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夜の世界の探索をひと段落させて、オレは我が家に帰ってきた。
寒い自室は相変わらず散らかっているし、自分が買い込んだ家具や机が部屋のあちこちに置かれている。
夜の世界で羽織っている「亡霊のマント」の感触が忘れられない。
冷たいビニールの上から液体窒素か、そこまで冷たくはなかったが、ドライアイスの冷気を永遠と流されているような感覚だった。
心なしか、本棚に置かれた護符の数が増えている気がする。
ほっと一息いれるために、冷蔵庫の中の麦茶を飲む。
冷たく寒い地下の世界から生き延びたオレには、この冷たい麦茶ですら温かく感じた。
生きている感覚がする。指先の関節、それをゆっくり曲げると痛みを感じるのだ。
肩の痛み。それから首筋の違和感も。
歩きすぎて足先の感覚がない。それが、オレにとっての生きている感覚だ。
ここは安全地帯だ。再び夜の世界にオレが潜って行かない限り、モンスターたちはしばらく出てこない。
風が吹いているのだろうか。玄関の外が騒がしい。