カクヨムでのキャンペーンとは関係なく、普通にここ最近読んだ本の感想と整理。
異世界ものを書こうと思って、異世界ものを読み込むことにした。なんだかんだでこれまでちゃんと異世界ファンタジー作品に触れてなかったりする。読もう読もうと思って積んできたものと向き合う時が来たのだ、という覚悟のような何か。
とはいえ、よくある長文タイトル系のラノベではないので、読んだことでカクヨム内で受けるものを書ける参考になるかは怪しい。しかし勉強とはいえ好きなものを読みたいのだ。
・戦地調停士シリーズ
「殺竜事件」「紫骸城事件」
三冊目を読んでる最中で、全巻読んでから感想をまとめようかと思っていたのだが、いつになるか怪しいので。感想が新鮮なうちに。
とはいえ、一冊目を読んだのはカクヨムコンの前で、数時間で読み終えその勢いのまま二冊目を途中まで読み……カクヨムコンを挟んで最近読み終えたところ。読むか書くか、どっちかにしか集中できない人間である。
新書サイズで、1ページに上下二段落?な構成。そのためかすらすらと読みやすかった。実際の文字数の量は計算してみないことには分からないが、文庫本よりスムーズに読めた印象。内容にもよるのかな。昔はこういうページ構成の本をよく読んでたのだが、ここ数年では久しぶりな気がする。
内容はミステリー、しかし舞台は異世界でファンタジーなシリーズ。これと「六花の勇者」の影響でカクヨムコンでは異世界ミステリに可能性を感じて挑戦したりした。
ファンタジーでミステリーなので、シリーズの一作目はいろいろと作品との「接し方」を考えることになる。つまり、どの程度ミステリーしてて、どの程度ファンタジーなのか。いわゆるフェアプレイが守られてるのかとか、「これはミステリーだと信じて読み進めてもいいものか」という、若干疑いの目を持ちつつのやつ。ファンタジー要素なくても、「どういうトリックで来るタイプのシリーズなのか」という点で、シリーズの一作目を読むときはちょっとした覚悟のようなものがいる。あるいは偏見のようなもの。
結果的に言えばちゃんとミステリーしてたし、二冊ともトリックが明かされた時には思わず本を閉じてため息ついたくらいに良かった。なんなら一作目なんて、上述のような自分の「偏見」を利用したトリックともいえるのかもしれない。
若干「ファーストインパクト」的なものを削ぐようなネタバレになるかもしれないが……ミステリー以前に、「演出」みたいな部分、プロローグから本編への入り方もとてもよかったので感想を書く。
一作目はタイトルが全てを語っている「殺竜事件」……殺人でなく、殺竜っていうのがもうイイ。素敵なタイトル。
ただ、個人的に微妙な点があるとすれば、以降のシリーズのタイトルがぜんぶ「海賊島事件」とか五文字で統一されてるのに対し、この一作目だけが四文字なのがちょっと引っかかる。まあ他に良いタイトルも思いつかないし、別にシリーズ化する意図がはじめからあったとも限らないし、仕方ないと言えるのかもしれない。
で、プロローグ。本編とは直接関係ないどこかの戦場で、視点主の部隊は敵軍から魔法攻撃されそうになっている……という、世界観が分かりやすい内容。全滅必至で、その攻撃をどうにかするには、どこかで大災害でも起きて人がいっぱい死ぬか、「何か大きな存在」が死ぬか……そうすれば魔法の影響が弱まる的なことが描かれている。
そして、実際どこかで「何か」が起こったのか、相手の魔法攻撃が弱まり、視点主たちの部隊は窮地を脱するのだが……。いったいどこで、何が死んだのか? という疑問でプロローグは終わり、次のページに堂々と「殺竜事件」っていうタイトルロゴがあるという――映画とか新アニメの一話目みたいな入り方。どっかしらで試し読みとか出来るなら、このプロローグだけでも読んでみてほしいところ。イラストも良い。
本編はほとんど短編集みたいな内容だったので、それも読みやすかった理由の一つかもしれない。この内容を読むと、最初からシリーズ化は企画されてたのかな、とも思う。二作目の「紫骸城」に関するエピソードとかもあったりする。
二作目の方はといえば、一人の人物の視点をメインにしての長編。密室で起こる連続殺人事件。
正直、一部の殺しの真相については「え? まあ、魔法だからありなのか……」と若干腑に落ちない部分はあったのだが、トリックが明かされるまでの描写がしっかりしているので「フェアじゃない!」とは言えない。むしろこういうジャンルはそういう「描写の仕掛け」による驚きがメインなのかもしれない。
匂わせ要素が多々あるので事件全体に「あるもの」が関わってるのは誰でも分かってくると思うのだが、実際トリックが明かされると、思ってた以上に「匂わせ」があったと知り、細部にまで仕込まれてた伏線に思わず本を閉じてため息をつきたくなる。
読んでた期間に空きがあったとはいえ、序盤でしっかり描写されてたあるものを、読んでるあいだに完全に失念していた――それがもうなんというか、作者による魔法っていう感じ。そういう意味でも真相にはかなり動揺させられたし、全てが終わってあとは後日談とかになるのであろう……と思ってたエピローグにまで驚きが待っている。
……このノート長くなりそうなので別に分けようかと思うが(書いてる途中にPCフリーズとかして全部パーになる恐れもあるし。ノートは書いてる途中で保存とか出来ないのだ)……別に読んでた創作関係の本とかの教えを見ると、この「紫骸城」はまさに好例って感じがした。
連続殺人がメインプロットなら、舞台となる城にまつわる伝説や呪いの話はいわゆるサブプロットになるのだと思う。トリックが明かされるところでメインとサブが合流、全ての伏線が消化された……と思わせての、エピローグでサブプロットを真に解決するっていう感じ。ミステリーでありファンタジーしながら、ミステリーはミステリーで、ファンタジーはファンタジーで別々に描いてるというか、なんというか。語彙力のない自分には「すごい! 超面白かった!」というしかない。
・「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」
ご存知、ダンまち。アニメを見ていて、そのCMで「10周年なので10巻ぶん無料公開」というのを見た。手元に一巻だけ物理であるので、それを期間中に読めたら、無料公開ぶんのにも手を出そう……と思い、アニメが終わってから一巻を読み始めた次第。
タイトルに「ダンジョン」と入ってるのもあり、ダンジョンの描写をどうしてるのか興味があったので、もともと読みたい本リストの上位にはあったのだが、上述の無料公開が後押しになった。
……ところでその無料公開、最初知った時にはキャンペーンページがすぐには見つからず、つい先日本腰入れて探したところ、その時にはもう一部の無料公開が終わっていたのであった……。段階的に公開していたらしい。今は8~10巻が4/15まで公開している。ただまあ、内容自体はアニメで知ってるから8巻からでも読めるだろうとは思っている。
ともあれ、ダンまち。もしかすると久々にラノベを読んだのかもしれない。明らかに読みやすい。これぞライトなノベルって感じた。
アニメで人物や街の様子が描かれてたのもあり、文章からのイメージもしやすかった、というのもあるのかも。
アニメで描かれてるのがもともとどういう文章だったか、逆に、この文章がどうアニメになったのか……ということを意識しつつ読んでいた。
アニメで内容とか設定は知ってるつもりだったが、単に忘れてただけか、ステイタス周りについては初見な感じだった。面白い設定。ゲーム的な設定を物語の設定に落とし込んでいるなー、なるほどなー(語彙力。
異世界転生作品に触れてきてないので、他がどうかは知らないが、なるほどこういう設定があるからみんな異世界ものが好きなんだな、と思った。
それから、「終盤、追い詰められた主人公が覚醒して逆転」という展開は王道で、ダンまちにもそれがあるのだが……これも、とても良かった。というか、説得力がある展開、構成、それと設定。全てがうまくかみ合ってるっていう印象。設定が「設定として独立」してるのではなく、きちんと物語の一部にあるっていうか……なんというか、憧れる展開。
メインプロットとサブプロットの合流とか、物語の進行に合わせて主人公の内面の成長とか、いろいろ良い参考になる。創作関連の本から得た学びに関しては別ノートに。
あと、ダンジョン11階層のモンスターに対して主人公が苦戦……その気になって向き合えばワンパンなのだが、それまではだいぶ逃げ回っていた相手に対し、より深いし強い20層に生息するモンスター相手にヒロインが軽く勝利する――という対比、強さの演出とか。
個人的に驚きだったのが二つ。一つは主人公ベルの一人称で描かれてた点。なんとなく三人称ってイメージだった。エピローグ見るに今後の巻は三人称が多めになるんだろうか。エピローグにプロローグ以前の前日譚パート、出会いのシーン持ってくるっていうのも。
それと、ヴァレン何某氏とベルが作中で接触したシーンは実質二回だけだった、という点。というか、直接面と向かったのはプロローグのワンシーンだけ。一巻時点の話だが、それなのにあんなに大きな存在感。メインヒロインは神様の方なんだろうけども、こういうヒロインの見せ方もあるのかー、と学びを得る。
あと、一巻時点でどこまで今後の構想があったのかは知れないが、怪物祭とか、のちのエピソードに繋がる伏線とかあったりした。たしか、ゼノスのくだりで触れられてたと思う。
なんにしても、面白かった、というまとめ。売れてる作品には理由があるのだな、という学びは例によって別ノートに。
そんなこんなで三冊分の感想まとめ。いちおう他にもログ・ホライズンのTRPGのルールブックなどを読んだりした。別に誰かと遊ぶ予定もないのだが、ファンタジー要素をどうゲーム的に落とし込むか、みたいな部分に興味があり。ログホはアニメで内容も知ってるのもあったので。モンスターのデータとか良い参考になった。原作もいずれ読みたい。
今後は「六花の勇者」「灰と幻想のグリムガル」を読みたいと思っているのだが――「六花」は一度二巻の途中までは読んでる。その後アニメ見て、最近また読もう読もうと思って手元に置いてると……なんか、BSでアニメの再放送があった。
それも終わったので記憶が新しいうちに……と思ってると、その後番組が「グリムガル」と来た。こちらも読みたいリスト上位で最近意識してたのもあり、なんたる偶然、これは原作小説とアニメを見比べてその違いから学びを得なさい、というなにものかの思し召しなんじゃないか、と思ってる。
上述のダンまちのように、小説がどうアニメ化されるか、という点とかを意識しつつ、読みたいところ。
いずれも放送当時にアニメ自体は見ていて、ストーリーの内容は知っている。そのため「内容知ってるし」と読むのを後回しにしていたのだが……内容知ったうえで読むということの楽しみに最近気づいたのであった。
若干話それるが、通常のラノベ原作アニメが3、4冊ぶんを1クールにしてるのに対し、「六花」は1冊で1クールという、割と特殊なタイプ。「グリムガル」は3巻くらいで1クールになってるっぽいが、パッと見た感じ、だいぶ内容は削られてるっぽい。アニメにはアニメの雰囲気、原作には原作の、というそれぞれの良さがある。その辺も気にして見ていきたいところ。原作もアニメも。
で、ノートを分けて、小説以外に読んだ、創作関連の本についての感想などをまとめてみることにする。
内容が内容なので、あんまり内容には触れないけども。感想というより、どんな学びを得たか、みたいなところにフォーカスしてみる。