エッセイにでも書くかとも思ったのですが、それほどのことでもないので生存連絡がてらここに。
歳をとると、視力や体力は落ちるし、肩こり、腰痛、膝が痛くなるなど不都合が多々生じます。加齢による不都合は身体的なものに限らず社会的にもいくつも出てきます。
でもですね。
若い頃は、頭で判っていても未経験なために実行に躊躇ってしまうことから解放されるなんてこともあるんです。
そんなことが今日あったというか、気づいたというか、そんな話です。
仕事を終えて電車に乗ると、珍しく空いていたんですね。
で、年寄りの私は「マジ、ラッキー」とばかりに座るわけです。
そんでデイバックから嫁から借りたコミックを取りだして読むわけですよ。
今日借りたのは「悪役令嬢転生おじさん(第一巻)」。
タイトルから判るとおり、異世界転生・悪役令嬢もので、絵面も少女マンガちっくなわけです。(縦ロールの公爵令嬢やイケメン王子や貴族がババーンと出てくるんですからね。でも作者は少年コミック畑出身の方で、絵をしっかりと見ると、そんなに少女コミックチックではないんです)
一気に読みおえてふと思ったわけですよ。
……若い頃なら、周囲の目を気にして少女コミックを公衆の面前で堂々と読めなかったなって。二十代当時の自分を思い出すと、(エロくない)青年コミックは読めても少年コミックは周囲の目を気にして読めなかっただろうとも。
当時だって、世間なんて自分を注意深く見ていないなんてことは知ってるわけです。仮に、二十代スーツ姿の男性が少女コミックを読んでいるところを見られて「キモい」と思われたとしても、二度と会う機会など無ければ、再度会ったとしても顔を覚えられているなんてことはそうそう無いってことも知っているんです。でもできない。できなかった。
それが今では、例え覚えられていて「このおっさんキモい奴」と思われていようと、まったく気にならなくなってる。
だって、公衆の場で少女コミックを男性が読んでいること程度で、人となりを判断する方が見識の狭い内面をさらけ出しているわけです。
そして長い人生経験が相手の人となりを教えてくれるんです。そういう相手とは付き合う必要はない、と。
もし付き合わなければならない相手でも笑い飛ばせるようになっています。
無理なく自然体でこう思えるようになっている。歳をとるのも悪いことばかりじゃないなと、しみじみ感じましたね。