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バックログ「テーマとはなんぞや」


 テーマといえば高尚というか小難しいイメージがあって、あんまり好きではないものだった。何々をテーマにした作品、みたいなもの。
 説教臭いとまでは言わないが、どうにもそういうやつは楽しくない。
 文学作品とかそういう、何かしらのテーマをもって書かれたやつっていうのは、読んでもいまいち理解できず、読後感もよろしくない(個人の感想です)。
「この作品のテーマはなんでしょう?」「知らんがな」ということがあったかどうかは記憶にないが、まあそういう感じで、「テーマ」との第一接触っていうのは国語系の授業になるかと思われるのだが、そういう授業のせいか、それとも何か理由があったのかは知れないが、とにもかくにも、テーマっていうものを遠ざけてきたのである。

 ワイはとにかく面白い物語が書きたいのだ、テーマなんか知るか。というのが初期のスタンスであった。「面白い」というのはこの場合、ミステリー的な……伏線があって、それを回収する系の話である。つまりエンタメだ。
 まあその「面白いものが書きたい、だから書いた」というのもテーマといえるのだと思う。あまりに包括的すぎるけども。どちらかといえば「人生のテーマ」かもだ。


 そんなこんなで自分はテーマという概念をやや毛嫌いして遠ざけてきたのだが、創作関係の本にはどれも「テーマを」とあるし、自分もだんだんとその重要性がわかるようになってきた。
 まず、テーマがあれば話のアイディアが湧く。方向性が定まる。……最初はその程度の認識だった。テーマは作品づくりの道具。自分は世の中に何か訴えたいことがある訳でもなく、「だからテーマとか言われても」という感じ。
 とりあえず、短編とかの「オチ」をつけるのには使えるなぁ、という……。

 しかしここ近年思うようになったのは、「ただのエンタメ作品は薄っぺらい」というもの。中身がない、内容が薄い……いろいろと誤解を招きそうだけども、なんかそういう感覚が湧いてきたのである。
 災害とか、昨今の世界情勢とかを思うと……やっぱり別に特段訴えたいことがある訳でもないのだが、面白いものを書きたいというスタンスは変わらないのだけど、「テーマも何もない話は"そういう時"誰にも見向きされないのでは?」という。エンタメの存在意義みたいなものを、なんとなく、意識するように。偉そうだね。

 それからいちばん痛感したのは、「テーマがしっかりした作品は面白いし熱い」ということ。描き方や構成もあるんだろうけど、いろいろとまとまっていて……テーマを表す複数の要素が最終的に一つに収束していく、みたいな。ちなみに小説ではなく漫画を読んで痛感した。

 まあ要するに、テーマがあれば面白い物語をつくれる、ということです。それを改めて実感した。テーマに向き合う時が来たのだ。



 じゃあ、テーマとは何か。
 テーマとは……物語の中核を成すものであり、全体を貫く骨子であり、それらを覆う外殻である、と思う。表面を見ればなんとなくテーマを感じとれ、読み進めていけばだんだんとテーマを掴めて、最後にはっきりと理解する、みたいな。
 テーマとは物語そのものといっても過言ではないが、もうちょっと細分化は出来ると思う。キャラクターとか世界観・設定とかも物語の一部。でもそれらをまとめる存在としてテーマがあり、テーマに沿った人物・世界であれば、物語が面白くなるのだろう。
 自分は凝った設定、仕掛けのある世界観をつくれれば面白い物語になると思っていたしそういうところに面白さを感じるのだが、テーマによって統一感を出せれば、「より」面白いものになる……と、最近思った訳であるのだ。
 あと、テーマを起点に、ネタづくりの効率化が図れる、というね。


 いろいろ創作関連の本を読んだ中で……ライトノベルでいうテーマはだいたい以下のような感じで紹介されていた。
「かわいい女の子を書きたい」「ハーレムを書きたい」とか、そういうのでいいという。
 しかしこれではずいぶんアバウトで、そこから物語を生み出す発想の起点になるかといえば、弱い。それを補うのがキャラクターや状況設定になるのだろう。求められる発想力は大きい……つまり、そう簡単には創作できないということ。
 具体的に、「学校ではツンツンしてるけど、実は家が近所で二人きりの時はデレる女子」とか、そういうイメージがあれば発想の起点として意味を増すのだと思う。
 しかし、最初からそうしたイメージがあればいいが、何もない、ゼロベースからネタづくりするには……という感じ。


 他に、テーマとは「作者の個人的なあれこれだけでなく、読者にも通ずる、共感できるもの」とか。
 たとえば、家族の絆とかそういう感じ。異世界が舞台でも、そこには家族がいる訳で、ファンタジーであっても現実に通じるテーマを描ける。そしてそのテーマへの共感を通して、現実にもフィードバックがある……読者も家族について何かしら思うところを持てる、もの。

 異世界に転生したらチート能力を持っていた――というのは、テーマではなく、ただのネタ、アイディア。
 そこで、「兄弟で異世界に転生したが、兄だけがチート能力を持っていた」となればテーマ感が出てくるのだと思う。兄弟のあいだの軋轢とかそういうやつ。そういえばきょうだいで異世界転生とか、そういうのはあまり聞かないね。自分が知らんだけかもしれないけど。
 で、「チート能力がなくても、努力と機転で困難を乗り越える」とか、「チート能力に甘んじて努力していないといずれ追い越される」みたいなのがテーマになってくるんだろう。なんだか後付けっぽいけども、現状の自分は「アイディアがあって、それっぽいテーマを付け加える」感じ。そこを改善したいというか、もうちょっとうまくいくようにしたい。


 そしてもう一つ、テーマとは「問いかけ」だという。そしてその答えが訴えになる。
「戦争が生みだすのは何か?」という問いに、「戦争は悲劇しか生まない。だからやめるべきだ」とかいう答えと、作品を通した作者の訴えがある。これらをまとめて、一つのテーマとする。テーマを描くことが、そのまま物語になる。

 たとえば、ごく一般的な現代人の主人公が、ある日、国同士の戦争に巻き込まれて……。そうやって変わる生活の変化、目にするもの、トラブル、乗り越える主人公。そして戦争終わったねー、焼け野原だー、戦争は何も生まなーい。終わり。雑い。

 雑いのだけど、小難しいやつってなんだかそういう感じに「答え」が投げっぱなしというか、ほんとに何も生まないよな、という感じで、自分の性に合わなかった。悲劇とかバッドエンドじゃなくて、救われる話が好きなので。

 ここで主人公が何か行動して、誰かを守るなり、戦争を止めるなりすれば、エンタメになるのだと思う。「敵も味方も戦争を望んでない」とか……テーマが変わってくるけども。お互いの信じる心があれば戦争も止まるよね、みたいな感じがキッズ向けなテーマの描き方、着地点になるのだろう。なんにしても、そうした「何かしらの対応策」を示してほしい。

 しかしそういうキッズ向け(あくまで便宜上そう呼んでるだけ)はどうも「オチがつまらない」印象がある。途中までの盛り上がりは良かったけど、結局よくある展開、テンプレな解決策。みたいな。言い過ぎかな。キッズ向けでなくても、そういう印象の作品ってある。とってつけたような、というか、後付けなテーマ感。
 そういうテンプレ感はたぶん、避けては通れないというか、そうならざるを得ないのだと思う。何も示さないより、「こうすれば争わずに済む」という作者なりの答えを物語として示しているだけ誠実だし、好感が持てる。でもやっぱテンプレ……。
 それに説得力を持たせるのが、結末までの物語、キャラクターの存在。そういうのがうまくまとまることで「熱い」展開になるし、心に残るし、中身のあるエンタメになるのだと思う。テンプレというお皿の上に、料理を載せるイメージ。

 で。
 そうしたテーマがどう発想の起点になるか。ここが肝心だ。
 先の戦争テーマでいけば、前提として「戦争前の状況・主人公の平和な日常」があって、その裏で「戦争に至るまでのあれこれ」があって、そして開戦からの状況変化、等々。そういうものを考え、描いていけば、おのずとストーリーが発展する。発想の起点として役に立つ。悲劇を描くのであれば「殺される人」「殺す人」「巻き込まれて死ぬ人」とか、いろいろある。それらを描くだけでシーンは増える。

 プラス……登場人物。一般人な主人公にも望みがある訳で。たとえば「家でだらだらしてたい」望みがあった主人公が、戦争に巻き込まれる。それまでの平和な日常は失われた。それを取り戻すための戦い、という感じになるのかな。戦わずに平和な土地を目指して旅立つのもありだが、なんにしても、登場人物それぞれの望みが重要なのだ。

 配信活動で生計を立てていた主人公の望みは「配信だけして家から出たくない」だったが、戦争に巻き込まれて配信も出来ない、平和な日常は帰ってこない。そんな主人公がなんやかんやあって、戦争の様子を配信して、世界に助けを求める、みたいに、当初の望みとは変わりつつも「目的」を持ち、それを遂行する……。

 主人公の望み、目的、そこに向かう過程がそのものストーリーで、テーマを描くもの。
 そんで、どちらかといえば悪役になる立場の人たちの望み。そっちの立場の視点を描くことでも物語に厚みが生まれるし、それらと主人公サイドの望みが対立することで熱さが生まれる……。まあ、作者の腕次第だけどもね。



 テーマを軸に人物や舞台を考え、それらが発展し、お互いに絡まり合って、一つの結末に向かっていく。
 アイディアも生まれるし、面白くもなる。テーマがいかに重要か、これこのように、ワイも頭では理解しているのだ。

 が。

 じゃあ具体的に、何をテーマにすればいいのか?
 それがまったく浮かばないから困っている。
 現状だと、アイディアがあって、それを膨らませて、なんとなくそれに見合うテーマを模索している感じ。テーマはまとまりをつける道具程度にしかなっていない。
 戦争をたとえにしておいてなんだが、テーマは面白くする「武器」だと思う。なのに、ぜんぜん活かせていない。

 ……どないすればええの?

 分からん。だからこんな長文を書いている。
 テーマそれ自体が発想の起点、種なのだから、それを生み出すスベがないのはある意味仕方ないけども。

 とりあえず出来るのは、世の中の動きを見聞きして、そこに疑問を覚える感性を磨くこと、なのかも。科学者の研究テーマと違って、こちらは「読者に共感をもってもらえる」テーマであるべきなので、外の世界、世間に目を向けるのは自然な流れ。
 世界情勢みたいな重いやつだけでなく……最近だと、生成AIに思うところがあって、それがテーマとして機能した。しかし個人的には、上述の「ライトノベル的テーマ」と「戦争うんぬんのテーマ」のちょうど「中間」……どちらかといえばラノベ寄りのものが描きたい。

 じゃあどうすればいいか……。

 疑問を覚え、考え、自分なりの解答をとりあえずストックしておく。アイディアの他にテーマ集めも含めて「ネタ集め」になるよう意識を持っておく。まあ、そうなるのかなぁ、と思う。


 ……もっと画期的に、効率的に、テーマを量産できないものかな……。
 しかしあまりニッチすぎても発展が見込めないし、「ハーレム!」だけじゃアバウトすぎて。

 ……「ジャンル」を絞って、作品の傾向を調べて、その「逆張り」をしていく、というのでもアイディアは湧くが、テーマが得られるかは怪しい。

 ……AIでもいいが、お題を書いたカードなりを用意して、ランダムにいくつかのお題を出して、つなぎ合わせて、上述の「兄弟で異世界転生して~」みたいな「アイディア」から、テーマを抽出する……。
 いろいろ書いてみて、これがいちばん自分には合うかもしれないな、と思い至りました。今。

 余談ですけど、最近カレンダーを解体した。数年前の、いらないやつ。前々から細かく切って付箋がわりにしてたんだけど。
 月が変わると破って次の月にするごく普通のやつで、根本は紙状のもので留められていたんだけど、それを開けて、紙束を貫いていたボンドみたいなかたまりをペン先で押し出し……といった感じで、完全に解体した。楽しかった。
 そんで、そのカレンダーの紙を切り裂き、カード状にしたのだが、まだしおり代わりにしかなっていない。メモにでもしようかなぁ、と思っていたのだが、今回思い切って上述のネタづくりに利用してみようと思いました。善は急げだが、こういうときいつも思うのは、「何を書けばいい?」という……。

 アイディアが! ない!

 わああああああああああ


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