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言葉でできた巨大ハリケーンが通り過ぎた後、町には砂つぶのように砕けた文字たちが大量に降り積もっていた。
夜の世界にも雨はふる。それが昼の世界のそれとまったく同じかというと、そうではない。
オレの記憶の中では、雨は水粒がたくさん降るものだった。
「雨が、ざあざあと降っている」その言葉が大量に空から降っている景色は、昼の世界の住人には滑稽に見えるだろう。
この世界に雨はない。
雨、という昼の世界の概念のものがここにはない。細かく砕けた言葉たちが砂嵐のように舞って、渦を巻き、この世界の全てを埋め尽くしていく。
掘り返さないと自分の帰り道まで埋もれてしまう。
もっと掘ろう。
掘って掘って、掘り進めて。
オレは帰ろう。地下へ続く暗い道を。