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夜の世界。
夜空に虹が見える。
色彩豊かな逆虹の世界。
背中はあの頃よりもずっと重く、肩は固く、目も悪くなり口は、あの時よりもっとずっと動かなくなった。
感情は沈み、暗い日々を送っていた。
その日を生きることに、本当に必死だった。
自分が何をしたいのかもわからなくなって随分と久しい。
いまも、たぶん自分は何もわかっていない。
肩は固く、背骨はしなり、筋肉は衰え腹も出た。
弱気をこうやって誰かに言って聞かせるのも、なんだかこっぱずかしいと思うようになった。
自分は自分とよく話し合うべきだと、思うようになった。
綺麗事を言いたがる紆余曲折した主張をする、薄っぺらい自分を拭い去るには、自分が生み出したいくつものキャラクターたちの、声にならない声の助けが必要なのかもしれない。
その薄いヴェールを拭うと、自分がひた隠していた本当の声が聞こえてくる。
付箋越しの、自分の声に耳をすます。
認めたくなかった自分自身の声たちが、付箋を通して、紙を通して聞こえてくる。
足が、やっと前に進む。
ぬかるみの中から、足が一歩。
自分はどこへ行こうとしているのだろう。
自分は、どこから来たのだろう。
この道はどこへ続いているのだろう。
何も見えない空白の道。
怖いという思いからは、目を背けられない。