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じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023【01】〜【05】

【先着30名】じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023
https://kakuyomu.jp/user_events/16817330661249013634

企画専用の近況ノートです。
梶野の感想はこちらに投下します。
感想への質問・返信は以下のノートにお願いします。

じっくり本音感想企画2023 感想用返信ノート
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330661350519496

参加作品:
【01】love letter.(白木犀)
https://kakuyomu.jp/works/16817330660970151819
【02】紅の贖罪(木村比奈子)
https://kakuyomu.jp/works/16817330661182904130
【03】ぶきっちょ先生のパンづくり(野栗)
https://kakuyomu.jp/works/16817330656365658731
【04】魔導古書店店主の偏愛と憂鬱(ヨシコ)
https://kakuyomu.jp/works/16817330653896544936
【05】風音(伊草いずく)
https://kakuyomu.jp/works/16817330653422384796



以下、企画説明。

初めまして、梶野カメムシです。
普段は長編バトル小説やショートショートを書いております。
小説より漫画の方をよく読んでいます。少年少女関係なく大好きです。
梶野は、感想で本音しか言えない病気です。
オブラートくらいは使いますが、お世辞や追従は言えません。

良い点は良い、悪い点は悪い。
あくまで個人視点の感想であり批評ですが、絶賛以外聞きたくないという作者さんも多いようで、「辛口OK」っぽい作者さんや企画でのみ、感想を言うようにしてきました(もしくは絶賛作品)。

「いっそ自分で作った方が早いか」 
そう考えて去年に「じっくり読みこんだ本音感想を書く企画」を開催し、これが第二回です。
この企画の趣旨は「梶野が参加作品の感想をひたすら書く」です。読み合いではありません。

参加条件:
・先着30名。
 感想を書き終えた時点で終了します。 
 1〜2日で一作の感想を書き、二ヶ月以内に終わります。
・下記の「参加方法」への回答をもって、参加確定となります。
※回答は必須なので、ご注意を。
・一万字以内の短編のみ。短い方が熟読できます。
・関連のない複数作品は不可。
・ジャンル不問。作者の好みの傾向はプロフ参考。 
 よく知らないジャンルは前置きの上、わからないなりの感想を書きます。
・辛口でも泣かない。
 質問、反論は近況ノートにて受け付けます。誤解があれば訂正もします。
 それでも納得できない場合は「所詮一個人の感想」と割り切ってください。

ご注意:
・前回はこんな感じでした。
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330647890943183
・梶野の趣味や傾向が気になる方は、プロフや「小説雑話」をご確認ください。
 いわゆるラノベより、やや一般小説よりです。
・テンプレ的な異世界転生やなろう系は、ほとんど読まないのであしからず。
 それでも読んでもらいたいという野心作なら歓迎です。覚悟してください。
・純文学も専門外なので期待しない方がよいです。
 「お上手だけど面白くはない」とか平気でいうので、それでもよければ。
・星やレビューはお約束しません。内容次第です。
・その他、質問などがあれば、以下の近況ノートまで。
・感想は専用の近況ノートに投下する形式です。
 希望があれば、応援コメントへの感想転載、リンク対応もします。

参加不可:
前回参加者で、完全無反応だった人。

参加方法:
下記ノートにて以下の質問にお答えください。感想は受付順になります。
※回答は必須です。
※登録のみで回答がない場合、三日後にキャンセルとして削除します。

・特に意見が聞きたい部分。
・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
・創作論「カメムシの小説雑話」への転載希望か否か。

じっくり読みこんだ本音感想を書く企画2023 参加・質問・返信用
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330661246499480
カメムシの小説雑話
https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941

感想は以下のノートに投稿します。
【01】〜【05】
https://kakuyomu.jp/users/kamemushi_kazino/news/16817330661247799553

前回からの変更点:
・前回は一日一感想でしたが、大変過ぎたので今回は余裕持たせてます。
 調子よければガンガン書きます。
・前回は「私ならこうする」を提案するスタイルでしたが、今回は原則なしとします。
 自分で考えたい方もいるでしょうし、時間もかかるので。
 改善案を希望される方は、感想着手までに企画用ノートでお伝え下さい。
・作品感想は、私の創作論「カメムシの小説雑話」にて転載したいと思います。
 ささやかですが宣伝になりますし、私以外の感想ももらえるかもしれません。
・「小説雑話」には私なりの「感想の書き方、読み方」もまとめてあります。
 参加前に参考にしていただければ。

感想の書き方
https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941/episodes/16817330655389634198
感想の読み方
https://kakuyomu.jp/works/16817330654869504941/episodes/16817330655435222712

それでは、よろしくお願いします。

11件のコメント

  • 【01】love letter.(白木犀)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330660970151819


    ──はい、始まりました、じっくり感想企画2023。
    今年のトップバッターは、白木犀さん。
    昨年のじっくり感想企画に参加していただいて以来、ご縁の続いてる方です。
    前回は正当ファンタジー小説でしたが、今年はえーと……百合小説。

    むうう。
    毎度のぼやきですが、梶野は百合と言うか、同性愛に興味がありません。
    好んで買うこともあまりないですし、漫画でそれっぽいのを読んだことがあるくらいですね。
    百合ものにも種類あるじゃないですか。
    ライトな百合っぽい関係から、ガチのやつまで。
    こんなことなら、「つきあってあげてもいいかな」(ガチ百合漫画)読んでおけばよかった!

    まあ、最近は私もきらら原作のアニメとか見れるようになりましたし、そういう嗜好にも理解が出て来た気がしなくもないです。
    自分で書いてみたいとまでは思えませんが、これを気に可能性が広がるかもしれません。
    最初のタイトルですし慎重に、そして当然正直に感想書かせていただきます。

    そうそう、アンケートのお答えをチェック。

    ・特に意見が欲しい部分。
    →特にはないので、どのような意見でも嬉しいです!

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
    →どちらでも大丈夫なので、梶野さんの書きやすい方でお願いします!

    ・創作論「カメムシの小説雑話」への転載希望か否か。
    →希望したいです!

    とのこと。まあいつものスタイルで大丈夫かな。
    それでは、さっそく始めましょう!


    ⬜️読みながら雑感
    二読の上で、読みながら感想を書いていきます。

    >わたしにとって、誰かを愛することは恐ろしいことでした。
    冒頭、初読の時にちょっと引っかかった覚え。
    次の段落を読み切れば理解できるんですが、そこまでがちょい長いのかも。
    私なら次文の「だから、時折天使がいなくなってしまうのが不思議でした。」は省きます。なくても意味が通るので。

    >そんな言い伝えを天使のわたしは勿論知っていて、
    現実に天使は消失してる事実があるので、「言い伝え」は不適切です。
    私なら「ルール」とかにしますね。

    >そしてその言葉と消失した天使たちを、心のどこかで愚かだと嘲笑していました。

    ここから読み返すに、冒頭の一文は「恐ろしい」より「愚かしい」の方が相応しいかも。
    物語の展開的にも、恐れより馬鹿にした言動が強い印象でしたし。
    まあ、ここはキャラづけで好み分かれる部分かもですが。

    >わたしたちは世界に、そして人に絶望したからこそ天使となったはずなのに。

    この一文は、設定が簡潔に説明できていていいですね。
    詩的というか、雰囲気もよいです。

    >数多の人の悲しみを閉じ込めたような青色でした。
    悲しみを閉じ込めたような青……いまいち想像できません。
    数多であまたと読ませる言葉遣いも、初読時は「天使なんだし時代がかった言葉遣いなのかな」と思っていましたが、後にメンタルが現代の高校生だと知ったので、読み返すと違和感がすごいです。一人称ではキャラに即した表現を徹底すべきかと。

    >わたしはゆっくりと翼を動かしながら、
    どうにも間抜けな絵面に思えます。
    現実の生き物でなく羽ばたく必要もないので、ゆっくりでも問題はないと思う反面、「なのに翼は動かさなきゃいけないんだ」と読める辺りでしょうかそう思わせるんでしょうか。
    翼があることを書いておきたいが故の描写だと思いますが、私なら「翼を広げ」くらいに留めそうです。生っぽさが出過ぎると天使感が減るので。

    >自分を包む大空を眺めていました。
    空中にいるのは伝わりますが、どこを見ているのか視界の方向が伝わりません。
    次文に「身を捻って見下ろせば」と続くので、そこでやっと上を見ていたとわかるので、引っかかる部分です。「大空を見上げていました」と書いた方がスムーズです。
    そもそも、ここの空の描写自体が不要とも言えますが。下界を見下ろすところから書けば、空にいることは伝わりますから。

    >そのうちの幾らかは自死を選んで、わたしのような天使になるのでしょう。

    ここ、初読みの際はかなり驚きました。
    天使というとキリスト教由来ですが、キリスト教では自殺は厳禁ですからね。
    設定自体はすごくいいと思うんですが、キリスト教の天使と真逆なのは流石に違和感。
    設定的には死神の方がしっくりくるんですが、まあイメージ合いませんよね。
    私ならどうするでしょうね……設定は同じで、天使の呼び名だけ微妙に変えますかね。
    「御使い(みつかい)」とか「落穂拾い」とかいいかも。天使の下請け的な。

    >視界に入る自身の長い髪、簡素なつくりの衣服、細く伸びている手足――そのどれもが真っ白なのでした。

    上手くない描写の入り方です。「視界に入る」が不自然で一人称ぽくありません。
    私なら「長い髪も手足も、服までも真っ白な天使に。」とします。

    >恐らくわたしの赤色はあのときに全て零れてしまって、向こうの世界に置き去りにされてしまったのだと思います。

    向こうの世界? おそらく現世のことだと思われますが、この書き方だと死後の世界にも読めます。せっかく眼下に現世があるんですから、「地上」とかの方がわかりやすそう。

    >ああ、少しだけ……恋しいのでした。
    人間への未練と読めますが、冒頭の感情と矛盾して見えます。

    >誰かが泣いている声が聞こえた気がしました。
    ここから始まる段落は必要ありません。
    さしたる情報もないですし、冗長なだけです。
    さらに言えば、主人公が未練たらたら過ぎて、冒頭のイメージからブレています。
    後半に揺れ動くならともかく、この段階では愛を捨て愛を笑うイメージを通すべきです。

    >かつてわたしは、女の人と男の人が愛し合う物語が氾濫する世界で生きていました。

    一人称としては無論、三人称でも微妙な表現です。
    大仰にすぎるというか、現代舞台の話から遠ざかると言いますか。

    >お母さんが言います。「××(もう思い出すことのできない、昔のわたしの名前)は、一体どんな男の子を好きになるのかしらね」お父さんが言います。「××が嫁に行くときが楽しみだよ。きっと素敵な旦那さんを見つけるんだろうな」お姉ちゃんが言います。「私、彼氏ができたんだ。××にも彼氏ができたら、一緒にデートしようね」

    お父さんはこんなこと言わない(真顔)。
    話の筋書きの為に言わされた感満載です。いっそ父親は省くべきです。
    姉の発言はまあよいとして、母親もかなり微妙。
    家族がそういう話になるのって、事後報告からだと思うんですよね。姉の結婚の折りとか。
    そういう意味では、姉→母の順に並べれば幾分ましになると思います。
    あ、父親は抜いてください。こんな父親はこの世に(自主規制)

    >彼女は小学校五年生のとき、出席番号が近く隣の席だったことで仲良くなった人でした。
    前後ならともかく、隣って出席番号が近いもんですかね?
    「隣の席だったことで」で十分かと。名前も覚えてないんですし。

    >お母さんが、お父さんが、お姉ちゃんが教えてくれた「正しい愛」とは絶対に異なっている

    百合感情は詳しくないので触れませんが、家族が「正しい愛」を教えるという表現に、恐ろしく違和感を覚えるのは私だけですかね。むしろ普通の家族って、男女の愛を教えたりします? 私にはそういうイメージ皆無です。
    例えばそう、身内にレズビアン(兄がいてゲイだったとかでも)がいて、特に異性愛を強要されてきたとか、そういう特殊な家庭という流れなら理解できるんですが。
    そもそも恋愛知識って、家族より友人とか娯楽から先に入るものと思いますし。

    >行き過ぎた友情に振り回される日々は、酷く苦しかったから。
    振り回される描写がないので、共感しづらいです。
    秘めた恋心を胸に主人公は友人とどう接していたのか。失敗したり、危なく気持ちが漏れ出たりしたんでしょうか。そういう部分をこそ、書いて欲しいところです。

    >――早く、誰かを、愛してみたい。
    言いたいことは伝わりますが、ちょっと弱い。
    愛するというだけなら、友人に対するものも愛な訳です。主人公が認められなかっただけで。ここで主人公が本当に求めるのは「本物の愛」、つまり家族が認めてくれるような愛ですよね。
    なので私なら「早く「本当の愛」を見つけなければ」と書きます。
    友人への思いがただの友情だったと安心したいわけです。

    >家族から「正しい愛」について幾度となく聞かされながら、わたしは少しずつ、少しずつ病んでいきました。

    この家族、一体何を求めてたんですかね?
    「彼氏のいない女子中学生に人権はない」くらい言われなければ、普通病まないと思うんですが。

    >中学二年生の半ば頃から、女の子たちに虐められるようになりました。机に書かれた「死ね」「消えろ」「殺すぞ」という言葉よりも、「男好き」「ビッチ」という言葉の方に心を砕かれました。そうなれたのなら、どんなによかったでしょうね?

    前段にもありましたが、主人公はクラスメイトの男と話をしてみただけですよね?
    それくらいでこのレベルのイジメに至るのは、ちょっと無理を感じます。「次々とつきあう男を変えた」とかなら納得なんですが。或いは「複数から告白されたが全員断った」くらいでも。「クラスのリーダー格が好きな子と仲良くしてたのが気に食わなかったらしい」とかもありですかね。

    >異性と喋る機会が多いからと短絡的にそれを愛と結び付けられる方が、余程その素質があると思いました。

    ここの「愛」は違和感あるので、「恋愛」の方がよいです。

    >夕陽の差し込む教室の静寂を汚すように、わたしの泣き声が響いていました。掃除当番の人が捨て忘れたごみ箱を漁りながら、

    描写もイマイチですが、何より一人称の視点から外れています。
    私なら「夕日の差し込む教室で一人泣きながらごみ箱を漁っていると、」。

    >そんな願いを考えていたときのことです。
    「願いを考える」って、言いますかね?
    ちょっと調べてみましたが、ネットだと例のない言い回しです。
    文法的に正しいかは私にはわかりませんが、すでに中身のある願いを「考える」というのはどこか違和感を覚えました。
    「願い事を考える」……でも微妙か。
    私なら「そんなことを願っていたとき」または「そんなことを考えていたとき」のどちらかにすると思います。

    >わたしは加害されるのかと思い何秒か呼吸ができなくなり、ようやく息を吸えた頃に振り返りました。

    ちょっと説明口調が過ぎます。
    「加害されるのかと思い」とか、ギャグに片足突っ込みかけです。
    「わたしは何かされるのかと思わず息を詰め、怖々と振り返りました」くらいですかね。

    >同情するように微笑うこともなく、つまらなさそうにそれをわたしに向けて差し出していました。

    正直、この描写からは黒髪の少女の気持ちが読めません。同情はしておらずつまらなそう、としか。
    むしろなぜ裏庭から本を拾ってくれたのか、謎なくらいです。
    思うに、「つまらなそう」という描写から、隠れた気持ちが読めないのが一因かなと。

    「彼女は人形のように感情を見せなかったが、嘲りや同情の色もなく、私は不思議に安心した」みたいな感じなら、表情に乏しいながら親切な子で、主人公から接近したんだなとか思えませんかね。

    >わたしは震えてしまう声で
    ここもおかしな言い回し。

    >彼女との関係性はどこか背徳的で、甘美で、そして……わたしが彼女のことを好きになってしまうのに、そう時間は掛かりませんでした。

    いやいやいや!
    放課後に一緒にいるだけで、ここまですっ飛ばすのは端折りすぎです。チョロすぎです。
    彼女がどんな子かとか、どういう話をしたとか、どういうところが好きになったとか、簡潔でいいので並べておくべき場面でしょう。
    百合恋愛ものの一番美味しいところじゃないですか!

    >わたしは耐え切れなくなって、程なくして家族にこのことを打ち明けました。

    うーん。普通に考えて、性の悩みを一番に家族に、それも全員に打ち明けます?
    しかも「正しい愛」とやらを説いてきた総本山に。結果最初からわかってるって話です。

    そもそも、片思い段階で確かめたいのは、まずもって相手の反応でしょう。
    「女同士とかどう思う?」とか、それとなく探り入れて。
    その上で伝えるべきかどうか悩んだりするものだと思いますが。一般的には。
    そこをすっ飛ばして、元より否定的な家族に相談する展開は、無理がありすぎると思います。
    相手に告白して、OKもらえて、それからやっと家族じゃないですかね?
    別に家族に伝えなくても、二人で十分幸せになれるんですし。

    >そんなことありませんよと嘘をついて、代わりに下らない話をしました。

    「……××、何かあったの?」の答えとして、「そんなことありません」は変です。
    「別に何もないよ」辺りが妥当でしょう。

    >彼女が可笑しそうに笑って……その綺麗な表情を見て、わたしは死ぬことを決めました。

    えっ。
    この部分で、死にたくなる要素ありました?
    すみません。百合に疎いせいかもですが、私には皆目理解できません。

    >天使には役目があり、それは死にゆく人がこちらの世界に来る際の橋渡しをするというものでした。

    役割的には死神ですよね。
    「死にゆく人」と書くと「死のうとしてる人」とも読め、例えば天使が自殺教唆するようにも読めるのですが、この場合どっちなんでしょう。
    本編の中ではそういう活動は見られなかったので、「魂を天に連れていく」という意味合いですかね?
    もしそうなら、「死にゆく人」より「死者」とはっきり書いた方が伝わりやすいと思います。

    >わたしが天使となってから一年ほどの時間が経過しており、
    この文から始まる段落も、長いわりに当たり前のことしか書かれておらず、冗長です。
    この次の段落と足して、文字数を同じにするくらいでちょうどいいです。
    「人は皆いつか死ぬ運命を抱えながら生きている」とか、誰でも知ってことを長く書く必要はありません。

    >人は誰かが本当に大切にしているものを、簡単に土足で踏み荒す生き物ですから。

    友人との別れ方が意味不明なので、ここも感情移入できません。
    これが友人に裏切られて自殺したなら、世を恨むのも理解できるのですが。

    >わたしは少しだけ、もう動いていない心臓を掴まれたような心地に陥りました。

    「少しだけ」は不要です。

    >……それは、船香が死んだ頃のわたしと殆ど同じくらいの年頃だったから。

    ここ。こう書くと、驚いたのは、船香が同年代だったからに読めます。
    流石にそうじゃないですよね?この後の「彼女は酷く痩せ細っていて」ですよね?
    もしそうなら、順番の前後を入れ替えるべきです。
    「彼女が酷く痩せ細っていたから。わたしと同じくらいの年頃なのに」の方がスムーズに読めます。

    >少しばかり色素の薄い瞳の色をしていて、それは仄暗い紅葉の森を想わせる深淵さでした。

    紅葉の森の形容は割と嫌いじゃないですが、色素とか深淵とかは説明しすぎ、形容過剰です。
    「黄昏時の紅葉を思わせる瞳」くらいで十分じゃないでしょうかね。

    >病に冒されているなど、もうすぐ死を迎えることなど、全く感じさせない太陽のような笑い方でした。

    ここ、船香自身は、病で自分が死ぬことを知っているんでしょうか?
    それによって受け止め方がかなり違ってきます。
    この後でも明言されていないので、わかっているなら説明すべき情報です。

    >ふと、この人の愛について知りたいと思いました。
    はよいとして、

    >どうせあなたもあの人たちと同じように、普遍的な愛を愛しているのでしょう……?
    なんで友人や家族のお見舞い後の場面から、恋愛に話が飛ぶのか理解不能です。
    「人間はクソ」を受けての「友人も家族もクソなのにww」と嗤うならわかりますが。
    せめて恋人らしき相手が出てくる場面とかからの連想にすべきかと。

    >少しばかりの模様が入った真っ白な便箋を広げて、年季の入った鉛筆を大事そうに持ちながら、

    なんか「少しだけ」とかさっきから余計な「少し」が目立ちます。
    当然ながら、ここの「少しばかり」も不要な情報です。模様が生きる話ではないので、「真っ白な便箋」で十分。
    「年季の入った鉛筆」もおかしな表現です。鉛筆は使い捨てですよ。万年筆とかならまだしも。

    >幾つもの思い出と感謝の言葉に溢れたそれは
    ここ、手紙が誰に向けられたものか書かれていません。
    おそらくは見舞いに来た人とかかなと想像しますが、これは家族愛とか友情の話ですよね。
    主人公のこだわる「普遍の愛」と方向違って来てるような。

    >けれどそれと同時に、わたしは船香を尊敬しました。
    えっ!?
    いや、早い早い。チョロすぎでしょう。
    それに、この手紙は恋愛のものじゃありません。いわば隣人愛です。
    主人公のこだわりはどっちなんです? 恋愛? 隣人愛?
    なんかごっちゃになっていますよ。

    >わたしが船香のような状況に置かれたら、容易に世界を、そして人を憎むでしょうから。

    えーと、病気になったらってことでいいんですかね。
    まあ運命を呪うとかはありそうですが、人を憎む理由になります? 病気って。
    まあ、キャラの個性と言われればそうですが、共感しづらい主張です。

    >船香はわたしと似ているようで、ちっとも似ていないのだということに気付き始めました。

    どっか似てるとこありましたっけ。
    振り返って読んでも、年頃くらいしか共通点ないような。

    >わたしは彼女の耳元にそっと自身の唇を近付け
    「自身の」はいりません。他に誰の唇があるんですか。

    >わたしが言葉に殺されたように、きっと言葉には目に見えない力が宿っていて、それを世界に聞かせることに意味があるのですから。

    言霊は私も信じてるクチですけど、聞こえない言葉に力はないと思いますよ。
    「世界に聞かせる」も、よくわかりません。
    「あなたの愛を見せてください」を世界に聞かせる意味とは。
    まだ「世界はクソ」と疑ってるんですよね?

    >少しばかり口角を歪めました。
    また「少し」!
    「口角を歪める」も、一人称で使う言葉ではありません。

    >船香は紅葉の色をした目を丸くして
    そうそう。これくらいでいいんです。

    >わたしはその様子を、自身の腕を組みながら眺めていました。
    ここも「自身の」は不要です。他に誰の(ry

    >ねえ、船香。結局あなたも人なのでしょう? 見せてくださいよ、あなたの汚いところを――

    あんた、30行くらい前に「船香を尊敬しました」言うてたやないかい。

    >船香のもうすぐ終わってしまう肉体は、少女の体躯を慈しむように抱きしめました。

    この場面でこの文章は、一周回ってギャグですね。
    「もうすぐ終わってしまう」はまだしも、「体躯」て。
    日本語として誤りではないですが、百合の恋愛シーンで少女に使う表現だと思えません。
    「体躯」は「体格」と同義で、およそ男性的な意味合いで用いられるので。
    参考:https://reibuncnt.jp/20000

    >ああ――わたしはもう、この場所に留まることが、できそうにありませんでした。

    んん?
    ここも私には理解不能です。なんで主人公は逃げてるんです?
    主人公がかつての友人に手ひどい扱い受けて死んだ、とかならわかりますよ。
    こんなふうに優しくふってくれる人もいるんだなと。眩しすぎて見ていられないと。
    でも、違うじゃないですか。
    主人公は友人に告白しませんでしたし、フラれもしてないですよね?
    なんだかよくわからない理由で、自殺してしまいましたが、友人が無意識に主人公を傷つけたようにも思えません。
    ここの主人公の反応、すみませんが私にはさっぱりです。

    > ――わからないけれど……わたしはきっと、この人に救われたのでしょう。

    前段を理解していないので、当然ここに至る理由も謎のままです。
    まあ、百歩譲って船香の隣人愛に打たれたというのはわかります。(後で呪ってたけど)
    ですが、主人公の死因は許されなかった同性愛で、そこに関する限り、船香も許してないわけで。
    友情を壊さぬよう、丁寧に断ったというだけの話ですよね。
    何をどう救われてるのか、そこのところが私には理解できません。

    私が理解できそうな話の筋書きを考えるなら……そこは後述しましょう。

    >自分の翼が段々と壊れていって、病室に舞う雪のような羽に囲まれながら

    「ゆっくりと壊れていく私の翼から、雪のように白い羽がこぼれ、病室に舞う。」

    >――わたしには、時折見る夢がある。
    ここからの描写は、メルヘンチックで悪くないです。
    大仰な言葉遣いもファンタジーで補正されるので。

    >そうすると決まって、一人の少女と出会うのだ。
    ここの主体と少女が誰なのか。
    一読目は普通に主体が船香で少女が元天使かと思ってましたが、あれ?
    よくよく読むとどうとでも取れて、意味がわからなくなりました。

    >真っ直ぐな茶色の長髪は、時折柔らかな風になびいて形を変える。
    ここに髪色があるので、調べたら誰かわかるだろうと検索してみましたが、「茶」でヒットするのは、船香の瞳だけです。……誰やねん、茶色の長髪!!
  • 【01】love letter.(白木犀)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330660970151819

    感想 その2


    ⬜️全体の感想

    ・タイトルについて
    捻りも特徴もないタイトルです。
    「制限時間10秒」と言われたら、こんなタイトルにするかもしれません。
    何より、この手紙は物語の中心というほどでもありません。
    家族や友人に向けたもので、百合恋愛とは絡んでないんですから。
    ラブレターと呼ぶべきかどうかすら、怪しく思います。

    少し考えれば、幾つかタイトルは思いつきそうですが、
    どれにせよ、今のタイトルよりはマシな自信があります。

    ・文章について
    前回以来、時々作品を読ませてもらっていたので、あえて言わせていただきますが、今作はぶっちぎりで文章が下手です。
    何か悪いものでも食べたのか、心配になるレベルです。
    百合物は他にも書いていましたし、題材故じゃないですよね?
    一人称に不慣れ? その可能性はあるのかもしれません。

    今回の文章の問題点は読みながら感想でさんざん指摘しましたが、大きくまとめると、

    ・一人称なのに地の文のような気取った表現が多い
     おそらく天使というスタンスからこういう口調なんでしょうが、性格的にまるで天使的な超越感がないので、
     逆効果もいいところです。
     これがまだ「天使になって百年。人間時代を忘れかけてる」みたいな設定なら、わからんでもないです。
     でもこの主人公、まだ死んで一年の新入社員です。まさに学生気分抜けてないって感じですし。
     悪いこと言わないので、口調は年相応にした方がいいと思います。

    ・「少し」や「そっと」の多用
     これは言うまでもなく。不要な表現がくっつきすぎです。
     一度推敲して、なくてもよい言葉を除いてください。多分500文字くらい痩せられます。

    ・説明口調が多い
     一人称が説明的になるのは、ある程度仕方ありません。そこの不自然さはまあ許容します。
     問題は説明がびっくりするほど下手ということです。
     前回の感想時は、こんなに下手という印象はなかったんですが。一体、何故?
     徹夜で書き切って、そのまま企画に突っ込んだとかじゃないですよね?

    ここについては、本当にじっくり理由をお聞かせ願いたいところ。
    本当は文章が達者になった前提で、お話作りにおける気になってた部分を伝えたいと思ってたんですが……
    今回の作品を見る限り、まだ伝える段階ではないと判断しました。

    ・内容について
    一言で言うと、支離滅裂ですね。
    詳細は読みながら感想時に書きましたが、とにかく穴が多いです。
    伝えるべき情報が書かれておらず、テーマもとっちらかっています。

    ざっくりこの話のあらすじを書くとですよ。
    「同性愛を許されず世をはかなんで天使になった主人公が、死期の近い船香と出会い、彼女の隣人愛と同性からの告白を優しく断ったことに心打たれ、愛を知り消滅する」

    ……なんでとっちらかってるかと言うと、恋愛と隣人愛を混ぜてるからです。
    百合ものとして突き詰めるなら、そこは恋愛一本に絞るべきでした。

    ちなみに隣人愛と恋愛の扱いもぐちゃぐちゃで、筋が通っているように見えません。

    まず隣人愛。
    確かに主人公はいじめられていましたが、同性愛のことを抜けば家族とはよい関係に思えます。
    (この程度の無理解は、同性愛に限らず五万とあるでしょうし)
    そもそも病気なだけで、他人を恨む必要のない船香は主人公と立場が異なるので、「船香はすごい」となる展開自体が変です。

    恋愛は何度も言いましたが、主人公は告白も振られてもしていない。
    前段階でへし折れて、なんか死を選んでしまっただけです。
    一番かわいそうなのは、友達に謎に死なれた友人だと思います。

    船香にしても、いって同性の告白に対して丁寧に断った、というだけです。
    まっとうな反応という意味では感心しますが、感動はしないです。
    これも告白した友人にすれば「いいお友達でいましょうね」と言われた男のようなもので。
    いくら真摯に対応されても、やり場のない感情が迸ってしまうのが恋だと思うのですが。
    それこそ、こっちの友人が自殺してしまった方が、まだしも気持ちがわかる気がします。

    ラストの夢の場面は、描き方自体はそう悪くないです。
    ただ、ここまでのストーリーがこの有様なので、推察に困ります。
    というか普通に考えて、主人公も船香も死んだ後とかですよねあれ。
    なんとなくハッピーエンドにみえて、何も救われてない気がするんですが。

    主人公の最後の台詞の辺りで、「天使が愛を知って死ぬ際には奇跡が起こる」みたいな設定をあらかじめ提示しておいて、その上で船香は助かり、あの夢を見た……という展開に、私ならすると思います。

    ちなみに今作を私が書くなら、あらすじはこんな感じになります。
    あくまで別作品として、読んでいただければ。

    「主人公はゲイの兄の影響で同性愛を毛嫌いする家に生まれ育った。
     親の手前、言い寄る男性と交際を重ねるが、誰も好きになれない。
     それが原因でいじめの対象になり、学校で孤立する。
     そんな中、初めて好きになったのは、同じく孤立していた同性の友人だった。
     想いは嵩じ、彼女に告白する主人公だが「噂になるのが嫌」と断られ、自死する。

     死後、主人公は死者を天にいざなう天使になる。
     天使は人を愛すれば一つだけ奇跡を起こせるが、それは完全な死を意味する。
     それでも愛のため消え去る天使を何人もいて、理解不能だった。

     やがて天使は、船香という余命わずかな少女と出会う。
     船香の見舞いに来る者はごく少なく、天使は彼女も世界に嫌われているのだと感じる。
     船香は自身の寿命が残り少ないことを知っていた。
     けれど気落ちする様子もなく、毎日熱心に手紙を書いては、引き出しにしまう。
     天使は好奇心から、その手紙を覗く。それは一人に充てた大量の恋文だった。
     
     ある日、船香の友人が、初めて病室を訪れる。
     友人は船香の入院を知らされておらず、入院を報せなかった船香をなじり、嗚咽する。
     彼女は船香の一番の友人だった。それ故、入院も余命のことも言えなかったのだ。
     友人は船香に愛を告白するが、船香は傷つけぬよう、優しく振ってみせる。

     天使は驚く。
     船香が書いていた大量のラブレターは、その友人充てだったからだ。
     両想いにも関わらず、船香が友人に応えなかった理由は一つしかない。
     同時に、天使は思い出す。
     自分を振ったあの子も、同じだったのではないか?
     「噂になりたくない」という答えは、自分を護るためだったのではないか、と。
     友人を見送り、孤独になった船香を天使は愛し、奇跡を起こす。

     夢の場面。
     退院の決まった船香は、最後の夜、花園で天使と出会う夢を見る。
     彼女は自分のように、何枚も恋文を書いており、一枚の便箋を船香に手渡す。
     目覚めた船香は、友人と退院の準備中、書いた覚えのない便箋を見つける。
     見知らぬ宛先だが、友人は知っていた。近所に住む年上の女性らしい。
     得体のしれない手紙だったが、誰かに頼まれた気がする。
     しぶる友人を説得し、船香は手紙を女性──かつての天使の想い人に手渡すと決める」


    ……つい筆が乗ってしまいましたが、まあこんな感じなら筋が通るかなーと。


    ⬜️総評
    ・文章、内容ともに赤点。心配になるレベル。
    ・テーマが散漫で、感情移入が難しい。
    ・最後の場面の描写はよい。でも意味不明。

    初回から辛口になって申し訳ないですが、うーーん。残念の一言。
    題材そのものは悪くなさそうなので、まずは調子を取り戻してください。
    普段はこんなことないということは、私がよく知っていますから。
  • 【02】紅の贖罪(木村比奈子)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330661182904130


    じっくり感想、二回目は木村比奈子さんの「紅の贖罪」。
    紹介文では、
    「恋愛×ホラー×ミステリーの長編です。4話あたりから面白くなります。」とありますね。ふむふむ。

    アンケートのお答えの方は、

    ・特に意見が欲しい部分について
    まだ導入部分しか書いておりません。個人的に、導入で引き込む力がなければ意味がないと考えております。まずは引き込まれる、興味が湧いてくる作品かどうかを見ていただきたいです。

    そして、文章について。設定などもわかりにくければ指摘してくださって構いません。

    ・こう書くアドバイスについて
    お願いします。

    辛口はぜんぜんOKですので、びしびし指導お願いします

    とのこと。
    完結作前提のつもりの企画でしたが、条件書き忘れていましたね。
    まあ、見て欲しい部分が「導入部分の評価」とわかりやすいので、お受けしようと思った次第です。

    導入は大事ですよね。
    梶野は長編を読む際、ほぼ一話目で作品を見切ります。
    一話目は作品の顔です。パッケージです。
    作品の全てが現れる部分ですし、現すべき部分でしょう。
    「続けて読めば面白い」なんて、まったく信じておりません。
    そんなことを言わずとも、「先を読みたい」と思ってもらえる一話目を書くことに全力を注ぐべきだと考えています。

    こちらの作品は参加時点から毎日更新されているので、どこまで読むべきか悩みましたが(話数ごとの文字数チェックできないし)、ひとまずお勧めされている四話まで感想を書きます。その上で先を読みたいか、導入部分の工夫の余地はあるかを考えてみましょう。

    なお、一読した限り、文章力はほぼ問題ない作者さんだと感じました。
    ですので、文章チェックの際、細かく褒めはしません。すごくいいと思ったところは褒めますが、基本、全体的にレベルが高いと評価してると思っていただいて結構です。
    逆に、指摘点は重箱の隅を突くことになりがちです。
    これだけ書けているのだから、もっと上を求めるという感じです。
    「私だけやたら反応薄いし、手厳しい」と思われる必要はありませんので、あしからず。

    それでは、感想を書いていきましょう。


    ⬜️読みながら雑感
    二読後の感想を、読みながら書きます。

    >「いい子」

    >───知らない人と口を聞くな。水を汲んだらまっすぐ家に帰れ。
    ウェブ小説なので細かな文章ルールは問いませんが正統派スタイルのこの書き方で三マスダッシュ(──)は勿体ないです。標準は二マスです。

    ここの母の言葉は、同文の「いまわしい歴史」に関わるべきだと思います。
    「知らない人と口を聞くな」はよいとして、「水を汲んだら」は無関係です。
    この後のルビーの行動を鑑みても、私なら「森には立ち入るな」にします。

    >そこに彼───ジャックが立っていた。
    この冒頭の場面、二人の年齢がいまいち判別しづらいのが気になります。
    「水に飛び込む」、「大人に叱られるような何かを考えている」から見るに小さな子供のように見えますが、「兎罠を仕掛ける」のは幼い子供には難しそうですし、危険だという森にも平気で行き、ルビーも注意しません。というかファンタジーなので、「子供でも兎罠をしかけ森に入るかも」と考えるとより推測が難しくなります。「いい子」という冒頭の独白も、「もしかしてこの部分は別の回想か?」と邪推したくらいです。

    私ならとりあえず、二人の年頃がはっきりわかる部分を書き加えます。

    >「行けないわ。鶏に餌をあげないと」
    母親の言いつけは「まっすぐ家に帰れ」なので、「言いつけを守るいい子」を意識させるなら、「行けないわ、まっすぐ帰らないと」であるべきかと。

    >私はジャックの誘いを断りきれない。
    ここは、二人の関係を描く意味でも、「断り切れない」過程に触れるべきです。
    ジャックが強引だから、ルビーが断り切れないのか。
    単にルビーの意思が薄弱なのか。家事から逃げたいのか。ジャックが好きだからか。
    やりとりや仕草で、二人の関係性を伝えられる大事な場面だと思います。今のままだと、微妙によくわかりません。

    >私はスカートが破れることも気にせずに
    直接書かず、ルビーが大人でないことを伝えているのは好感。
    ただ、子供でもどの年代かわからない感じですね。

    >兎はすでに掛かっていて、まだ元気に抵抗を続けていた。
    吊り上げ式の罠でしょうかね?
    絵になるので、私なら「ぶら下がっている」部分も描写すると思います。

    >人は何かを殺さずには生きていけない。
    ルビーの性格が出ていてよい部分な反面、年齢がはっきりしないので、「大人びた考えを持つ子供」なのか「こう考えられる年齢」なのかがあやふやです。

    >「なあ、ルビーがやるか?」
    二人の性格がかいま見えるよい展開です。
    ただ、「今までジャックはどうしてたの?」と普通に思います。
    年齢の設定にもよりますが、私なら「初めて兎罠を仕掛けた」話にすると思います。それならジャックの矛盾(罠は仕掛けるが始末を躊躇う)も理解できますし。

    >ぎゅっと目を閉じ、私は一気にナイフを引いた。
    男より大胆なルビーの性格を見せつつ、血生臭い展開の暗示。
    大変よいかと思います。

    >「いい子」は兎狩りなんてしない。そして森に入ることも。
    ここはちょっと疑問。
    中世くらいの農村で、狩をして食材を獲ってくるのは立派な話で、「悪い子」な気がしません。むしろ「兎が狩れて一人前」くらいありそう。
    ルビーは下処理は「悪い子」だと思っていませんが、そちらは理解できますしね。

    森はよいとして、ここら辺の疑問はさりげなく言及しておいてもよかったかもしれません。ファンタジーに限らず、馴染みのない場所を舞台にする小説では、細かな慣習などは説明しておかないと、「普通はこうだけど、このキャラは違う」が伝わりにくいので。

    >それは私が、生まれた時から「悪い子」だったからだと思う。
    ふうむ。
    今のところ、そこまで実感はありませんが、まあここは後の展開の布石なんでしょう。謎を残して一話目を終えるのは、導入として巧みでよいかと。

    >1 鐘の音

    >男たちが木の切り出しをしているであろう森に入り込んだ。
    私なら「向かった」にしますかね。

    >鳥や風の声が空気を震わし、しっとりとしたにおいに包まれている。

    ここの繋ぎは微妙。
    「しっとりしたにおいの空気を、風や鳥の声が震わせている」

    >木漏れ日が、私の肌をくすぐって通り過ぎて行く。
    ちょっと微妙ですが、主人公が歩いていく表現ですかね。

    >あれから10年。私とジャックは17歳になっていた。
    ここでやっと年齢が出てきました。
    ただプロローグの話は、「あれから」と位置付けるようなエピソードに思えず、無理やり感があります。
    読みやすさを考えても、前話のうちに年齢を出して、ここでは「17歳」とだけ書いた方がいいと思います。

    >私たちは幼い頃と同じに仲が良かったし、そしてなんとなく、これからもずっと一緒にいるのだと思っていた。誰に何と言われようと、私たちは離れない。

    「なんとなく」と「誰に何と言われようと」で矛盾に読めます。
    「私たちは幼い頃と同じに仲が良かったし、誰に何と言われようと離れる気はなかった。」の方がよいかと。

    >黒い髪と緑の瞳は勇敢な騎士のように精悍な印象を与えている。

    髪と目の色から精悍な印象は受けません。
    立派な体格や筋肉、目でも目つきをもってくるべきです。

    >ジャックの襟を軽く引っ張った。
    ここの絵がいまいち見えません。
    キスの暗喩かもですが、もしそうなら特に隠す必要もないのでは。
    私なら「キスをした」まで書くと思います。二人の関係を一言で伝えられますし。

    >「聞いたよ。君とハワードの話」
    恋愛と危機という展開は、読者の興味をそそるので導入としてベターですね。

    >私が牧師の息子であるハワードと結婚すれば、貧しい暮らしからは解放される。

    牧師って金持ちの印象がないんですが、どうなんでしょう。
    都会の牧師ならともかく、田舎ですし。

    >貧しい暮らしからは解放される。
    一次産業メインの農村なら、周囲もほぼ貧しい生活でしょう。逆に生きてくだけならそこまで金は不必要な気がしますね。都会ならいざ知らず。
    母親が金に執着する理由には弱いので、別の理由を考えてもいいかもしれません。
    家が古く立て直しが必要とか、家畜を揃えるまとまった金がいるとか。

    >「俺と逃げよう」
    文化や風習が謎なので、そこまでする話なのか、ややわかりづらいです。
    でもまあ、若い二人が村を出たいとかは普通の感覚でしょうし、そういうものだと共感はできます。

    >「知ってる」
    「じゃ、証明して」とか言ってたやろがい。

    >そっと唇を重ねると
    あ、こっちでキスしてますね。
    なら、襟をどうこうの部分は「抱き寄せる」くらいでいいかな。

    >大狼ダイアウルフが、村の誰かを襲ったのだ。
    引きのある、いい締めくくりだと思います。
    いよいよ物語が動く、って感じですね。

    >2 約束破り

    >私は村から滲み出る慄然とした空気に慄いた。
    「頭痛が痛かった」みたいな表現です。
    私なら「私は村から滲み出る空気に慄然とした。」

    >ジャクリーンは二つ年上の酒造家の娘で
    こう書くと「二つ年上の酒造家」にも読めるので、私は避けます。

    >――首に噛みつかれていたんですって。
    ちょっと迫力不足。
    私なら「喉を食い破られた」くらいにします。
    ところで、この辺りはニマスダッシュですね。プロローグのは直し忘れ?

    >きな臭いにおいを感じ、私は唇をかみしめた。
    すでにきな臭い(物騒な)ことは起こってるので、不適切です。
    「なぜ今頃姿を現したのか。」にかけるなら、「不穏な予感」とかですかね。

    >暗い穴が四つ空いている――それだけに見えた。
    ここの描写は謎です。
    狼に首を噛まれて、穴が四つで済みますかね?
    吸血鬼ならともかく、傷が綺麗すぎる気がします。
    まあ、そもそも大狼がどういう怪物なのかもまだ不明ですが。
    というか大狼の仕業でない可能性もありますか。

    >美しい花弁の純白のその花をそっと添えた。
    ここは描写過剰です。
    「純白のその花を」くらいで十分です。

    >黒い毛皮は悪魔を呼ぶとも鋭い牙と鍵爪にかかれば
    ??? 脱字ですかね?

    >鋭い牙と鍵爪にかかれば
    鉤爪。

    >人を嚙み砕いては去っていく。
    微妙な表現。
    あと、大狼は人を「食う」のかどうのか明言されていません。
    それに家畜は襲わないんです? 人より手軽そうですが。
    重要な情報なので、明示すべきです。
    現にフランクの死体は特に食われていないようですし。
    これが人の手によるものなら、推理材料として余計に必要です。

    >村人は狼の陰におびえながら、毎日を闇の中で過ごしていた。

    前段で「五年前まで、この村は大狼に襲われていた。」とありますが、
    何年前から襲われ始めたんでしょう?
    兎罠の話が十年前ですから、被ってるとすれば奇妙な話です。

    あと、「闇の中を過ごしていた」は、狼が闇に紛れて襲ってくるのを考えると微妙に感じます。(絶望の表現だとわかりますが)
    「夜も眠れぬ毎日を過ごしていた。」の方がらしいのでは。

    >そんなある日、勇気ある牧師が、満月の晩に極上の家畜を狼に捧げる、という約束を交わした。

    ここは二通りに読めてしまいます。
    大狼に人間並みの知恵があり、交渉可能。
    牧師に魔物と意思疎通する能力があるだけ。
    まあ、後に説明が出て来るかもですが、気になったので。

    満月の晩って、月一回ってことですか。
    相手は怪物なのでアレですが、ちょっと少ない気がしますねw

    >それなのに――それなのに、狼は突然村人を襲った。
    この過去を知ると、フランクが死んで人が集まった時、牧師を問い詰めようという話が出なかったのが不思議ですね。話が違うだろと。葬式も大事ですが、まずそこに行く気がしますが。

    >私は深い青のビロードのマントをきつく体に巻き付けた。

    大狼の説明から場面転換するので、この文の前に一行開けてもいいですね。

    >そしてある日――父は街へ行ったきり、帰ってこなかった。

    これ、どれくらい前の話でしょう。
    それによって、主人公の心情への共感が違ってきます。

    >短い階段の周りには花が植えられ
    玄関前の階段だろうと想像はできますが、明記した方が確実かと。

    >母と姉が、丁寧に家を守り続けているおかげでまだ住み続けることができる。

    他人事みたいな口ぶりが気になります。

    >母はちらりと姉の方に目をやり、小さく言った。
    母親の台詞が離れているので違和感があります。
    この文章の前に台詞を入れるべきです。

    >人の死を、勿体無いで片付けられる母。
    母親の金への執着は謎ですが、とりあえずこの性格なら納得はします。ルビーが家を出たいという気持ちもわかりますね。

    >ああ、ジャックと逃げてしまいたい。
    逃げればいいんでは。
    計画立ててたのは、どっかいったんで?
    村に事件が起こるとか、むしろ絶好のタイミングでしょう。

    >3 酒場の会合

    >ぞろぞろと列を作って墓地へ向かい、フランクが暗い穴に消えていった。

    この一文は非凡ですね。
    ここの葬式の描写は、完成されていて絶賛します。

    >男たちの跡にひっそりとついて行った。
    「後」。

    >黒ずんで傾いた、酒場の戸口の前に立つ。
    戸口が傾くイメージが湧きません。扉ではなく?

    >煙と葡萄の匂いが漂い鼻腔を覆う。
    「鼻腔を覆う」は意味不明です。
    私なら「鼻腔に触れる」とかですかね。

    >ささくれた木のカウンター
    いや、カウンターがささくれるのは有り得ないでしょう。
    商売舐めてるレベルです。まして林業やってる村なのに。
    酒飲みとして断固、訂正を求めますw

    >エミリアは勝手にカップに紅茶を注ぎ、私の前に置いた。
    中世?の酒場で紅茶が出てくるのはちょっと違和感。
    酒よりお茶のが高そうなイメージですが。

    >「それにしても男ときたら。フランクを弔うためとか言って、お酒ばっかり飲んでるんだから」

    あんたも酒飲みに来たんやろがい。

    >「なんで倅せがれが殺された! クソ狼がよお!」
    先にも書きましたが、遺族の嘆きの行先は牧師になるはずです。
    というか、葬儀の際に牧師もいたんですよね?
    そこで牧師に事情を聴くとかの展開の方が自然でスムーズだった気はします。
    たとえ牧師が事情をわからないにせよ、村人の不安は当然牧師に向かうわけですから。
    というか五年前の話ですから、牧師は狼を説得した本人なんですよね?

    >ローズが明るく言った。
    一人称語りの文章で、ルビーが姉を名前で呼ぶのはおかしいです。
    普段から姉をローズと呼んでいるなら別ですが。

    >姉はいつだって優しい。
    ここら辺の姉の設定は、救いがあってよいと思います。

    >ずげずげとものを言われることも多い。
    「ずけずけ」かと。

    >その不幸な死がこれからも続くことになるとは、まだ誰も想像していなかった。私も、その一人だった。

    これは流石に無理があるでしょう。
    大狼の襲撃が初めてならわかりますが、五年前の再来です。
    その関係者なら、襲撃が続くのではないかと疑う方が普通です。
    ルビーが想像しないにせよ、多数は最悪を想定すると思います。

    >4 慟哭

    >ようやく眠りについた時は真夜中を過ぎていただろう。
    なんか微妙に感じます。
    「真夜中を過ぎていた」でいいのでは。

    >小さな窓から差し込む光は淡い藍色で
    空の色ならわかりますが、差し込む光が藍色は比喩でもないです。
    私なら「小さな窓から見える空の色は淡い藍色で」にします。

    >私は驚いて目を見開いた。
    驚くか目を見開くか、どちらかで十分です。

    >不安になってベッドから降りた。母を起こさないように足音を忍ばせ、きしむはしごを降りた。

    「降りた」が被っています。
    「不安になってベッドを出た」の方がよいかと。

    >煌々と眩しい月明かりが
    うん? 夜明け前ですよね。矛盾してません?

    >煙突に抜ける北風ががらんどうに響いている。
    がらんどうの使い方が変です。
    そもそも煙突に外からの風は入りません。

    >姉の細い身体の下には奇妙な色の水たまりが広がっている。それが血だと気づくまで、しばらくもかからなかった。

    この描写はイマイチです。

    >姉の腕に爪を食い込ませ、肩に噛み付いている黒い影。大狼だ。

    この描写からは、狼のサイズ感がまったく伝わりません。
    巨大という説明がありましたが、ファンタジーなので常識の範囲で想像できないんです。大きな犬並みなのか、牛くらいか、大怪獣なのか。

    >黒い体毛は太く、脂っ気もなくぱさついている。
    この状況で、そんな描写をする必要はないと思いますw

    >狼の頭に命中し、ギャンっと低い悲鳴が響いた。
    ここが一番驚きました。
    よっわ!
    「巨大な体躯は岩のように頑健で、鉄をもはねかえす強靭な肉体を持っているという。」って説明されてたはずですが、素焼きの人形が当たったくらいでこの反応はないと思います。
    せめてこう……投げたのが農具のフォークとかで、目に刺さったとかで、それで「ギャン」なら、多少はわかるんですが。

    >鮮血の滴る腕を咥え、狼はあっという間に姿を消した。

    この展開も、弱さを強調しているようで嫌です。
    女一人相手に尻尾巻いて逃げるとか。
    腕一本て、食べるにせよ物足りなくないですか?
    展開が無理やりで、作者のご都合を感じます。

    >ぎざぎざと波うつ断面
    ぎざぎざ「に」

    >「だって、悲鳴を、あげたら。あなたが、来てしまう、でしょ」

    この台詞自体は素晴らしいのに、
    「ルビーが来た結果、狼は退散した」という事態のせいで喜劇です。

    >それが、彼女の最後の言葉だった。
    この段落の悲しみの描写は、とてもいいと思います。

    ところで、姉の死因は片腕切断による出血死、でいいんでしょうか?
    他の怪我の描写がないので、もしそうだと考えると、かなり怪我の判定にシビアな設定ですね。いや悪いわけではないんですが、この後も狼の襲撃があるものとして、リアリティのある負傷判定にすると、ピンチの演出が難しくなるかもな、と思いました。まあホラーと考えれば、それくらいの方がいいかもしれませんが。

    >夜が終わっていた。白い太陽が、私たちを場違いなほど浮かび上がらせている。

    この締めくくりはイマイチ。
    書きたい情景は伝わりますが、文章が追いついていないイメージ。
    私が書くならそうですねー。
    「夜が終わった。太陽が昇ったのに、私たちは夜に取り残されたようだった。」

  • 【02】紅の贖罪(木村比奈子)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330661182904130


    ⬜️全体の感想
    ・タイトルについて
    物語の全体像がわからないので、保留します。
    多分わるくない気がします。

    ・文章について
    海外翻訳小説を思わせる、重みのあるいい文章です。
    この手の文章は小難しくなりがちですが、そうならないバランスが取れてる点も評価高いです。今後もこの感覚を維持していただきたいところ。
    表現力も豊かで、特に心理描写が巧みだと感じました。

    ただ、読み始めに想像していたより、穴は多かった印象。
    なまじ平均点が高いだけに、思いがけない穴に躓いて、あれっとなることが何度かあります。表現を捻るあまり、芯を外してしまったのでは。

    センスは十分にあると思うので、読者視点から何度か読み直し、穴を塞ぐことを習慣づければ、この辺の欠点はわりと簡単に克服できるかと思います。

    ・内容について
    物語の全体像は現時点ではわからないので、現時点までの問題点と、導入部分としての評価を。

    ここまでのストーリーの問題点は大きく二つ。

    一つはフランクの死後、誰も次の襲撃を想像せず、牧師に相談もしない点。
    この展開はどう考えても無理があるので、改善すべきだと思います。

    具体的には、葬儀の場面で牧師を登場させ、村人に抗議させる。
    牧師にはこの時点で出せる情報を出させるが、まあ基本的には無策で終わるでしょう。
    この時に牧師息子も登場させていいかもしれません。
    結婚させられる相手がどんな奴なのか、読者は興味をもっているはずです。
    この後、葬儀を終えた酒場のシーンに繋げれば、元の路線に戻せるかと。

    もしくは、前の狼の襲撃を、もっとずっと昔、何十年も前にすることです。
    ルビーも生まれる以前の話なら、そこまで危機感を持たずとも納得できます。五年前とか、余裕でトラウマ残ってそうですからね。


    もう一つは、大狼弱すぎ問題。
    ホラーを謳ってあの初登場はないです。がっくりです。
    私のようなバトル好きモンスター好きからすれば、村を襲う魔物がどんなデザインなのか、どんな能力を持っているか、どう表現されるのかが一番魅力の部分なので、そこで手抜きを感じると、一気に興味が減じてしまいます。

    現段階では大狼の特徴はちょいデカいだけの狼で、頭も悪そう。
    がんばって山狩りしたら、村人だけで退治できそうなレベルです。
    残虐さもたいしたことないです。狂犬病の犬の方が怖そう。
    そうではない、恐るべき存在として描くのであれば、設定から見つめ直した方がよいかと思います。

    単なる無敵性というだけでなく、個性的な強さ。
    この魔物ならではといえる、性質や性格、残虐さ、特殊な性癖。
    この物語全体のテーマに通じるような存在感。などなど。

    まあ、もしかすると実は大狼はたいしたことなくて、殺人も実は村人の誰かの仕業で、大狼を騙る犯人を捜すという展開になるのかもしれません。その時は、このアドバイスは忘れてもらっていいですw

    次に導入部としての感想を。

    「導入で引き込む力がなければ意味がない」とのお考えですが、その段で考えると、ちょっと弱いかなとは思いますかね。
    まずプロローグから始めるやり方。長編ではよくある奴ですが、これがすでにまったりとした導入でしょう。読者も「ここから長い物語が始まるんだ」という感覚で、物語にぐっと引き込むスタイルじゃないと思います。いや、これはこれで別にいいんですよ。スタイルが違うというだけで。

    その後は、森で逃避行の相談→フランクの死→葬儀→酒場→姉の死と続くわけですが、うーん。特に間違っていると断言できるほど進行上の問題は感じません。牧師と狼は駄目ですが。まあ酒場のシーンがちょっと不要かも。ここを牧師詰問に差し替えてちょうどいいくらいかなーと。

    まず、今の時点の展開でも、問題はないということを伝えておきます。
    引き込む力こそ強烈ではないですが、海外小説ならこのくらいのペースですし。
    個人的には、十分先を楽しみに読めます。(牧師と狼をなんとかしてもらえれば)

    ですが、木村さんの狙いはそうではなく、普段軽いものばかり読んでいるウェブ小説の読者でも引っ張り込めるような、そういう導入を求めておいでなのかなと。

    その前提で改善案を考えるとすれば……うーん。
    やはりインパクト、ですかね。
    古くからある小説のセオリーで、「可能な限り早めに、動物か暴力かセックスを出せ」というのがあったはずです。要は本能に訴える何かを、早めにエサとして吊るせば、読者を呼べるという話ですね。

    ジャンル的には、この小説はわりとぴったりです。というか、すでにもう達成してる気がします。プロローグの兎狩とか。流石です。
    その上であえて改善するなら、それぞれの描写のインパクトを高めることでしょうか。現時点では卒はないものの、強烈な描写ではないですからね。

    例えば、プロローグや森でのシーン、ローズとジャックの親密度をもっと上げる。
    読者がドキドキして、この二人の先行きを読みたくなるくらいに。多少エロスに。
    フランクの死もお上品に終わらせず、もっとえげつなく。怪奇寄りに。
    姉の死と撃退場面も、もっと映画のアクションシーンのように。
    この場面、ルビーが一人で撃退するから無理があるのであって、例えばジャックとルビーが夜に逢引きしてて、二人してローズを襲う場面に出くわせば、撃退方法は格段に増やせるはず。まあそれでもかなり考えないと、大狼の設定的に難しそうですが。

    ……とまあ、ややホラーから逸れてる気がしますが、私が考えるところの導入の改善案です。問題は牧師と狼撃退だけで、他はこのままでも十分ではないでしょうか。よく書けてると思いますよ。

    ⬜️総評
    ・文章力高め。本格中世ホラーの予感。
    ・ストーリーは甘さが残る。改善の余地あり。
    ・導入部分は、今のままでも十分。

    文芸的な作品ですが、さらっと読めたのは上手いからでしょう。
    文句が多いと思われたかもですが、普通に面白く読めました。
    ストーリーの穴にだけ気をつけて、完結まで書き上げ続けてください。
    応援しています。


  • 【03】ぶきっちょ先生のパンづくり(野栗)

    https://kakuyomu.jp/works/16817330656365658731


    三回目は野栗さんの作品です。
    ジャンルは童話……児童文学?
    この辺りのジャンルは詳しくないので分類はわかりませんが、子供向けの作品です。

    梶野はこちら方向は全く未経験で、技術的な良し悪しは測りかねるというのが本音です。

    児童書自体は好きで、今でも読むんですが。最近はドリトル先生の文庫版を全巻読み返したり。今と昔では読む視点が違っていて、新たな発見があるのが面白いです。大人になっても二度楽しめるのが、いい児童書なのかも。

    ちなみに野栗さんはこんな方です。


    はじめまして。野栗と申します。企画に参加させていただきました。

    「辛口でも泣かない」のが条件やで! と皆に伝えたところ、狸どもは一斉に震え上がり、次の瞬間、巣穴に隠れて狸寝入りを決め込まれました。残ったのがぶきっちょ先生だけで、叱られ慣れているということで、今回の参加を承諾してもらいました。

    ・特に意見が欲しい部分。
    →お気づきの点ございましたら、頂門の一針お願いします(自分ではなかなか気づかなかったり見えなかったりということがあると思います)

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
    →アドバイスよろしくお願い申し上げます。

    よろしくお願い申し上げます。


    栗野さんは徳島の方のようです。
    ……すみません。児童文学に物申すスキルもセンスも、梶野は持ち合わせておりません。あれはあれで凄い専門的なジャンルだと知ってるくらいです。

    今回は「私ならこう書く」は無理そうなので、己の童心の感じるままに書きたいと思います。ただの感想文になるかもしれませんが、お許しを。

    それでは書いて行きましょうか。


    ⬜️読みながら雑感
    二読後の感想を、読みながら書きます。

    > 朝起きて
    > 生地をこねこね
    > 思うのは――

    この歌詞(川柳?)、呑気でリズミカルでいいですね。
    なんとなくメロディも頭に浮かんできます。

    >弾けもしないウクレレを抱えた辺見蕗千代先生が、
    へんみふきちよ、で合ってますかね?
    ここはルビ振った方がいいと思います。
    このネーミングも秀逸ですね。

    >山の分校でおまはんちっと修行し直しなはれ!
    田舎の学校に変な先生が来るというのは、王道ですが浪漫ありますよねー。

    >長尾先生は長嘆息やった。
    「嘆息」は子供向けにはちょっと難しい気がします。
    「あきらめ顔やった」とか。

    >一年生と二年生は生活科
    生活科と家庭科って違うんですか?
    私の小学生時代にはなかったなあ。

    >うーんと……うーんと……そや!
    > みんなの笑顔、広がるように!

    ブラボー!!

    > 分校の家庭科室で「パン屋さんの歌」が生まれた。長尾先生がおらいでも、音楽ちゃんとできた!

    みんなの協力で歌ができた!というカタルシス、いいと思います。

    ただ、脳内では歌とメロディがハーモニーしてるのに、物語的にはウクレレは調子はずれのままなので、そこにも安心感が欲しいかも。

    「ぶきっちょな辺見先生の演奏も、何度も繰り返すとマシになってきた。」と事前に入れるとか。

    >一学期の生活科兼理科兼家庭科の時間で豆玉作りした時は

    豆玉ってなんぞや?と調べたら、甘い金時豆の入ったお好み焼き、徳島名物なんですね。

    今回はおまけで出て来たので不要ですが、児童向けとして書かれるなら、知られてない料理名とかは解説入れた方が想像が膨らんでいいと思います。

    というか、これを主題に作品を書いてもいいくらいです。キャッチーだと思いますよ、豆玉。地方色豊かですし。

    >真っ黒焦げのは分校に遊びに来た狸の子たちが全部もろうてくれたけん

    これはリアルな狸なのか、ぽんぽこ的な化け狸なのか。
    まあどっちでもいいんですが、私の脳内では化けてる方ですねw

    >二死満塁のリリーフで甲子園のマウンドに上がるぐらいドキドキ

    声掛けとあいまって、ユニークな表現でいいと思います。

    >汚いなあ!
    辺見先生はいいのか?

    >焼いてしまうんやけん、かんまんかんまん、ええ湯加減や!

    「かんまん」……はどういう方便ですかね。

    大阪弁の「かまへん(構わない)」なのか、「勘弁」なのか。
    もしかしたらもっと別の意味かもしれない、かも。
    まあおよそ意味は読めるので、大丈夫だとは思いますが。

    >三年生のたかしが生地でベタベタの手で辺見先生の頭をはたくと

    ここはちょっと絵面が浮かびづらいです。
    大人の先生の頭を、小学三年生がはたくのは普通は無理ですから。
    どういう状態で先生の頭を叩いたのか、説明が必要だと思います。

    私ならそうですねえ。
    「三年生のたかしが生地のボールを辺見先生にぶつけると」
    「三年生のたかしが生地でベタベタの手を振り回すと」
    くらいにしますかね。振り回す方は、手に着いた生地と粉が飛んだ感じ。

    >一と次と発明の発と……先生、この字まだ習うてないです。

    国語って他の教科から学ぶ機会の方が多いですよねw

    > 300億匹以上おるんや!

    > えー!
    > 300億!
    こう見ると、授業はちゃんとできるぽいんですよね、この先生。アプローチがユニークなだけで。

    >辺見先生はウクレレをポロンと鳴らすと、ささやくように歌い始めた。

    発酵用にもう一曲作るのかと思いましたが、こっちのがいいですね。子守唄バージョン。

    > 300億匹のお葬式やな。
    子供らしい感性ですねw

    > 教室からは調子外れのウクレレがベンベン鳴り、子どもたちの歌声が響く。校庭の花壇の横では、狸の子たちがポンポコ踊っている。

    ここからパンの歌で締めくくるのは、読後感非常にいいですね。
    子供たちのエネルギーが、パン種のように膨らむのが見えるよう。文句なしです。

  • ⬜️全体の感想
    ・タイトルについて

    そのまんまですが、この内容ならタイトルはこれしかないと思います。

    ・文章について
    徳島弁まじりの三人称が、いかにも地方の分校という感じでいい味を出してます。私は関西人なので、およそ理解できましたが、そうでない人は大丈夫かは少し気になるところ。まあでも、それも味ですかね。

    児童文学だけあって、読みづらい箇所はほぼありませんでした。リズムや言葉の選択も気になるところなし。

    漢字のチョイスに関しては、対象年齢次第なので判断が難しいとは思いつつ、気になったやつだけ指摘しました。

    総じて文句のつけどころのない文章だと思いました。
    お見事です。

    ・内容について
    自分の書けるジャンル外だと指摘が甘くなる梶野ですが、それを差し引いても完成度が高い作品だと思います。

    さして描写もないのに、絵面がありありと浮かぶ生徒と先生のやりとり。
    徳島の方便と、その場のアドリブでこしらえた歌を交えて進む、まったりとしたリズム。
    事件も意外性もない、でもなんだか愉快に感じてしまう、独特の雰囲気。

    どれも梶野の評価は高いです。
    こういうセンスを持ち合わせてないので、眩しいばかりです。

    やや引っかかった部分だけ指摘しましたが、どれも些末なもので、そう読む人もいるくらいに思っていただければ。

    ⬜️総評
    ・アドリブの歌と方言の雰囲気よし。
    ・子供の反応がリアルで、絵が浮かぶ
    ・まったりおまぬけな空気感。

    この山の分校で、ぶきっちょ先生とわいわいやりながら、子どもたちはぐんぐん成長していくんでしょう。

    とても面白かったです。

  • 【04】魔導古書店店主の偏愛と憂鬱(ヨシコ)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330653896544936

    さて、四回目となりますは、「魔導古書店店主の偏愛と憂鬱」。
    ヨシコさんの作品です。ジャンルは異世界ファンタジー。
    紹介文は、
    「路地裏の狭い地下一階。本を偏愛する店主が心を込めて応対致します。」

    ふむふむ。KACの今年の企画お題、「本屋」に参加されてたんですね。私も書きましたっけ、そういえば。

    最近は書かなくなりましたが、元はファンタジー畑から創作を始めた私です。
    今回は多少なり、建設的なことが言えそうかなと。
    作者のヨシコさんは私と同じエンタメ主義だそうですしね。
    そうそう、アンケートのお答えを見ておきましょう。


    ・特に意見が欲しい部分。
    特にここを、という部分はないので、何か気になったことなどあれば教えていただきたいです。

    ・「梶野ならこう書く」アドバイスは必要か否か。
    基本的には不要です。
    ですが、アドバイス込みの方が指摘しやすい場合もあるかと思いますので、梶野さまの書きやすい方でお願いします。

    以上でよろしくお願い致します。


    ──なるほど。ならアドバイスは最小限にしましょうか。
    「梶野ならこう書く」をしなければ大丈夫かな?
    確かに、あまり書きすぎるとやる気を折ってしまいますからね(最近経験した)。

    それでは、読んで参りましょうか。


    ⬜️読みながら雑感
    二読後の感想を、読みながら書きます。


    > その先にある何の印も飾りも、ドアノッカーさえない、分厚く頑丈なだけが取り柄の扉

    短編にしては装飾過剰に感じます。
    冒頭の店の位置までは、雰囲気作りもあるので許容範囲ですが、この調子で続くなら、明らかに短編向けではない、長編向けの書き方だなと。
    この小説は3500字ほどですが、このペースで話を書き終えられるのか、不安になります。長編の第一話か番外編のようです。

    >その棚の上から下までをびっしりと、様々な魔導書が整然と埋めている。

    ファンタジー世界の本屋としては、ごく平凡な描写です。
    この辺りで読者の興味を惹くには、「さすが魔法書の本屋!」とわくわくするような、現実に有り得ない情景が欲しいところ。
    現実も偏執的な古書店になると、床の大部分を本のタワーが埋めてたりしますからね。どうやって取るんだというような。魔法ありならもっとすごいものが書けそうです。

    >慎重とも粗雑とも取れる手付きで捲った。
    形容が重なりすぎて、どんな手つきなのかわかりません。

    >その長い爪は光沢のない黒一色。
    本屋の仕事に不便そうと思いましたが、まあ魔法が使えるなら関係ないかな。

    >指と同じく青白いばかりのその顔は、
    ここの「ばかり」の使い方は、違和感があります。
    「ばかり」には色々な使われ方があり、念のため調べてみましたが、これに該当する用例が思い当たりません。
    あえて言うなら限定(「大きいばかりが能じゃない」など)ですが、この後に美貌だと続くので、「青白いだけ」じゃないですよね。
    「指と同じく青白いその顔は」で十分かと。

    >本来絶世の美貌を誇るほどのものではあるものの
    ここもステップを間違えたような、イマイチな表現です。

    >その相貌は「陰鬱」或いは「不吉」。
    ここまでの描写を見る限り、「陰鬱」はともかく「不吉」(縁起が悪いこと。不運の兆しがあること)は感じられません。

    >癖一つなく真っ直ぐに伸びた長い髪と、
    髪は普通なんだな、という印象。

    >暗さのせいでその色さえ判別の付かない相貌を縁取る白金の色だけが、

    ここ、白金の意味が不明でしたが、二読してやっとわかりました。
    「相貌」が「双眸」の誤字なんですね。
    後に白金の睫毛と書かれていて、やっと理解。
    書き方としては、ここで睫毛と明言したのち、二度目に「縁取る」と書くべきです。縁取るだけならアイシャドウとも読めますから。

    > そしてその視線の先の扉がみし……ぎぎぎ……、と音を立てて開かれた。

    ここまで、カメラが入店する視点で描写が続いているので、この描写でそれを打ち消すのは勿体ないです。
    この一文を削り「入って来たのは」に繋げれば、来客者の視点描写と認識され、スムーズに、会話シーンに入れます。

    >中肉中背の一見した限りでは魔導士風の男。
    イメージが全然湧きません。
    背格好より最優先すべき情報は年頃です。
    魔法使いといえば、老人のイメージも強いですし。

    >ところどころ擦り切れ着古したぼろぼろのローブ。手入れされ何度も修理跡のある長靴。

    貧乏という描写ですかね?

    > 男を余計に貧相に見せている丸めた背を、追い縋るように前方へと伸ばした。今にも掴みかからんばかりの勢いで、カウンターにその両手を叩きつける。
    「男を~」の一文は不要です。
    描写が過ぎて、テンポが悪くなっています。

    >「魔導書を、魔導書を売ってくれ……こ、ここでは特別なものも扱っていると聞いた……!」

    何か、切羽詰まった理由があるんでしょうか。

    > その身体の勢いとは裏腹に、上擦った声で呟くように男は喋り出した。そして自らの声に背を押されるように、言葉尻だけが勢いを得る。

    ここも、後半の一文が不要です。
    理由は同じ。

    >言われた方の店主は実にゆったりとした動きで肘を下ろし、
    「本を下ろし」の方がわかりやすそう。

    >その男をカウンター越しに見える腹の辺りから頭のてっぺんまでをゆるりとした視線でもって見定めるかのように嬲った。

    冗長に思います。

    >当の本人すらも気付かないぐらいの素早い動きで男の両手をカウンターから払いのける。
    この剣幕の客がカウンターに置いた手を、本人に気づかれず払いのけられるイメージが全く想像できません。
    「魔法的な何か」として書いた方がいい気がします。

    >「そう、そうだ。特別な本が欲しい……本当に、あるのか」

    この客、熱意を見せているわりに、求めるものは「特別な本」としか言いません。
    品揃えが自慢のこの本屋で、目的や種類を特定しないのは、強烈に違和感があります。
    図書館の司書に「なんかすごい本教えて」と言う子供のようです。
    せめて「こういう目的でこんな本を必要としている」情報があるべきでは。

    >うっそりと微笑むその相貌が
    ここの「うっそり」は、いいと思います。

    >危険なものへと印象を変える、とはいえそれは一瞬のこと。
    「印象」は不要です。
    あと「、」は「。」か「──」の方がよいかと。

    >男が気付くまでもなく、普段通り口角を下げた店主は
    「気付くより早く」が正解です。

    >白金の髪を揺らし
    えっ、店主の髪、プラチナなんですか?
    そんなド派手な情報、冒頭に書いておくべきでしょう。
    睫毛の色よりよほど目立つじゃないですか。

    >カウンターの脇に設えられている跳ね上げ扉をから、
    「を」は消し忘れかと。
    「設(しつら)えられている」は、ルビを振るべきだと思います。

    >出てきた店主が男の前に立つ。
    ここで店主がカウンターから出てくる理由がわかりません。
    立った姿を描写したいのであれば、立つべき理由をこしらえるべきです。

    >中肉中背の男から見て、その顔は首を反らし見上げるぐらい高い位置にあった。

    うーん。デカいのか。
    正体不明なのはいいんですが、予想外の情報が多すぎてイメージが落ち着きません。

    >底の知れない威圧感を湛え、静かにそこに立っていた。

    なんでいきなり客が威圧されてるのか謎です。
    慌ただしく入って来たから?

    >「どのような本であったとしても、インクの付着した紙の束に過ぎません。魔導書、読本、艶本、あるいはそれが禁書の類であったとしても同じこと。貨幣を対価とする原料代については当店よりのサービス、ということにさせていただいております」

    くどいのにわかりづらい台詞です。無料ということ?
    「インクの付着した紙の束」という言い回しは、「本への偏愛」とは真逆に感じます。むしろ客にそう言われてブチ切れるのが「偏愛」という気がしますが。

    >「禁書! そう、禁書だ! 禁書が欲しい! それさえあれば、それさえ、それさえあればそれさえ……」

    禁書と言うだけでは、どういう本なのかさっぱりです。
    本が読みたいというより価値目的のような。でも金は幾らでも出すようだし。
    この男の目的がさっぱり見えてきません。

    >うわ言のように繰り返すその言葉を、男が気付くことのないまま店主の双眸がひやりとするような冷徹さで見下ろした。

    文章の繋ぎが変です。

    > 濃い隈と白金の睫毛に縁取られたその双眸は陰になって見えない。

    陰になって目元が見えない状態が、いまいち想像つきません。
    ランプの灯りの陰になっているから? 
    でもそれだと、隈とか睫毛も見えなさそうですが。顔全体ならわかるんですが。

    >「如何にも。その価値こそが、インクの付着した紙の束をそれ以上のものへと押し上げるのです。知恵であり知識。そしてわたくしの店で扱う魔導書に至っては、本そのものが魔導の真髄。本一冊でその魔法を発動するための術式の、陣と呪文とを担う媒体と成りうる。魔力さえあればどんな馬鹿でも術を発動できるお手軽アイテム」

    あー、RPGでよくあるやつですね。
    最後の「お手軽アイテム」といい、ここに来て一気にチープさが増した感。
    説明に入ると一気に長台詞になるのは、ぽくていいと思います。

    > 赤い表紙の一見して分かる古い本。赤い表紙の中央には黒いインクで魔法陣が描かれている。

    「赤い表紙」が二度続いて、くどく思われます。
    「黒いインクで」も、説明が重い感じです。

    > 禍々しいまでの魔力を零すその本を、

    ここまで過剰に描写しているのに、「禍々しいまでの魔力」を描写しないのが逆に不思議です。
    零れる魔力がどんな感じなのか、書かれないと読者にはわかりません。

    >店主はまるで恋文でも愛でるかのようその胸に抱き込むと、もう一方の長い指先で表紙の紙を愛撫した。

    もう一方とは?
    胸に抱きこむんですから、両手を使うものだと思いましたが。

    >禁書などという馬鹿げた括り
    そもそも禁書って、どういう扱いなんでしょうね。
    所持者が処罰されるとか、焚書されるとかでしょうか。
    あるいは軍事力として国が占有している状態なのか。
    そもそもこういう本って、量が刷られているのか手書きなのか。
    写本というのもありますよね。この辺りを情報に加えると深みが出そう。

    >当然これを読み解き理解し、己が内に取り込むまでに同じだけの熱意と愛情とを求めたいと考えております。

    ここの話の流れがよくわかりません。
    この前の台詞では、店主は「どんな馬鹿でも術を発動できるお手軽アイテム」と言っていたわけで、要求と矛盾して思えます。

    「お手軽アイテムだが、あえて読み解いてもらいたい」という意味ですかね?
    もしそうなら、その意図は台詞の中で明確にした方がよいと思われます。

    >であればひとまず三十六年をかけるのが道理でございましょう。

    んな無茶な。
    執筆にどれだけ苦労しても、読むのに同じ時間は必要ありません。
    著者がそんなことを求めてるとも思えません。実用する魔導書ならなおさらです。

    >よって三十六年の生を対価として差し替えた上で更なる三十六年を持ち得る方

    ここもよくわかりません。
    読み解くために三十六年はまあよいとして、更なる三十六年縛りの根拠とは。

    >男が、そこまで語るのを聞かされてようやっと、
    男「は」。

    >こちらの本については既に余すところなく読み切って些か飽いておりますれば、そろそろ誰か他者の手に委ねたい

    なんか私物みたいな扱いですが、商品ですよね?

    >あるいはさんじゅ……………………………………………………おや」

    さすがに「……」が多すぎます。

    > まるで蛇に睨まれた蛙のように、男の脚が震えながらも半歩を後退る。

    「蛇に睨まれた蛙」は「恐怖で身がすくんで動けない」例えです。

    >どんな魔力貧困魔導士でも洗濯物が瞬時に乾かせる風の術が使えるようになります。

    急にギャグになった。
    ……え、これで終わり?

  • ⬜️全体の感想

    ・タイトルについて
    タイトルはいいと思います。
    読む前には、かなり期待していました。
    ぶっちゃけ、タイトルが一番よかったくらいです。

    ただ、読み終えた後に見直すと、偏愛はともかく憂鬱は作中になかった気が。
    陰鬱ってのも外見の話ですし。憂鬱な要素ありました?

    ・文章について
    短編でなく長編向けの書き方をされているという印象です。
    説明が過剰で、全体的に不必要な情報が多いと思いました。

    長編ならよいですが、短編はストーリーの鋭い切り口が勝負どころです。
    四コマ漫画が簡素であるように、短編は出来るだけシンプルに書くことを心掛けるべきかと。

    例えば、冒頭の店の描写は、私は必要だと思います。舞台説明と雰囲気作りに必要ですから。
    ですが店主の描写は正直くどいと感じましたし、アクションや外見を逐一行を設けて説明する必要もないと考えます。

    連想できる描写は削り、読者の想像に委ねる。委ねるのに必要な情報のみ、厳選の上で提供する。
    これが短編の文章のコツです。長編の冗長化を防ぐテクでもあるのでお勧めです。

    後は、描写が多い割には必要な情報が抜けていたり、何が伝えたいのかわからないという場面が何度かあったのが気になります。
    難しく書こうとして、かえって意味不明になっている感じがします。
    まずは読者に伝えることだけを考えてシンプルに書き、それを邪魔しない範囲で装飾を肉付けしてみてはいかがでしょうか。

    いずれにせよ、読者視点は徹底すべきです。
    読んでいて、かなり置いてけぼりを喰らわされたので。

    ・内容について
    ぶっちゃけ、評価はよろしくないです。

    ・文章のテンポと内容が釣り合っていない
    序盤である程度想像していましたが、文章が重い反面、内容が薄いので、打ち切り漫画のようです。
    これが長編の外伝短編とか、漫画の単行本巻末の2Pおまけ漫画なら理解できますが、単体の作品としてはいただけません。なまじ描写が多いので、余計にボリューム不足に感じます。

    ・オチがギャグ
    意外性を狙ったのかもですが、むしろ肩透かしになっています。
    完全にシリアスで通すか、ギャグに転調するにせよもっと序盤(男が登場時)からにした方がスムーズに読めるかと。店主のやりとりにユーモアを持たせるのも手です。

    洗濯物乾燥魔法が、何のオチにもなっていないのもマイナス。
    ここでどっかんと炸裂していれば多少取り返せたと思いますが、全然でした。

    そもそもこのオチ、偏愛とも憂鬱ともまるで無関係です。
    ギャグオチにせよ、偏愛がエスカレートした上で客が逃げ出す展開は死守すべきかと。テーマから逸脱しているので、投げやりなオチに感じるのです。

    ・偏愛というテーマ
    このテーマそのものは悪くない。むしろ面白そうです。
    ですが、テーマに対する深掘りが足りていない印象。
    この店主は魔導書に何を思い、何を大切にしているのか。
    普段から魔導書にどう接し、魔導書の何に価値を見出しているのか。

    ここら辺を煮詰めないまま、「時間を対価」という話が出てくるので、「なるほど偏愛だ」と飲み込めきれない自分がいます。
    ちなみに「時間を対価」というアイデア自体は悪くないと思います。
    もらった時間をどう使うのかを煮詰めれば、面白い話が書けそうです。というか思いつきました。

    ただ現状では、偏愛との相関性が薄い気がします。何を考えてこの条件をつけたのか見えないというか。
    著者がそんなこと望むとは到底思えませんし、ましてや武器的な魔導書という設定なんですよね? いわば実用書で、その目的で本単体で起動できるようにされてるわけで。制作意図を店主が完全無視してるとしか思えません。

    まあこれも偏愛かもですが、私的には共感できないので、「売りたくないのでハードル上げてるだけでは?」と勘繰りたくもなります。

    これが「本来、魔導書は研究書だが軍事転用もできる。だがそれは著者の望む形ではない。それを汲んで店主は安易な武器扱いではなく、本としての理解を客に求める」とかなら、大いに共感するんですが。おっとついアドバイスが。

    ・店主のキャラ
    ホラーなら、この「とにかく正体不明」という設定でいいですが、ギャグとか会話にノリを入れるタッチで話をまとめるなら、読者が外見を想像できる特徴的なキャラの方が合ってる気がします。現状、イメージが固まらないキャラなので。

    わりとファンタジー作品なら登場させやすい設定ですし、シンボリックなキャラにもしやすいですしね。ファイヤーエムブレム(ゲーム)のアンナみたいな感じです。


    ⬜️総評
    ・タイトルはいいが、内容と矛盾。
    ・装飾過剰な文章。短編には重い。
    ・ギャグオチで拍子抜け。テーマの一貫性を。

    長編が得意で、短編は不慣れという印象を持ちましたが、どうでしょう。
    アドバイスしないと突き放してるようで逆に不安ですが、ご希望とあらば千尋の谷に突き落とすのもやむなしです。(なんだかんだアドバイスしてる気もしますが)

    「対価は時間」は面白いアイデアなので、再利用もありだと思います。
    いつかこのネタで私が小説を書いたら、「この野郎パクりやがって」と笑ってください。まあファンタジーじゃないので、似ても似つかないとは思いますけど。
  • 【05】風音(伊草いずく)
    https://kakuyomu.jp/works/16817330653422384796
     
     
    5回目は井草いずくさんの、「風音」。
    歳の差恋愛ものです。
    おっさんの私には、なかなかリアリティあるジャンルです。
    おっさんの許容範囲って個人差激しい気がしますが、概ね社会的な建前なので。
    梶野の許容範囲? ノーコメントでw

    さて、井草さんのアンケート回答をば。


    こんにちは、伊草と申します。
    ダッシュボードから偶然企画を拝見しまして、参加希望させて頂きました。30作品も感想書かれるというの、すごすぎる……!
    自分も主戦場は長編バトル物なのですが、短編には別ジャンルのものしかなく。書き下ろしている間に埋まってしまいそうなので、そちらで応募させて頂きます。
     
    ・特に意見が欲しい部分
    年の差恋愛ものなのですが、「この年齢差で男側が年上&視点人物はキモいでしょ」がどの程度生じたか(中和できていたか否か)。
     
    ・「梶野ならこう書く」アドバイス
    大変だと仰っていたので、もし可能なら、なのですが、お願い致します。
    その際、
    ①視点人物は男性側で固定(主な想定読者層が女性)
    ②視点人物が年上なのも前提
    ③可能なら設定年齢を動かさない
    という縛りの上で、どう「大人(中年男性)が子供に手を出す構図やんけ」感を抑え「年の差恋愛というお話の美味しさ」を引き出すか? という観点からアドバイス頂けたら幸いです。


    ふむふむ。しっかり作品を客観視されてるご様子。
    これだけ具体的だと、アドバイスしがいがありますね。
    それでは、さっそく始めましょう。


     ⬜️読みながら雑感
    二読後の感想を、読みながら書きます。
     
     
    >不惑には程遠い
     
    >この間三十五になったから、あと五年。
    >折に触れて考える。それだけの時間で、自分は果たして、迷いのない人間になれるだろうか、と。
     
    私は不惑ぶっち切ってますが、実際のところこんな感じ。
    三十歳の時には「三十歳ってもっと大人だと思ってた」。
    四十歳の時には「四十歳ってもっと大人だと思ってた」。
    ……やめましょう。何の参考にもならないw
     
    ただまあ体感としては、三十の時点で「この調子で四十なりそう」と予想はつきました。肉体的には色々変わりましたが、精神的には何も。不惑とかまるで関係なかったです!w
     
    >回線越しに聞こえていた、よく通るアルトが転調。
    ここの体言止めは普通の表現にした方がいいです。
    文章の流れが切れるだけで、プラス効果がないので。
    続きがかなり凝った言い回しなので、連続すると違和感の方が先に立ちます。
     
    >予測変換の範疇にあった事務連絡
    表現自体は凝っていて面白いです。
    ただ、この小説のこの場面で、この凝った表現が必要かと言われるとかなり疑問です。思いついた表現を文脈考えずに突っ込んでいる、腕自慢のような感じです。
     
    私なら、ここは読みやすさを優先して平易な表現にします。
    全体の雰囲気を見て、この表現があってるかどうか見直し、合わないと思えば平易に直す判断も大事です。(せっかく考えたのに!となるのはわかりますが)
     
    >疑問符付きの呼びかけへと変わったことに遅れて気が付き、俺こと末野 響は顔を上げた。
     
    ここまで読んだ時点で、すでに「表現が固い」「説明が多い」「長くなりそう」と感じられます。短編のピッチではない予感がします。
     
    例えば、ここで主人公は上司と会話中に気が逸れていました。
    「何故、気が逸れていたのか」という部分はスルーされていますが、話の密度を考えるなら、無駄な要素は省くべきです。「気が逸れていた」という要素は、ストーリー進行に必要ではないので。
    もしくは逆に、「気が逸れていた」ことを話の展開に利用すること。
     
    私なら「気が逸れていた」理由を考え、それを主人公に思い出させることで、話の展開を早め、スムーズにします。例えば寝不足。何故、寝不足になったのか。理由は綾子には言えない。なぜなら──
    からの綾子に問われる展開に繋げれば、その後の説明は大幅に短縮できるはず。
     
    短編は、いかに無駄を削り、物語をシンプルにするかが肝要です。
    私は文章ダイエットと呼んでいますが、削るのは贅肉だけで、必要な肉は残すのがコツです。
     
    >と経験が判断を下す。
    意図してのものかもですが、「経験から」の方が違和感はないですね。
     
    >ふと顔を出した懸念が喉に引っかかった。
    上手くない言い回しです。
    「懸念が顔を出した」か「懸念が喉に引っ掛かった」どちらかですね。
     
    >思いがけず一瞬、言葉がつかえる。まずい。
    くどく感じられます。
    「思いがけず」で十分。
    続く言葉が出ていないので、「一瞬」じゃないですし。
     
    >仕方なく、甘えありきで成り立つ防衛線(いいわけ)を晒さらす。
    >“悩んでいるが、守秘の関係で話せない。そういうことにさせてほしい”という、いい歳の人間が使ってはいけない、私的な配慮要求を。
     
    ここの説明、いまいち意味がわかりません。
    凝った書き方をしているので余計に。
    主人公は嘘の言い訳をして、社長である綾子の持ちかけた話を断ったんですよね?
    その行為のどこが「甘えありき」「私的な配慮」なんでしょう?
     
    これが例えば、綾子が主人公のスケジュールを把握しており、嘘の言い訳だとわかっていながら見逃してくれている。そのことに主人公も気付いている──という場面なら、この説明も理解できますが、そういった描写がないので。
     
    もしそういう想定だったとするなら、綾子の返事を『……ふうん?』などにして、この説明の前に入れておけば、ある程度そう読めるかと思います。
     
    >『相談したい時はいつでも言って。昔と違って、時間も場所も取れるし、取りたいから』
     
    この台詞からは、嘘を見抜いているのか信じているのか、判別できません。
     
    >かつては理由を付けてでも食いつきたかった提案を、
    いまいちな説明です。
    「かつては何を置いても食いついただろう提案を」くらいか。
     
    >時計を見ると、午後三時前だった。危ないところだ。
    何が危ないのか、二度読みしてもいまいち掴めませんでした。
     
    >ボタンを押して応答。
    >返事の代わり、玄関の方で電子ロックが解錠される気配。
    体言止め二連発はやりすぎ。
    どっちかは普通の文末にした方がよいです。
     
    >風香は今日もいつも通りだった。
    後の展開を考えると、「風香は、今日もいつも通りやってきた」の方が、いつも通っていることがニュアンスで伝わり、理解が早まるかと。
     
    >大学一年生とはとても思えない、地に足のついた風情。
     
    ここはちょっとよくわかりません。
    大学一年生にそこまで浮わついたイメージがないんですが、私だけ?
     
    >と言って置いた紙袋に印字されていたのは、名前だけうっすらと記憶していた饅頭屋のロゴ。
     
    説明が長いです。
    「その手には、名前だけ知ってる饅頭屋の紙袋。」
     
    >豆の袋を開けなくて正解だった。俺も風香も、こういうのは緑茶と合わせたい派だ。
     
    何気ないですが、この一文はよいです。
     
    >脱衣手洗いうがいを待つ間
    風香って同棲してたっけ?と思いましたが、これは上着だけって意味ですかね?
    脱衣って書くとどこまで脱ぐか伝わりづらいかも。
     
    >「勤務時間は半からでしょ」
    主人公と風香、どちらの勤務時間なのかわかりづらいです。
    さっきまで業務連絡受けてた主人公は、あれ仕事ですよね?
    だとすると半からではないですし。いや、あれは業務時間外ってこと?
    風香だとしても、会話の繋がりが微妙だし。うーん?
     
    というか、在宅の作曲家に勤務時間とか決まってるもんですかね。
    傍点はジョークとして言ってるということ? 傍点の意味もわかりません。
     
    > ――嘘ではないんだよな。
    > 言うに言えない理由だ、ってだけで。
     
    ああ、嘘ではなかったんですね。
    つまり風香が気になって、仕事がおぼつかないと。
    ……大丈夫ですか、プロとして?
    むしろ嘘だった方がよかった気が少しします。
     
    >饅頭と本当によく合い、文句の付けようもないほどに美味しく、感想に困るほどだった。
     
    前半、風香とお茶しただけで終わっちゃいましたが。
    後半だけで尺足りるんですかね。この文章ペースだと終わりそうにない気が。
     
     
    >放すには能わない
     
    >俺と綾子さんの接点について
     
    、無意味な出だしになっていますが、この展開がすでに無駄です。別に気が逸れていなくても同じ会話は出来ますから。
     
    >特別な先輩だった。
    八つ年が離れてたら、同じ学校に在籍してたことないのでは?
    まあ、同じ芸大とかに入っていたなら、年代違っても先輩呼びはアリか……?
    先輩と言うかOBですけどw
     
    > それから十年、縁は途切れていたが、色々あって、シングルマザーになった綾子さんと、その娘の風香と、俺は“お隣さん”として付き合いを持ち、親しくなった。
     
    むしろこの時代の方が小説にしやすそうですw
    独り身になった片思いの相手と、五年間お隣で、何もない方が不思議なんですが、どうなんでしょ。少なくとも現時点での主人公の気持ちは知りたいところですね。
     
    >仕事の関係で話す綾子さんと、“仕事”の名目で家を訪れるようになった、風香と。
     
    せっかく対比にしてるので、前後の文字数合わせた方が綺麗ですよ。
    「仕事の関係で話す綾子さんと、“仕事”の名目で訪れる風香と。」
     
    >そしてこの頃は、“それ”のせいで悩む日々が続いている。
     
    何故この頃なのか、という説明が欲しいところ。
    急に意識するようになった理由を軸に物語を組むべきでしょう。
     
    >嘘偽りなく、日々の業務に支障が出かけるくらいに。
    「支障が出る」でいいかと。
    実際、仕事が滞っているんですから。
     
    >おもてには素直な喜色が満面に現れている。
    凝り過ぎて変な方向に行ってます。
     
    >「そういえばこないだの新曲、大学での評判上々でしたよ」
     
    ここの新曲、どういうシチュエーションで聞かれているのかわかりません。
    風香が友人に主人公の曲を聞かせたのか。
    普通に町に流れるレベルの曲を手掛けている売れっ子なのか。
    冒頭のシーンからは、ゲームミュージックとか手掛けてるのかと思ってましたが。
    どの程度売れてるとか有名なのかとか、そういった情報がないのが面食らった原因かなと。どこかで主人公の立場の説明を入れるか、この場面で流れる経緯に説明を加えるとともに、立場の説明もこなすのがベストかと。
     
    >風香が不満げに言い募るので、理由を口にする。
    この一文は不要です。
     
    >三十くらいまでは、まだ大学生と感性が通じていることを肯定できた。
    >しかしこの歳になると、そんなことで自分は大丈夫なのか、という気持ちの方が強くなる。
     
    うーん。まあ個人差あるので問題とまではいいませんが。
    私見としては、プロに重要なのはニーズを維持できるかで、若い感性で仕事取れるなら大丈夫、というか悩む意味がないです。仕事取れなければプロ失格なので。
    むしろ若い向けに曲作ってた人が、時代に取り残される方が一般的な恐怖かなと。
     
    まあここの趣旨は「大人になりきれない主人公」からの恋愛話への導入でしょうからうるさくは言わないですが、より自然な導入がないか考えたくはなりますねー。
     
    今は若者受けする音楽で食っているが、本来はもっと大人向けの仕事が欲しい、とか。
     
    >いつまでも子供のままのおじさんになっちゃったらきつすぎるでしょ。
    少し長いですね。
    「いつまでも子供のまま、おじさんになったらきつすぎるでしょ。」
     
    >そして言う。
    この一文は不要です。
    後の「聞いた俺は」で読み取れるので。
     
    >私、そういう響さん好きですし。
    ここで「」を外すのは、いかにも「つぶやいた」感じで、雰囲気あっていいと思います。
     
    >さらっと言おうとしていたくせに、徐々に顔が赤くなる気配を見せている。
     
    よろしくないです。
    「さらっと言おうとしていたくせに、真っ赤になっている。」
     
    >なるべく自然に、相槌ついでに目線を下げて、メールチェックに注意を振り向ける。
     
    動きを見せるなら、これより前に主人公がPC(スマホ?)に向かっている描写をしておくべきです。
     
    > 温水が皿を鳴らす音がする。
    風香の手が止まっている、という表現ですかね?
    うーん。「温水がシンクを叩く音」の方がわかりよいかも。
    風香のドキドキ感にも通じますし。
     
    >綾子さんが初恋だった俺が言うのもなんだけれど
    「なんだが」ですね。
     
    >だが、恐らく気の迷いなどではない。
    ここまで説明があって、「恐らく」もないでしょう。
    「しかし、残念だが気の迷いではない」とかの方が。
     
    >食い下がる風香に譲歩する形でやり取りをし
    何を譲歩したのかわかりません。
    設定があるなら開示すべきですし、ないなら削除すべきです。
    この一文を抜いても話は成立します。
     
    >その甲斐あってか、風香の方から俺に話しかけてくる回数は徐々に減っていった。
    引っ越し後の話ですよね?
    二人の物理的距離を説明して、それを理由に充てた方がわかりやすいです。そもそも話しかけられる距離にいないんですし。
     
    >風香のことは九歳の頃から知っている。そんな相手を、恋愛対象として見ろというのは無理な話だ。
     
    それ以前に、十四歳は犯罪です。
     
    >どんなふうに十代二十代の時間が曲がりうるか
    「時間」は不適切な気がします。
    私なら「人生」か「感性」ですかねえ。
     
    >俺は自分のことがあまり好きではないけれど
    ここまでの口調を見るに、「ないが」の方がよいと思います。
     
    >けれど、風香は諦めてはいなかったらしい。
    「らしい」は不要です。
     
    >去年度末。
    「昨年度末」が正しいかと。
     
    >独り立ちすることを目指して仕事を続け、生活も安定してきた折。
    ここで綾子の会社との関係、作曲家としての立場(成功など)を描くべきです。
     
    >俺のマンションからそう遠くない校舎に通う
    「校舎」は「大学」の方が。
     
    >『忙しいって聞いてます。家事代わりにやるので、勉強部屋として使わせてもらっていいですか』
     
    うん? 主人公は遠方に引っ越して、それを追って風香も大学を選んだと思ってましたが、勉強部屋ってことは、実家にそこそこ近い距離なんですかね。一人暮らしとかせずに?
    どれくらいの距離に引っ越したのか、情報がまるでないので想像が錯綜します。
     
    >この時生じた懸念を、「流石にない」と切った自分の間抜けさには呆れる。
    流石にないw
     
    >落ち着いて話す時間も持てないまま、
    いやいや。
    茶とか普通に飲んでますやん。
     
    >今に至る。
    今って何月なんですかね。春からどれくらい経ってるんです?
     
    >強制の一つもなく、純粋に自分のしたいように音楽を作ってみよう
     
    こう考えるということは、強制されていたり、したいように音楽が作れなかったりしていたと察せられますが、その理由も書くべきでしょう。
     
    >落ち着かない誰かとの同居かで暮らしていた
    「落ち着かない誰かと暮らしていた」
     
    >風香がペンを繰るように鍵盤を叩いてみたいと感じて、俺は作曲を再開したのだ。
     
    これ、風香がペンで何をしているかによって印象が変わります。
    宿題だったら「自由に」じゃないので意味不明ですが、お絵かきだったらなるほどなと。私なら「自由気ままにお絵描きする風香を見て」という風に書きますね。
     
    >馬が合う、というのだろうか。
    この状態を「馬が合う」とは言いづらいとこですねw
    私なら「波長が合う」とかにしますか。
     
    >ほんのかすかに立ち位置を調節する距離感にだけ、時の経過を感じる。
    ここもぎこちない表現。
    「ほんのかすかに気にする距離感に、時の流れを感じる。」
     
    >ノートはめくって、白紙のページに移ればそれで済む。
    ふむ?
    候補を書いたページは捨てる的な意味合いですか?
    印のつけられた流れとか心情は理解できますが、ここだけ違和感。
    「ノートはめくって、白紙のページに書き写せばそれで済む」ならわかります。
     
    >ただ、言葉に印を付けられたことは、心に残る。
    >風香の気配と音が、俺の頭の中の世界に、影響を与えているみたいに。
     
    ここら辺の展開はいいと思います。共感できます。
     
    >――いつか、白旗を上げる時が来るだろうか?
     
    そもそもまず、風香に女性を感じてるかどうかという話だと思うのですが。
     
    >深く潜った忘我の縁、意識の端で、浮かんだ益体もない疑問をもてあそぶ。
     
    全然忘我じゃない!w
     
    >その時はまず、信頼を裏切った綾子さんに謝らなければならないだろう。
     
    どう見ても押し付ける気まんまんです。
     
    >もしも、臆病な自分の大人としての意地が、風香の覚悟と執念に負かされる、そんな日が来たら――。
     
    「臆病」は不要でしょう。臆病だから手を出してないわけでなし。
    「覚悟」もいらないと思います。少なくとも小説上では覚悟は見えないので。
    なので私なら、
    「もしも、大人としての自分の意地が、風香の執念に負かされる、そんな日が来たら――。」
     
    >でも、そして、その後は、影響に身を任せてみるのも、悪くないのだろうか。それこそ、子供にでもなったつもりで。

    微妙な心の揺れ、という感じですね。
    それをブラックのコーヒーで引き締め、不惑を目指す。
    うん、ここから台詞を通じての終わり方は、綺麗にまとまっています。
    読後感もとてもいいと思います。
  • ⬜️全体の感想
    ・タイトルについて
    ヒロインの名前……だと思ってたら違った!
    最後に気がつきましたよ。危ない危ない。
    風香のたてる物音、それに作曲家の自分への影響の掛け合わせですかね?
    うん、悪くないと思います。語感もいいですし。
     
    ・文章について
    言葉遣いに独特のセンスがあるのは感じます。
    それ自体はうまく使えばオリジナリティを出せるので長所だと思いますが、制御しきれていない印象。
    いわば才能の悪目立ちです。出さなくていいところで無駄に才能を使っているので、違和感が先に立っていると感じました。
     
    今作がサイバーパンクSFとかなら、「予測変換の範疇にあった事務連絡」のような表現をバリバリ使った方がクールだと思いますが、さしたる事件も起きない現代恋愛ものですからね。まして語り口調とはいえ、一人称です。キャラが言いそうなことを前提として文章を組むのが本質で、果たして凝った言い回しを、あのキャラが日常的にするのかと思うと疑問を覚えました。(とくに序盤)
    「主人公が変人」設定とか、純文学として書いてるとかなら、わかるんですけど。
     
    要は使いどころです。物語の雰囲気を意識し、使っていい言葉、使うべきでない言葉をより分けて、必要なら表現を変えながら書いていけばいいだけです。
    車で言えばハンドリングやブレーキ。スピードはちゃんと出るエンジンなので、そこはご安心を。意識さえすればすぐに慣れると思います。
     
    表現力については、時々やけにぎこちない、初心者のような固い感じになるのが気になります。
    書き慣れていないとも思えないので、凝った言い回しを考えすぎて、一周回って変な表現になっているのかも。
    文章はまずもって読者に伝えるのが第一義。作者の個性はそれを邪魔しない上で発現すべきものです(自戒)。読みやすさと個性はバーターな部分があるので、何度も読み返して、物語に見合った文章なのか、読者にどう受け取られるかをチェックしてみてください。
    今作のような恋愛日常ものでは、引っ掛かりなく読めるリーダビリティが最優先かなと、個人的には思います。
     
     
    ・内容について
    初恋の人の娘にアタックされながら、年の差で受け入れがたい主人公。
    内容的には一行で済みますね。
    まあ、漫画だとちょいちょい見る設定ではあります。
     
    私もおっさんで、主人公はおっさんの方が親近感湧くのでわりと読む分野ですが、
    はっきりいって今作は序盤も序盤ですね。
     
    漫画に例えるならキャラ紹介と設定を見せた第一話。
    ドラマでいえば最初の15分という感じです。
     
    序盤に感じた物語の運びの遅さにこうなる気はしましたが、やはり予想通り。起承転結の起で締めくくられていて、読み終えた率直な感想は「で、続きは?」です。
    完成された短編ではなく、長編の一話目として書かれてしまっています。
     
    何故、そういう印象を受けるのか?
    まず文章が短編の書き方でなく、長編と同じだから。
    急ぐ空気がなくゆったりとした進行速度は、長編なら余裕がありますが、短編では冗長なだけです。はしょった過去語りですら、まだ長い。マラソンのペースで短距離走を走られたような気分です。
     
    次に、風香の積極性の少なさ。
    「まったりしているのがいい」と評価する人もいるかもですが、この物語は締めくくりにもあるように、「風香の熱意に負けそうな大人」の話のはず。
    ですが、長編風文章とまったり進行のため、風香の積極的な場面はほぼ出てきません。押しかけた経緯くらいで、過去話では盛り上がりようがない。好きと言って赤面したくらいで、リアルタイムで主人公を辟易とさせるようなラブラブアタックが一切なく、逆に主人公がちょっと意識してしまってる描写ばかり多い。つまり攻略された後の状態です。
     
    そうではなく、意識させるに至る風香のアタックと主人公の葛藤をこそ、読者は読みたいのだと私は思うんですが、いかがでしょう。
    私ならもっと風香に遠慮なくアピールさせますし、主人公にもがんがん拒絶させます。「うる星やつら」のあたるとラム的な関係です。まああそこまで過激派にする必要はないですが、風香の個性を考えつつ、距離を縮めたりお色気作戦したり、嫉妬心を見せたり、逆に嫉妬させたりなど、手は幾らでもあるはず。恋愛ものの王道ですが、伊草さんならどう描くのか、オリジナリティの見せ所かと。
     
    後は、ドラマとして淡々としすぎなこと。
    起承転結の山場が、この小説にはありません。
    例えば「仕事が詰まっている」をもっと切羽詰まらせ、締め切り目前になっても書けない。ヤバい。風香が応援してくれるけど、原因は実はおまえなんだよ。マジでやばいからしばらく家に来るなと伝えると風香は勘違いして拗らせてしまう。対応に時間を取れず、プロとして大人としてどうすべきか、仕事と風香どちらに時間を割くかの選択を迫られ──! みたいな感じに盛り上げられたはず。
     
    これくらいの話を同じ文字数で突っ込むとなれば、短距離走で書く必要性もおわかりいただけるかと。いや、これくらいだともう少し文字数欲しいですがw
     
    他に気になったのは、情報の少なさ。
    「読みながら」でも逐一書きましたが、重要な情報の歯抜けが多いです。
    今作は短編で、全てが主人公の語りで説明されるので、情報を絞る必要がありません。必要な情報はくどくならない範囲で、簡潔に明示すべきです。特に二人の過去は情報が薄く、すりガラス越しのように解像度が低いです。三十五歳にしては恋愛クソ雑魚な理由も情報開示すべきです。
     
    そうそう、初恋の相手である綾子への感情はどうなのか。
    綾子の気持ちが不明なのはいいとして、現時点で主人公はどう考えているのか。
    それを風香は知っているのか、などなどは物語で重要なウェイトを占めるはず。
    普通ありそうな「風香は若い頃の綾子に似てきた」という描写がないのも、よく考えれば不自然ですからね。「初恋の人の娘」と言うファクターが抜け落ちているのは勿体ないです。
     
    よい点としては、最後のまとめ方、不惑の使い方は大変よいと思います。
    起伏のないこの内容で、なんとなく読んだ感じになれるのは、締めくくりが上手かったからです。終わりよければすべてよし。
    ですがよく考えたら、小説内では何も進んでいない、現状説明で終わっているのが問題。起伏をつけた上であのエンドなら、なおよかったのは言うまでもありません。
     
    不惑も、最初と最後に使ったのが綺麗でよいと思います。
    私なら「自分が不惑になるのと風香に追いつかれるの、どっちが先か」みたいに書いたかも。

    ・質問について

    >年の差恋愛ものなのですが、「この年齢差で男側が年上&視点人物はキモいでしょ」がどの程度生じたか(中和できていたか否か)。

    気持ち悪いかどうかはかなり主観に寄るので、一おっさんとしての意見ですが。

    >でも、そして、その後は、影響に身を任せてみるのも、悪くないのだろうか。それこそ、子供にでもなったつもりで。

    ここについてだけは、感想書く際にかなり悩みました。
    歳の差恋愛というより、大人としての責任放棄のように感じられたので。
    そういう意味では、共感しづらい部分でしたかね。
    まあ、一瞬思ったくらいですし、創作的な意味合いもあるかなと考えて、飲み込めたのですが。

    それ以外は特に……というか、温度が低過ぎてまるで足りてません。
    ああ、もしかして、おっさん主人公が気持ち悪くならないよう、盛り上がりを抑えてたんですかね?
    だとしたら、それはミスというものです。
    感情のアクセルを踏んだ分、ブレーキを踏ませれば相殺できますから。それでいて読者的には二倍美味しいですし。

    私見ですが、一人称でカッコつけるキャラは読者の(この場合はおっさんの)共感を得られません。年甲斐のない恋も葛藤も、全て曝け出せるのが一人称の魅力なんですから。誰にキモがられようが、魅力的だと自分が思えるなら全て書くべきで、理性と抑制で中和すればいいのです。性欲に対する言及もゼロでしたが、男から見れば「そんな奴いるかよ」です。男性の共感を得られるなら、女性にキモいと言われてもいいのでは? ある意味、その方がいいものを書けている気がしますw
    女性に受けたいなら、三人称か風香視点で描く方が無難でしょう。


    >①視点人物は男性側で固定(主な想定読者層が女性)
    >②視点人物が年上なのも前提
    >③可能なら設定年齢を動かさない
    >という縛りの上で、どう「大人(中年男性)が子供に手を出す構図やんけ」感を抑え「年の差恋愛というお話の美味しさ」を引き出すか? という観点からアドバイス頂けたら幸いです。

    まず、梶野が思いつく年の差恋愛ものを書いてみましょうか。

    ・うさぎドロップ(少女漫画)
     社会人の男が親戚の孤児を引き取り育てる。高校生になったヒロインが主人公に恋。
    前半だけアニメ化されてますが、後半はかなりシチュ近いかと。主人公の男は歳の差に加えて親代わりなので葛藤がすごいですが、ちゃんと結論出してます。完結。

    ・末永くよろしくお願いします。(少女漫画)
    書道家の男が仕事で縁のある女子高生を引き取る。ヒロインが元お嬢様にあるまじきパワフルアタッカーなのが魅力。連載中。
     
    ・先生、今月どうですか?(青年漫画)
    予知能力のある女子高生のアパート管理人が、店子である青年小説家と将来結婚すると知る。未来を変えないよう、積極的にアピール。最近、小説家がよろめき始めた。連載中。

    ・少女ファイト(青年漫画)
    中年漫画家が昔恋愛関係だった女の娘が惚れ込まれ猛アタックを受けるという、かなり状況近い展開がありますが、こちらは顛末見てません。連載中。

    上記に共通してるのは、
    ・おおむね女性視点。「うさぎ〜」も後半はヒロインが主役。
    ・肉体接触は最後までほぼなし。あってもキス止まり。
    ・ヒロインはガンガンの攻め。男は被害者モード。
    ・男は最後の最後まで抵抗を続け、あきらめた時が試合終了。
    ですかね。「先生〜」はやや違いますが。ご参考までに。

    さて、アドバイスですが、まあ要するに、「主人公がキモく思われないようにしたい」んですよね?

    まず上記作品を参照して今作に足りないのは、やはりヒロインの攻めですね。
    ヒロインが暴走するかぎり、男は無罪ですし、そこに乗せられても不可抗力です。
    キモさはかなり軽減されます。まあ基本スキルですね。

    後、私ならキモさを引き受けるタンク役を用意します。
    例えば主人公の気やすい親友。二人飲みで相談受けて「いらないなら風香ちゃんくれ」とか言っちゃうタイプ。こちらにキモさ含む男の本音を代弁させ、主人公はそれを否定しながらも、風香と向き合うことを考えていく……という感じです。

    後、歳の差恋愛の醍醐味について。
    私はこういう話書いたことないのですが、似たようなシチュに長編の方がなっていて。感想で指摘され気付かされたのが、「主人公の男を、可愛く描くこと」。
    これは一人称でも可能というか、むしろ向いてます。
    いわば恋愛クソ雑魚なメンタル部分をプッシュして書く手法で、女性読者向けと考えるなら有効ではと。「風香より主人公の方がヒロイン」を目指す勢いで。
    情けなくない? なーに、大人としての矜持もちゃんと示せば、むしろギャップ萌えというものですw

    長々と語ってしまいましたが、今作の感想は以上です。


    ⬜️総評
    ・文章はぎこちないも、センスは感じる。
    ・ほぼキャラ紹介で長編の一話目のよう。
    ・読後感はよいが、内容が充実すればなおよし。

    これを一話目として、長編を書いた方が面白くなると思います。
    もしくは最高のネタを突っ込んで、短編でオチまでもっていくか。


    最後になりますが、作者の伊草いずくさんは近日中にカクヨムを退会されるそうです。
    私は今回の企画で知り合った程度の縁ですので、理由などは窺い知れませんが、色々思うところがおありなのでしょう。それを知っててガッツリ辛口感想を書く情け容赦ない人間で申し訳ありません。しかしやはり、花向けはお世辞でない方がいいかと思いまして(どのみち無理ですが)。

    一度小説を離れてた私のアドバイスとしては、小説なんて書かなくてもハッピーに生きられるなら、その方がいいってことです。それでも書きたくて仕方なければ、戻ってくればよいかと。

    ただ、そうですね。
    執筆を離れていても、思いつくネタは書き留めておくといいです。
    それがいつか、道標になったりもするので。

    それでは、ごきげんよう。
    戻られたら、また連絡ください。その時は大いに盛り上がりましょう。
  • 訂正のお知らせ:

    【05】風音(伊草いずく) 読みながら感想

    にて、
    以下の部分が意味不明になっているので、小説雑話からは削除しました。(近況ノートコメントは編集出来ないのでこのまま)
    お詫びとともに訂正します。


    >俺と綾子さんの接点について

    、無意味な出だしになっていますが、この展開がすでに無駄です。別に気が逸れていなくても同じ会話は出来ますか
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