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精神は子供。
肉体は大人。
外見は年頃。内から湧き出る若さとエネルギーを暗褐色のマントでむりやり隠して、少女は魔法を唱えた。
狙いは異端の侵入者であるこの私。
頭上にはメテオ。
"創造主がそれを望むなら!"
少女は腕を振りかざし、彼女の持つありったけの魔力で私に攻撃呪文を仕掛けた。
私は魔法など使わない。
なぜなら彼女は、私が作り上げたからくり人形の一つだからだ。
からくり人形の唱える魔法などたかが知れている。
"それでも私にはわかる、あなたがもっとも嫌いな魔法のことを!"
魔法使いの少女は足りないなりに知恵を働かせて、私が最も苦手とする属性の魔法を唱え続けた。
"でもなぜこんなことを私にさせるの?"
魔法使いの少女は困惑した顔だった。
それは当然の疑問だ。
創造主に作られたからくり人形が、なぜか創造主に「私を攻撃しろ」と命令されたのだから。
"これは私のとっておき! メテオ!!"
魔法使いの少女は私に向かって巨大な隕石をふらせた。
ああそうだ。
本物のメテオはこんなもんじゃない。
今目の前の魔法使いは、ただ私の知っている知識のほんの一部を切り取って与えただけの人形だ。
だから、使えるメテオはとても弱々しいものだった。
オリジナルのメテオはこれの十倍以上の大きさの隕石だ。
十年前の私は、かつてそれに負けたのだ。
その知識を汲み取って彼女に与えた。
いわばメテオは、私にとってのトラウマなのだ。
私が作った魔法使いの少女は、私に向かって懸命にメテオを唱えた。
私はそれらを小指で弾いて吹き飛ばしていったが、それでも少女は私への攻撃をやめなかった。
攻撃を止めるなと、私が命令しているからだ。
少女は困惑した顔で次々にメテオを撃ち放った。
ああ。
本当の魔法使いの少女はこんなものではなかった。
本物の彼女はもっと小さく、もっと長寿で、知識に富む腹黒い二重人格の小悪魔だった。
彼女の放ったメテオに私は完敗したのだ。
私は偽物の彼女の放つ小メテオを弾き返し、拳で彼女を吹き飛ばそうと距離を詰めた。
恐怖に怯える半泣きの人形が見えた。
魔法使いの役割を与えた、勝ち気で向こう見ずで負けず嫌いな魔法使いという設定と、私のごく一部を与えたからくり人形。
私は拳を下げて、もう一度私を攻撃するよう彼女に言った。
彼女は泣きながら、私の命令に従った。
それでいいのだ。
私は罰を欲しているのだ。
同時に私は、きっとあの頃のメテオの呪縛を克服したいと思っているのだ。
もし私がもっと強くもっと成長できれば、きっとこの魔法使いの少女の放つメテオももっと強くなるはずだ。
そう願おう。
さあもっと私を撃て。
見ると彼女は震えていた。