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気がついたら、硬い岩の上で気絶していた。
意識が飛んでからどれだけ時間が経ったのかもわからない。いつ意識がとんだのかも、どうしてここにいるのかもわからない。
首に力を入れて、自分が岩盤に倒れているのを目で見て確認した。
立ち上がると、全身がヌメりけのある泥でべっとり汚れていた。
手のひらを見ると、なにか細い繊維状のものと塊のようなものがびっしりついている。
足元にはボロ切れから硬い草のようなものが生えていて、歩くとそれらがポキポキと折れて音を立てる。
歩くとポキポキ音がする。大量の硬い草の芯を追って歩いているようだ。
ふかふかの物体。潰れた綿毛。風船のようなもの。
下へ続く地下洞窟。洞窟中が湿っていて息が詰まる。臭いもやが一面に広がっている。臭気が濃すぎて息ができない。
出口に向かいたい。元来た道を戻りたい。
だが濃い臭気が前へ前へと私の体を押し進ませる。
流れる川のような灰色のどんよりとしたもやは、まるで質量を持った蛇か水のように、洞窟中をそれで満たしきっていた。
びちゃびちゃとどこかで液体が滴る音がする。
私はそれに抗えない。
私は地下へ堕ちていくしかなかった。