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変幻自在のナカトミプラザ



夜の世界の中でも一段と華々しい人口密集集落。
夜の世界にあって治外法権の世界。夜の国のエリートと昼の世界のエリート、ビジネス界の大物たち、政治家、成り上がり者たちの社交界と化す超巨大建造物。

半年かけて作り上げ、セキュリティは国家レベルのものを構築。
各フロアを守るガードマンは凄腕のものたちが担当し、受付には百を超える監視カメラ、感圧センサー、重量測定器、バズーカの直撃にも耐えられる防弾ガラスばりの吹き抜けエレベーター。

その中でも特に異彩を放つのが、フロア全体の壁が、AIによって時間が経つとランダムに組み替えられること。
このビルは、案内人の案内がなければ誰であっても、このビルに入ったが最後二度と外に出られない、あるいは目的地にたどり着けない迷宮と化していた。

この建物は、セキュリティの都合で24時間後にはすべてが吹き飛ばされる。
地震にも耐え、津波にも核ミサイルの攻撃にも耐えるこの巨大建造物は、半年以上の歳月をかけて建造されたものだ。

金持ちたちがただの意味のない道楽としか思えない。
そこまでしてこのビルは、守りたいものを外からの攻撃から守るためのものだった。
難攻不落のこの超高層迷宮ビルに、ひとりのテロリストが挑戦しようとしていた。

万全とは言えない装備で、万全とは言えない準備で、テロリストはこのビルに挑戦しようとしていた。
無謀である。命知らずだ。
入って迷ったが最後、自分はこの難攻不落のビルとともに木っ端微塵に吹き飛ばされるのだ。

それでもテロリストは、このビルに入り込んで手に入れたいものがあった。
地下金庫には、今日この日に集まった世界中のVIPたちの宝物がしまいこまれている。
それにこのビルは夜の世界にある。

この世界は、暗く、前も見えない絶望がお似合いなのだ。
ライトに照らされたナカトミプラザはこの世界には似合わない。
テロリストは、このビルを自分の手で吹き飛ばすと、強い決意を抱いていた。

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