『溺愛』コンテストにまつわる活動記録なり。
この長かった2~3か月くらいのあれこれをまとめるのでだいぶ長くなるかと。
まず……このコンテストはいつ告知されたのだろう。調べれば分かりそうだし掘り下げればもっといろいろ詳しく記録が出てくるだろうけど、別にそこまで形式ばったものを書くつもりもないので、ざっくり2~3か月、と。
いろいろあったんだー、ということを世のなかと共有したくて。でも割と忘れてる部分もある。
で、まず……話のネタ自体はだいぶ早い段階からあったのだ。
姫選び、皇太子、男装ヒロイン。国を滅ぼしたいヒーロー対、それを絶対阻止するヒロイン。この路線はだいぶ初期から固まっていて、「これは面白い!」ときゃっきゃしながら、ぜひなんとかかたちにしたいと頑張り続けていた……。
その間に別のコンテストがあって、ぜんぜん出来なくて。別のコンテの結果発表があって、ぜんぜんダメで。そっちで落ちてたら加筆して使い回そうと前向きに計画してたのに実現できず。どんどん鬱っていき。
どうにかブレイクスルーが訪れたのが、8月の末ごろ。頑張ればあるいは、でも……という葛藤のなか、実際に書き始めたのが9月1日。かくしてなんとかぎりぎり最低文字数3万字を書き上げ、投稿とあいなったのである。
というのが、大枠の経緯。
書き上げて投稿したあとはそのまま寝込んで、目が覚めて確認してみると、PV数は2。それもプロローグだけ。これが現在の評価。普通に凹むけど。こういう女性向け・恋愛系はやっぱり合ってないのかなと思いつつ、まあ判断するのはコンテストなので、とりあえず静観の構え。
ともあれ。
このお話が出来上がった経緯を記録しておきたい。
どっちが先かは忘れたが、だいぶ影響を受けたのが『烏は主を選ばない』というアニメ。多少ネタバレを含む感想を。
まず、新アニメとして存在を認知。しかし偶然見かけたPR映像が、どちらかという女性向けっぽいキャラデザで、恋愛ものっぽく。「別にいいかな」と最初は見る気がなかったのだが、ふと何気なく、テレビの番組表であらすじを見てみると、どうやら主人公は男の子ぽく。なら恋愛メインじゃないかも、と思って録画。
しかし一話目を見てみれば、だいぶこう、自分がイメージする「宮廷とかでどろどろした恋愛劇」っぽい雰囲気。なんか「ひと昔前の少女の漫画のヒロイン」みたいなキャラが主役っぽく。失敗したかなー、と思いつつ視聴を続けた。まあ、こういうのを見るのも勉強か、と。
いちおう、主人公は男だし、恋愛メインの話ではなかった。
で。
これがけっこう面白くて。
こんなシリアスな雰囲気、こういう作風の話の中に、このヒロインなんかすごい違和感だな、なんかあるんじゃないか、と中盤からずっと疑っていたら、それが的中したし、なんなら想像以上のサイコパスでドン引き。でもきゃっきゃしながら観てた。こういう病んでるヒロイン好き! 嫌いだけど! ……みたいな。
途中総集編を挟んでたけど、改めて見返してみると、実は序盤から「犯人」がちゃんと明示されている。同じシチュエーションの場面に対比表現的なものも見られたり。見てよかったなー、というところ。現在第2クール放送中。
という訳で。
ちらっとあらすじなり見てくれれば分かると思うが、「妃選び」というものにだいぶ影響を受けてることが確認できる。
しかし思い返すに、いちばん影響を受けてるのは『烏は主を選ばない』における主人公コンビの方かもしれない。
今回の『溺愛』企画と、上述の影響で、すぐに浮かんだのが「皇太子と、そのそばで使える男装ヒロイン。身分の格差がある」というのと、「溺愛」なので、「皇太子は妃を選ばないといけないが、実は姫君とか眼中にない」という構図。最初はぽんぽんと話が浮かんでいった。
皇太子は立場上、各地から集められた姫君から一人を選ぶ必要がある。
でも本当に好きなのは主人公のこと。しかし主人公は立場をわきまえている。
じゃあこの国を滅ぼしてしまえば自由になればいいのでは?(by皇太子
ふざけんな(byヒロイン
一方、姫君サイドもいろいろな事情から無理に参加させられている。この辺も『烏』の影響を受けているかも。ともあれ、テーマ的なものも「生まれた立場などの縛り」みたいなものが浮かんだ。
そこで思いついた、クーデター。
初期の構想は以下の通り。
1.姫選び。状況。
2.姫君の一人によるクーデター未遂。
3.皇太子がそれを止める、ヒロインも一安心。
4.皇太子が別に企てていた、他の姫君との共謀クーデター発生。
ここまではぽんぽんと。そこにコンテストの応募要項ページと睨めっこしながら、いろいろプラス。
たとえば、ヒロインは男装していて表向きは男なのだが、それをいいことにやたらスキンシップしてくる皇太子、とか。そういうシチュエーションのイメージなど。
1と2のあいだに、ヒロインと皇太子の関係を疑う腐女子姫君などが出てきて。その「ストーカー」の気配を1章内で書くつもりだったが、完全に忘れていた。
とまれ、そうして大枠は徐々に仕上がり、世界観も【小帝区】というものが浮かんだ。
帝国全土から選ばれた姫君がやってくる。完全アウェイにするより、もともと姫君たちの故郷を模した、いわゆる「中華街」みたいなものが都内にある、いわば「帝国の支配地域の縮図、みたいな都市」を舞台にしよう、と。
それから、なんかいろいろ配信観ていて、「子育てとはどういうことか。大人になっても子育てを習う訳じゃない」みたいな話から、「なんの準備もなく実践するのではなく、事前に勉強していたら?」という発想から、「皇太子が政務を実践練習するための舞台」……姫君たちも交えて、ただの恋愛劇ではなく、政治劇、都市運営の物語にするのはどうか! という風に発展していった。
これにさらに「溺愛色」を特化していったものだから、もうどうしてもこのコンテストに応募したい、と。他のところに回せるかは分からないし、せっかくだからどれだけ応募要項に適応できてるか、そういうのをつくれたか審査してもらいたく。いろいろ心折れかけるなか、必死に書き上げた次第……。
しかしまあ、だいぶ煮詰まっていて。
いろいろと選択肢があった。
皇太子とヒロインは何か学校的なものを卒業して、いざ成人となる前に「妃選び」「政治」に入るか、まだ在学中にするか、とか。帝国のイメージもぜんぜん浮かばず。以前から考えていた「コンテスト用共通世界観構想」の方からアプローチもしてみたりして。
で、この「学校的なもの」というのが、ブレイクスルー。
初期構想ではいきなりお姫様登場、お食事会自己紹介という第1話だったのだけど、ここに「学園」という要素を盛り込んだ。
しかしこう、「学園都市」というイメージに囚われすぎて、今の今まで【小帝区】そのものの、帝国の縮図感を忘却していた。ここから軌道修正できるだろうか。
とまれ、そんな感じで本当に1章は完全アドリブで、綱渡りしながら空中戦しているイメージでずっと書いていた。
最初は、「せっかくだし、皇太子と一般人、男装と普通の女子の二重生活を描くパートを」とくらいのイメージ。休日普通にお出かけしていたら、暴漢に出くわし、それを皇太子パワーでどうにかしよう、くらいな。
それから2章で姫選び開始、といければ3万字いくか……いやちょっと無理か……と考えつつ、進める。
もうちょっと街の描写とかもしたかったが、そこに思考リソースを割いてたら間に合わないかもと思って省略したり。代わりに「門」の名前とかをつけてみたが、これもかなりアドリブ。しかし軽く調べて、いろいろと方針が見えたのは幸いだった。
舞台となるお屋敷のイメージは最初からなんとなく「五角形」……「五芒星」的なものを思い描いていて。拮抗、桔梗とかのイメージから「桔花邸」と名付けたのだが、五芒星を調べてみるとその「桔梗」の名前が出てきて、この路線でいこう、と。
建物の配置は逆五芒星、門の位置は通常の五芒星、それらの「五行」という要素から。正直建物の名前とかその場の勢いでつけたので、あとでもっと考えて修正するかもしれない。だからぜんぶは名付けていない。必要なところだけ、即席で仕上げていた。
ちょっと懸念があるとすれば、建物の配置を上述のようにすると、そこに住まう姫君たちの性格設定もそれを参照すべきで。
具体的に言うと、五行それぞれにいろいろな意味合いがある訳で、まあ「水は火に強い」みたいな「関係性」が、そのままキャラ同士の関係性に直結しうる、むしろモチーフをとるならそこに忠実にすべきなのでは、という「縛り」。それと、そもそも自分がぼんやり抱いていたイメージとの齟齬、すり合わせ、これが大変そうだなぁ、と。深く考えてる時間がなかったから、とにかくアドリブで進めてしまったが。
ただまあ、現状まだ姫君のイメージとか背景設定は仕上がってないので、これらの縛りを指針に組み立てていくことになりそう。なんなら帝国の全体像も見えていない。
ファンタジー的な世界観をつくるにあたり、安直に取り入れたのが「登場人物はほぼ不死」という設定。
これは白状すると、現在読みかけの『アークノア』という小説から。その異世界では人々は死なない、死んでも翌日には元に戻っている、ただし死んだ一日の記憶はない、という。まあ、もろに影響を受け、採用してしまった。
ただ、ここに「縛り」というものが生きてきて。「人々は死なないが、寿命は設定されている、それは生まれたその日に明示されている」という設定がオリジナリティな部分。
今回のコンテストは「明るく楽しいラブコメ」が求められている。しかし「クーデター」など入れ込むと、どうしても死傷者が出かねない。
だけど、登場人物が誰も死なない、不死だとすれば……いろいろと、凄惨な状況もなんとか丸く収められる。ラブコメに向いてる設定だと思ったのである。なので採用した。
人が死なない、老いもないとなると、人口はどんどん増える。そうすると食糧難とか戦争とかが起こりそうだが、「帝国」という設定は先にあったから、「帝国が支配していて、世界情勢はだいぶ落ち着いている」という感じに固まった。ラブコメするには、どうしてもそういう平和な空気が必要だったので。必要性があったから、方向性も定まった。学園都市という状況的にも平和が一番だし。
しかしまあ、「荒くれもの」、スラム出身みたいな人がいた方が話が動きやすい。あまり平和過ぎても困る。その辺どうすり合わせようか、というところが現在も悩みどころ。
何気に、「平和な帝国」……人々も死なない老いないユートピアが仕上がった。その反動からか、「人生の計画書を国に提出しなければならない」という謎のディストピア要素が生まれたりなどした。他意はないのだ。流れで。ニュースでマッチングアプリがどうのっていうのが影響したのかもしれない。
そういえば、『妖威』なる外敵に関しては、もう書いてる中での流れで生まれたもの。ぼんやりそういう和風要素を考えてはいたが。出してはみたものの、どうしてくれよう。恋愛には影響しないぞ。荒くれもののおじさんも、のちのちそういう人が出てくるイメージはあったが。まあ「キャラづけという縛り」を描くのには良い見本だったか。
ちなみに、「準和風」といってるのは、まあ絵にすれば和風だよね、というイメージから。登場人物の名前にも「和風み」がある。いちおう全員、当て字にはなるが、「漢字」で書ける名前になっている。
あとなんだかんだ、五行とかそういう和風要素も入ってきた。魔法が欲しかったが、それもこっちの路線で仕上げていけそう。
とまあ、とにかく身の回りにあるいろんなものをかき集め、どうにかこうにかかたちにしたのである。
ほんと、もう死のうかなってくらい何も浮かばず、ずっと鬱々としていたのだが、どうにかなって本当に良かった。今はそれだけ。あとからだんだん、「こんなに頑張ったのに読まれないのか」とまた鬱になると思うけど。
いちおう、他にもいくつか案があって、そっちも「溺愛特化」してたのだが……まあ、いずれ機会があれば浮上するだろう……。
最初は「溺愛? ……こういう男性キャラ好きなの?」と微妙な気持ちで、気持ちがノレるだろうかという想いもあったが、これこの通り、かなり熱中できた。
が。
それが世のなかが求める「溺愛もの」かどうかは分からない。
これがダメなら、今度こそ「女性向け・恋愛もの」系のコンテストにカロリー割くのはやめよう。
まあ、その前に今度はちょっとBLに挑戦してみるけども。しかし10万字。気軽にはやれないな……。性描写、必要なの……? 別にBLじゃなくても、性描写って苦手なんだよね。真面目ぶるつもりはなく、こう、エロとストーリーは別腹っていうか、スイーツ食べたい時に焼肉定食出されても困るでしょ……。