小見出し『荘興、さまよう白い髪の少女の存在を知る』は、9エピソード・ほぼ1万字で書き終わった。荘興の生い立ちから50歳となった現在までを、旅の老僧・周壱を絡ませて書いた。私は起承転結にものすごくこだわるので、『荘興、さまよう白い髪の少女の存在を知る』は、これはこれで起承転結で成り立った1つの<章>として、うまくまとめて書けたと思う。
次は、場面をがらっと転換して、荘興の元へ<髪の白い少女>を連れてくる趙藍と蘆信という姉弟の話となる。前作ではこれを長々と書いてしまったが、今回は、かなり削る。彼らには、突然、閃いた第三部で活躍してもらうことにした。…ということで、客桟・千松園での荘興と<白い髪の少女>との出会いまでを、1万字くらいでまとめる予定。
前回、物語りの前振りの部分を延々と書いていた時、これでは『カクヨム』の読者は逃げてしまうだろうと思った。しかし、すべての小説で、世界観を書き表す前振りは必要不可欠なものだと思う。厚めの単行本1冊のいろいろな長編小説で、この前振りにあたるページ数を数えたことがある、だいたい10%くらいだ。20万字の小説だと、約2万字。この10%を読み終えたころには、読者の心はその小説の世界の住人となる。それが長編小説を読む醍醐味だと思う。
Web小説って、読むのも書くのもすごくお手軽で、そのうえに無料だと初めの数ページで、書くほうも読むほうも面白い面白くない・好き嫌いの結論を出してしまう。とても残念だ。私はかなり歳をくっているが、この歳まで生きてきて、初めは面白くないものや好きでないものが、関わっているうちに、だんだんと面白くなり好きになるという人生経験を、それなりに積み重ねてきた。そして思うのだけど、そうやって面白くなく好きでないことが、自分の関わり次第でだんだんと面白くなり好きになるという経験の積み重ねは、人生を豊かにしてくれるのではないかと…。