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あるエッセイを読んで

一編集者の思い
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882999287


このエッセイ(?)では

 ・出版業界は売れるラノベ作品を求めてWEB小説から探している

 ・ラノベ読者は
 『読者が楽に読める形式及び内容が取捨選択され、今の形になった。
端的に言うと、
心理描写が少ない、あるいはない。
状況描写が少ない、あるいはない。
セリフが多い。セリフだけでストーリーが追える。』

 ・『小説を読まない理由の多くは、読みにくい、理解できない』という読者に売るためにWEB小説から選んでラノベを出版している。

 ・『ライトノベルしか読まない、読めない読者と、誰でも書けるような文章と内容に無数のライトノベル作家志望者を生み出してしまった。』

 ・『無名の文芸作品を読んで、その評価をするのは文芸に精通している者でも至難の業だ。
担当も拙速な意見は避けることが多い。自然と時間と労力が掛かる。正直、好きでない者には苦痛とさえ言える。』

 という状況を書かれてる。 


 個人的には、要は出版業界が誘導した通り(期待とは異なるが)の作家が生まれ、読者が生まれているということだろうと思う。
 
 ※ 読者側は……
 親しんだ内容・文体の作品を読みやすい。
 書籍化、アニメ化された作品を手に取りやすい。

  ⇓

 ※ 作家側は……
 多くの読者に読んで欲しい→読者の傾向を調べる
  ↓
 良い評価が多く欲しい→多くの読者から評価されてる人から学ぶ
  ↓
 できることなら書籍化したい→書籍化された作品から学ぶ

  ⇓

 ※ 読者側は……
 従前とさほど変わらない作品から好みの作品を選ぶ。
 
 要はループする状況だ。
 
 そしてこれは全て出版社側が誘導した結果だろう。
 まあ、出版不況で商業主義に陥っていて、作家を育てる余裕が無いという事情は判るから責めるつもりはまったくない。

 冒頭に挙げたエッセイの作者は出版社側の方らしく、出版業界の責任を理解しているらしい。
 職業作家はとても狭い道だから仕事を辞めるなと作家側に忠告もしている。

 だが、出版社側にはできることや、すべきことはまだあるはず。

 例えばカクヨムであれば、人気のある作品や売りたい作品の紹介だけでなく、読者を育てるための方策をカクヨム側へ……つまり角川側への要望もあるはずだ。

 「カクヨムで見つけたおすすめ5作品」など週一更新のようだが、毎日更新するとともに、サイト上でも見やすく、サイト訪問者の目に必ず留まるように設置するとか……。
 文芸的な作品を紹介し(今でも紹介しているのだろうと思いますが回数も紹介作品数もサイトでの位置も考慮する必要ある)、どこが素晴らしいのか説明するページを設けるとか……。

 読者を育てる努力ためのコストを払わないと状況は変わらないだろう。
 
 私は自己満足で書いているだけだから、評価されれば嬉しいけれど書籍化なんか期待していない。まあだから内容も文章も拙劣のままなのだけれど、他の作家さんは私とは違ってやる気がある方だろう。

 そういったやる気のある作家さんを集めてるのだから、読者を育てるための文芸的に優れた作品へ誘導する努力をサイト側や出版社側には求めたい。

2件のコメント

  • 同感です。商業主義の弊害ですね。人間の独自性を取り戻す為の文芸作品がいつのまにか画一的になってしまうというプロセスは皮肉なものです。何のために文章を書くのか。考えさせられました。ありがとうございます。
  •  水野 大河様
     
     コメントありがとうございます。
     利益をあげなければ現状すら維持できない出版業界の苦労は判るのです。
     ですが、なろうのように場を用意するだけのスタンスならまだしも、カクヨムのような書籍化候補を集めるサイトならば、もう少しやるべきことはあるのではないかと思いました。

     水野様の今後の頑張りを応援させていただきます。
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