• 現代ドラマ
  • 現代ファンタジー

『星夜見は口にする』PR、いろいろな変遷


 近況ノートにどれだけの影響力があるかは知らないが、あらすじ以外に作品の情報を提供し読むかどうかの判断基準にしてもらうため、のアピール枠。ピーアールとアピールって似てるね。

 急いで書いて投稿して、数日経っていろいろと情報の整理もついたので。さらにそれをまとめつつ、これまでの移り変わりを記録しておこう、と。
 どういうアイディアから生まれたかについては以前のノートに書いてあるので、それ以外の部分の変遷を。ちょっと今回は新しい土台のうえに形成されているのもあって、「起こり」と「現状」を何かに記録しておいた方がいいかなーっていう。実際使うかどうかはともかく、保険として。初心にかえるって時に大事だものなので。

 ちなみに、新しい土台というのは、アイディアを書き出すためのブレスト用の「紙」のこと。これまでは日付とかいれて保存用を意識していたが、今回はより自由に書き散らすため、あとで捨ててもいいように……こう、むかし公募用に印刷した応募原稿の裏面を使っている。印刷に失敗したものを。リサイクルだね。でもふと裏面が気になって覗くと地獄が待っている。リサイクルできない黒歴史。



 ちなみにちなみに、この『星夜見は口にする』というお話は、「その溺愛、過剰です!?」というコンテストのために、ためだけに書かれたもの。でも落ちたらカクコンに回す腹積もり。恋愛を主軸としつつ、なんだかんだ壮大な異世界ファンタジー構想へと発展してしまったので。

 世界観は「準和風」。……なんか和風・中華風を求めるコンテストが始まったので場違い感、間違えた感あるものの……。
 純和風でないのは、ファンタジーという部分が大きく出てしまったため。でもいちおう陰陽道的な要素を入れている。結果的にそうなった感はあるが。今後はもうちょっと日本風な統治形態を構築していくつもり。

 この世界では人々がほぼ「不老不死」、致命傷を負っても時間が経てば自然回復するし、死亡しても一日たてば(身体の状況にもよるが)復活する。医療技術は病気などの治療よりも「体のかたちを整える」……つまり外科的な部分に特化しているっぽい。
 完全な不老不死でないのは、子供から成人にかけて外見的な変化がちゃんとある、ということ。それ以降は全盛期の状態で留まる。そして、生まれたその日が誕生日となるのと同時に、「命日」もはっきりする、あらからじめ「寿命を迎える日」が全員分かっている、ということ。命の耐用年数が存在する。それを見る「余命見《よめみ》」という人たちがいる。それだけじゃ生活できないので、医療関係者も兼ねていると思う。

 で。
 ストーリーはといえば、そんな世界観において大陸を平定した帝国、その皇太子がじきに成人を迎えるという時期から始まる。18歳くらいが成人扱い。
 皇太子は帝位を引き継ぐ前に、「政治活動」を勉強するため、自治区を与えられる。そこには帝国全土、つまり属国や植民地のいろんな文化や人民が集まっている、いわば帝国の縮図ともいえる都市、【小帝区】。そんでもって、学園都市でもある。帝国の未来を担う人々が集まり学ぶ土地。国を治める政治=生徒会活動、みたいなイメージだと分かりやすいかも。

 そうした前置きがあったうえで、皇太子の「妃」を選ぶ儀式、「晴夢」が同時に行われる、それがこのお話のメインどころ。帝国各地の有力者の娘たちが皇太子のもとに現れ、一緒に暮らし、その中から一人、のちの皇后になる婚約相手を選ぶ儀式……もちろん、一筋縄ではいかない、権謀術数、修羅の場になる。
 加えて、こうして集められた「姫君」たちは、ともに「政治」にかかわる、つまり「生徒会のメンバー」になる存在でもある。舞台となる街はそれぞれの姫たちの「地元」を各「区」として有しているのもあるので、そりゃあもう、いろいろある。

 そんなシチュエーション下だが、主人公は姫候補ですらない一庶民、ある事情から皇太子のそばで「男装」して仕えている少女。皇太子は姫君たちでなく主人公しか眼中にない……主人公を嫁に迎えるためならこの国を滅ぼしてでも、とまで考える始末。それを止め、皇太子を立派な皇帝にしようと頑張る主人公の物語、なのかもしれない。



 さて。

 ヒロインとヒーローの関係、立場っていうのは前のノートに書いた時とあまり変わらない。庶民と皇族、身分違いの恋愛。
 ただ、少しズレたのが、当初は主人公も皇太子殿下のことが好きなのだとばかり思っていたのだが、いざ書いてみるとこう、「一方的に想いを寄せられていて迷惑している」感が出てきた。書いている当のわたくしも、「なんかこいつイヤだなぁ……」って、肝心かなめのヒーローのこと、ちょっと嫌いなったプロローグ。まあ、書く前からそんな好きじゃなかったかもしれない。
 今回の企画、「溺愛、過剰」。まず思いついたのが「男のヤンデレ」。ヒロインのことが好きすぎるあまり悪落ちっていうのも、まさにそういう印象で。それを止めるヒロイン、という構図が気に入って書き始めた訳だが……なんというか、「俺の娘に手ェ出すんじゃねえ」みたいな気分。ヒロインに近付く男はみな敵視してる。親ばか作者。

 前の前のノートに恋愛ものは「体験」が重要だ、それを意識していこう、などと書いていたのに、さっそく反故にしている。読者の体験などそっちのけ。困ったね。だからそういう意味では、この物語は、ヒロイン(および作者)が、ヒーローを好きになっていくまでの物語、になるのかもしれない。……顔もいいし立場もいいヒーローから溺愛されているのに、それを嫌がってるヒロイン、という構図は、体験を求める読者からすれば「贅沢いいやがって」みたいな感じなのだろうか。分からない。


 ともあれ、主要人物この二人。
 ヒーローこと皇太子についてはまあ、上述のような感じ。ちょっとコメディ感出すためにプロローグでは「姫選び」に対するコメントをしていただいたが、やっぱりまだ好きになれてない。
 しかし、「皇帝と学生の、身分を隠した二重生活を書こう」パートで、あえて陰キャのオタクくんとして殿下のことを描いたことで、そっちの方の顔は好きになった。友達想いの一般人。……恋のためなら民を殺すのもいとわない皇帝。どっちも彼の顔。そういう部分も話の根幹になっていくのかもしれない。

 ヒロインに関しては、大きく変わった。
 当初は「庶民、他の人々より寿命が短い」という設定があった。それでまあつつましく、だけど皇帝というものにちょっと反感があって、庶民として現れた皇太子となんだかんだあって、かかわりをもって、今の立場に……、みたいなイメージ。
 皇太子、つまり皇族の「権能」によって、寿命が改変、一般人並みの寿命設定を得た。つまり命を救われた。その恩から皇太子に忠誠を誓っている身。皇太子の力を体感しているから、まあいろいろと思うところがある。良い風に。この人は本当にすごい人なんだ、という信頼がある。
 寿命が短いことに関して、「偶発的なもの」と当初は考えていたが……。
 ――皇太子に仕える異能力者を確保するため、その家系の人間は意図的に寿命が短く設定されている――
 みたいな闇設定が頭の片隅にうろついている。こうすると、「皇族は庶民の寿命を書き換えられる」ことがより意義を持ってくるから。今のところ、「お役所オーダー論」で寿命の書き換えを通しているけども。つまり、「庶民だったヒロインは死亡した、と届け出を出して、新しい人物として寿命を再設定した」みたいな理屈の魔法。これが男装、「別人」を演じている理由でもある。
 しれっと皇族がまっとうな人間じゃないという設定が出てきたが、まあそういう意味で「異世界ファンタジー」としてちゃんと考えておるのです。

 で。
 ヒロインについて。最初は親もいたのだが、いつの間にか孤児になっていて、養父母が存在していた。皇太子が二重生活を送りにあたり、ヒロインもそうしよう、という変遷から、本名と仮の名を考える羽目になり、ちょうどいいところに「使用人の家の子、ヒロインの友人枠」がいたので、その子ことミネイと同じ苗字にした。
 孤児のヒロインと皇太子の出会いを考える過程で、ヒロインと接触する理由を探していたところ。「下町で悪評をとどろかす不良」という設定がおぼろげに。つまり「寿命が低いうえに孤児という立場」で荒くれていたヒロインを、退治オア物見遊山に来た皇太子、という出会いのきっかけが誕生した。
 スラムの狂犬。これもヒロインの「隠している身分」にしようかと思ったが、養子に来た当初は荒れていた、ということになって、「桔花邸」の人々は荒くれていたころのヒロインを知っている、という流れに。こうすると一章でミネイがヒロインの後ろに隠れた理由にも納得がいくように。
 そして、ただ不良なだけでもつまらないし皇太子が出張る訳もないので、なんかもっとヤバい存在だった、全市民不老不死の世界で他者に「傷」を残すことが出来るモンスターだった、ということに。
 既に3万字ほど書いて実は一番謎なのが当の主人公なのだった。

 そしてこのヒロイン氏。皇太子を慕ってはいるのだが、皇太子の「自分のためなら周りがどうなろうと」みたいなスタンスだけには抵抗がある。それがプロローグのやり取り。ヒロインは自分の周りの人々、ひいては帝国に愛を持っているが、皇太子はそうではない。というお互いの価値観のすれ違い。だから迫る皇太子とのあいだに一線を引き、距離をとる。
 あんまり身勝手に迫ってきたら、私この場で死にますから。という脅し。死ねばその時の記憶はなくなる。皇太子がどんなに愛を囁こうと、ぜんぶ彼の自己満足になる。それでもよければ、どうぞ。みたいな。「二人の愛」でなく「身勝手な愛」で満足したければ勝手にすれば、付き合わないけどね。ていう。ちなみにそうした事情から、プロローグのやり取りはヒロインの記憶から失われている。けっこういろいろと使えそうな設定である。

 で、そうやってヒロインは釘を刺したつもりなのだが、皇太子の方はというと「目の前で俺の女が死んだ……」というトラウマを植え付けられたので、「いくら生き返るとはいえ、この子はすぐに死ぬかもしれない」という過保護性に目覚める。溺愛ましまし。しかもヒロインの性質上、「自分を投げ出してでも」アクションすると皇太子は理解、それは実際正しいが、「そうさせないように」今度は皇太子自ら「権力行使」していくように。一章の終盤がそれ。当初はヒロインのために(代わりに)暴漢を殺すつもりだったが、脅かして退かせるにとどまった。その結果として皇太子であることが判明したのだが、そういう「自分のリスク」よりも「ヒロインの命」を上に位置付けることに。こういうのが溺愛だと思ったのだが、どうだろう。


 まあそんな感じの二人がなんやかんやしていく物語。
 そこに「妃選び」と「都政」というものが絡んでいく。
 政治に関しては正直まだ何も浮かんでない。そもそも帝国の全体図が見えていないので、各国の状況とか設定が出来ていけばおのずと問題点も浮かび上がるだろう、と。それに、妃選びとも自然と連動していくと思うので。

 妃選び、いちおう「5人」の姫君の設定が漠然と出来ている。この中から皇太子が嫁を選ぶ、というのがおおまかな流れなのだが、書いている中で浮かんできたのが、「恋愛バラエティ」という一面。

 当初からうっすらと「王と民の関係」みたいなものを取り扱いたいとは考えていた。つまり、王は民の上に立つが、民がいてこそ王は成り立つ、という理屈。王が一方的に支配できるのではなく、民意に応えなければ王ではいられない。それがこの嫁選びで活きてくるのでは、と。
 王が気に入った女を嫁にする……というシンプルな話ではなく、そこに「民意」がかかわってくる。つまり、「国民に好かれるヒロイン」であることが大前提という話。
 前々から書きたかった「恋愛頭脳戦」っていうのがここで実現できそうでちょっとわくわくしている。あと、「かしこいヒロイン」だとか「嫁入りからのセカンドライフ」だとか、これまでのこういう系の企画の集大成的なものになりそう。そもそも、そういう「共通世界観構想」の延長線上にあるから、これも自然の流れと言えなくもない。

 話戻って、王と民の関係。
 たとえば現実でも「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」で有名な方がいますが、その方も「私生活が一般人に公開される」「出産にも見物客がいる」という「見世物」だったという。当時の王族っていうのはそういうアイドル的存在。もしも民衆の期待に応えられなければ、クーデターからの処刑という、命のかかったエンタメが要求される存在。
 王であるから、神であるから、一般人のような「人権」はない。
 ……そこまでシリアスでなくても、そういう「感じ」の「嫁選び」になると思われる。ただの恋愛、女同士の修羅場、みたいな印象で切り捨てるのはちょっと待っていただきたい部分。ある意味、「体験」を満たしているかもしれないな、とちょっと思う。

 まあ、こういう風に考えると、皇太子殿下の「すべてを投げ出して逃げ出したい」という本音も理解できなくはない。皇族として生まれて、そういう立場になる、これは本人が望んだことじゃない、生まれながらに決定されたこと。その「役割・宿命」から逃げ出したい、そのために国家転覆を企む、というのも、まっとうな主張ではないか……。
 だけどそれを許さない主人公なのである。
 良くも悪くも、ミネイちゃんがその点で「庶民代表」として発言してくれているが、みんなが皇太子がヒーローであることを望んでいる。みんなが皇太子の恋愛に期待している。その点、ある意味、主人公も皇太子に皇太子であることを求めている。一章のタイトルで「庶民」を強調していたのもこういうことだったのかもしれない、と我がことながら思う。後付けだけど。

 まあ主人公もいろいろと思うところはあるのだが、二章で「皇太子に相応しい女性、自分が応援できるヒロイン」を見つけ、その人を後押ししていくことが今後の目標になる。作者としても読者に「この人がヒロインです!」とアピールして好感度を稼いでいかないといけない。
 でも「体験」を望む読者としては、主人公と皇太子の恋愛が望ましいのだろう。その齟齬、認識のギャップをどう埋めていくかが今後の課題なのかもしれない。


 国家転覆を企む皇太子バーサスそれを絶対阻止するヒロイン。
 この構図、こうしていろいろまとめてみると想像以上に入り組んでいると自覚する。
 あと裏でクーデター計画も動いている。
 プロローグで現皇帝夫婦の仲良し感がイメージできたのも相まって、ちょっと邪悪な発想の転換が生じていたりする。
 当初、皇太子の弟、性悪系ショタをイメージしていたのだが、これがもし「腹違いの弟だったら?」という発想の転換である。まあこういう恋愛系の話にはありがちなやつで、最初から無意識に排除していた選択肢だったのだが……プロローグを実際書いてみて、「これ」が活きる展開が思いついたのである。
 現皇帝も、今の皇太子のように「嫁選び」を通ってきている、という本編前の背景設定。正直皇帝陛下含めてあまり存在を意識してなかったのだが、これを真面目に検討すると、これから起こり得るであろうトラブルに近いものを陛下も経験している訳だ。今の皇后とは別の女性に迫られたり……。
 腹違いの弟。そういうのが存在しうる論理的な下敷きが存在するのである。そして上述のように「エンタメ性」を考えると、「メインヒロイン以外の相手との子供がいる」というのは相当なスキャンダル。クーデターの矛先はなにも皇太子でなくてもいい、むしろ今の国のトップを狙ったものであるべき。
 クーデターの「火種」について何も浮かんでいなかったが、これはなかなか使える「ネタ」だぞ、と自作自演めいた陰謀を画策しているところです。「腹違いの弟」の血筋によっては、今の皇太子の立場も危うくなりえるし……仮に皇位継承権で自分が勝っていても、皇太子殿下にとってこれは有力なカードになりえる。
 ただ生憎と、「最初のクーデター」はプロット上、失敗することになっている。どう構成していくか。いちおう12万字想定でいわゆる「一巻ぶん」のひとまとまりにするつもりなのだが、この「弟問題」を入れると、どういうかたちになるのか……。


 12万字想定、図らずも3万字のあたりでちょうど「25パーセント」、主人公にとって引き返せない分岐点を描けた。ここまではほど良い構成が築けているので、これを維持したい。50パーまでには姫君たち、メインの登場人物を揃えて。そうなると消去法というか構成の穴埋め的に、「クーデター1」「2」はあまり間を置かず連続して進めるべきなのかも。
 これに加えて、全体を貫く「世界観の謎」をどう扱っていくか。

 当初はほんと、軽い気持ちの構成で、というかむしろ「軽くつくれる」ものを目指していたのだが。なんだかんだ「壮大な構想」になりつつある。
 とまあ、いろいろと考えているので、ただの「恋愛」ではなく、「ジャンル・異世界ファンタジー」として見ていただけると……。


 そういえば。
 最初はこの世界、巨人や小人、多種多様なファンタジー種族を登場させるつもりだったのだが(姫君たちもいろんな種族)、いつの間にか忘れ去られていた。でもいちおう、人間外の文明人は一定数登場するつもり。男でもないし女でもない、だけど男にもなれるし女にもなれる、そういう中性的な種族が登場予定。男装してるヒロインに好意を抱き、「彼のことを男だと思ってたのに、どうして自分の身体が男性化している?」という疑問から正体に気付く、という展開などを考えている。BLも百合も内包しております。でも「男女」の恋愛でなければ読者への背信行為になりかねないという葛藤。
 とりあえず、ハッピーエンドを目指すという信念はあるので、そこら辺はご安心を。まあ、「いくら死んでも生き返る」っていう設定に守られているので。……けどそのお約束の範疇でいっぱいやるかもしれない。ラブコメでよくある「いま見たものを忘れろ!」って襲いかかる展開、あれに実効力があるので。しかし主人公に常に「殺すか?」て選択肢があるのが想定外だった。真面目な顔して狂暴ヒロイン。むっつり暴力。

 ……皇太子に対してヒロインが想いを告白するけど、殴って殺して忘れさせる、というラブコメチックな展開が浮かんだ。口にするんですよ、何かを。
 しかし、諸事情あって彼は殺せないので没シーン。というか殺伐すぎるね。あとよく考えたらヒロインが殺したら洒落にならないや。バケモンだもん。


 ……で、結局「星夜見」って何?


コメント

さんの設定によりコメントは表示されません