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幻のアイテムを求めて

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太くまっすぐ大地にあいた縦穴にはいくつもの支線が走っており、支線はほかの支線と複雑に絡み合ってまるでダンジョンのようだ。
支線のひとつひとつは迷路のように入り組んでいるがそれぞれ縦穴の周辺に無造作に広がっており、その先には地底湖や地下水脈、未知の鉱床、誰かの地下室、朽ちた下水道、どこから入り込んだか分からないモンスターたちの巣窟につながっていることがある。
このモンスターが特に厄介で、支線と支線の間に勝手に巣穴を掘り、どんどん支線を複雑化していく。
ほかのモンスターの作った巣穴と運悪くつながってしまえば、新しい支線になってしまう。
用もないのにうねうねくねくね。
新しい鉱床を見つけると明らかにそちら方面へ道を折り返し、脆い砂の岩盤を掘り当てて落盤事故を起こして不通になる。
地下水脈を掘り当てて地下迷路の一角を巨大な地底湖に変えてしまうこともある。
外から持ち込んだ不思議なお宝を、ダンジョンの最深部に持ち込んで溜め込むバカもいる。
一つの大きなアーティファクトを仲間同士で争ったすえに、割って何人かで共有することもある。
至って、モンスターたちはバカだ。
そうして地下坑道と縦穴は複雑奇怪なダンジョンとなる。

オレはそのダンジョンに夜ごと潜り込みお宝を探すトレジャーハンターといってもいい。
モンスターは強い。夜になればその力を最大にして、オレを追いかけてくる。
どこにいてもどこに隠れていても、オレがダンジョンに入ってきた瞬間にその気配を察知して襲いかかってくる。

ダンジョンにはアイテム以外にも鉱石が落ちていることがある。
それを持ち帰れば金になると言われているが、オレはまだススしか持って帰れたことがない。
時が経つと、どんどん新しいモンスターが増えてくる。

特に、最近厄介だと思っているのが、時計を模して電撃で攻撃してくるモンスターだ。
そいつにやられると、レベルが勝手に上がる。
レベルが上がってもステータスはアップしない。この世界では、レベルと、スキルやステータスは比例しない。どんなにレベルが上がっても練習しなければスキルは上がらない。
この世界でのレベルのカンスト値は、おおよそ100以下。男性の平均カンスト値は80、女性は85と言われている。
つまり。
一度上がったレベルは、2度と下がらないわけだ。
レベルは一年に一度必ず上がる。
レベルが上限値になるとどうなるか?
そんなの考えたくないね。
あのモンスターは、地味にオレをあせらせる。
つまりそういうことだ。

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