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この世から忘れ去られた洋館。
ありとあらゆる闇が詰まった廃屋。人の住んでいる形跡の見えない、薄汚れた部屋。
なのに、どこか生活臭がする矛盾。
鉄錆臭のきつい水道水。またたく蛍光灯。
今日はパーティーの日。月夜に照らされた二階の倉庫で、血の涙を流した胸像が音もなく笑う。
倒れる石膏。
湧き上がる悲鳴。
おののく客人たち。
この中に一人、殺人者がいる。
それは誰か。おまえか。それともおまえなのか。
皆が疑心暗鬼。一人ずつ退場していく登場人物たち。
扉の暗号。失われた壁掛け時計の針。
謎解きをしなければ、この館からは誰も出られない。
館の主人が音もなく背後に迫る。
今日は記念日。素敵な記念日。
右手にバール、左手に血で汚れた鈍器をもって皆様をお出迎えしよう。
暗闇の殺意。解けないクロスワードパズル。
ひとり、ふたり、さんにんと沈黙していく。
失意がやる気を殺していくはなし。