださった夢月七海さまにもういちど感謝を捧げます。
ありがとうございました。