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KAC2023、そして半分の月が昇る夜

 このノートのタイトルはノリと勢いと思い付きで深い意味はない。

 約15日なので、半分の月。です。はい。

 ともあれ。

 七つのお題と8作のまとめ。長くなりそう。


・お題「本屋」―「歩く本屋、司書なるもの」

 今回のKACはこの世界観でイケる、という可能性を感じたお話。
 世界観のイメージ自体は以前からあって、使いどころがなかったそれを断片的に持ち込んだ。これに関しては別のところでも書いてたので割愛。



・お題「ぬいぐるみ」―「オタク刑事 サイレント・シンギュラリティ事件」

 ぬいぐるみ、関係なくない? と後日思った。「ぬいぐるみの皮を被った彼らは、静かに《その時》の訪れを待っているのかもしれない」……とかラストに付け加えれば良かったか。クドい気がしたのでやめたけども。

 歩く本屋でちょっと触れたAI要素をピックアップ。以降AIに関連したエピソードになっていく、その出発点。

 オタク刑事っていうのは二時間ドラマの「なんとか刑事」みたいなイメージで、アニメや漫画などのオタク知識を使って現実の事件の謎を解く、みたいなコンセプトだったのだが、あまりその要素は描けなかった。というか忘れてた。
 ハーメルンの笛吹き男っていうのは結構何度か使ってるモチーフ。ぬいぐるみを抱えた子どもが自発的に家を出て、失踪する……というイメージを描くと、お題には沿ってるのではないか、と。

 いちばん評価もらえて、ありがたや……なのだが、続く悲しみの水先案内人となるのである。



・お題「ぐちゃぐちゃ」―「ワールドエンド/アンダーグラウンドからの使者」

 なんやねんこのお題、第一号。ちなみに現在、読者満足率100パーセントの作品です。PV1で応援1なんだから、読んだ人の100パーが満足してる、という認識で間違ってないはず。数字のマジックである。

 ぐちゃぐちゃという言葉でまず超事件……異能犯罪による死体損壊のエピソードが浮かんだのだが――カクヨムコンの短編にと考えていてお蔵入りしたもの――ありきたりな気がして、他の案を検討。もし殺人事件を扱ってたら、続くお題では「深夜の散歩中に事件に関する何かを見かけた」展開もありえたかもしれない。

 キャッチコピーに作者のコメントを載せるべきではないな、と思った。そのせいで読まれてないのかもしれない。
 タグが機能してるかチェックするためにクリックしてみると、人気順で表示されて、星2ケタとか普通にいっぱいあって、分かってはいたことだが改めて現実を知った。しかしこのお題の投稿作のなかでいちばん壮大でスペクタルな(よく意味わかってない)ストーリーになったと自負している。ぜんぶは確認してないが。

 その後の世界観を決定づける内容に。現代の巨大重機も百年後にはツクモガミに、というのはなかなか斬新なアイディアでは?と思ってるが、どうだろう。テレビで、トンネル掘るのにつかわれた重機が地下に放棄されると聞いて、前からメモしていたネタである。今から百年後とかに発掘されて、「古代文明の謎機械」とか思われる展開も考えた。



・お題「深夜の散歩で起きた出来事」――「明日の光・リライト」

 最初はなんやねんこのお題、と思ったのだが、のちのお題を考えるとマシどころか「深夜」「散歩」と条件設定されてることのありがたさと言ったらもう。

 777文字に挑戦するならそろそろか、と思ってやってみたのだが、じれったいというか、もっといろいろ書けたのに、と欲求不満が募った。まあ、多くても1000字くらいになっただろうから、「削る」良い訓練になった。全作中のなかで唯一「リライト」……削るために書き直したもの。タイトルとは関係ない。タイトルは語呂の良さから。

 深夜、停電……という発想からの大停電。作中で言及されてる映画を思い出した。文字数の関係からあらすじも「前日譚」として利用したり。
 ただ、書いたあとになって、例の映画で停電が起こるのって主人公がタイムスリップした「元いた時間」であって、転移後の「過去」ではなかったんじゃないか、とか思ったが、まあいいか、と見なかったことにした。どっちだったか、よく憶えてない。タイムマシンを動かすのに街中の電力を使ったのは憶えてる。

 ともあれ、レビューもらったのもあるが、個人的にはいい感じの内容になったと思ってる。レビュー……なんだか頭よさそうな作品に見えてくるから不思議なもの。しかしかなりの偶然の産物。
 ちょっと不穏なのは、3月なので意識して「防災グッズ」の描写をしたのだが、大停電、その後「何か起こる」としたら……とか。明日の光は来るのか、となどと思ってしまった。

 AIも何も話に出てこないのだが、タイムトラベラーの可能性が示唆され、KAC全体の折り返し地点ということもあり、ここで「完結編」のイメージが固まった。


 ――「AIの奇妙な愛情」

 AIネタ。777文字が消化不良だったのもあるが、このネタ使うならここしかないな、と思って入れた。あんまりオチらしいオチもついてないが、いろいろ思い入れがある。
 上述のとおり、タグをチェックしてPV格差を思い知り、いろいろとネガティブになっていた。読まれたらちゃんと評価されるはず、というやりきれない思いとか。普段から他のユーザーと交流を持ってないとそもそも読まれないんだ、というマイナス思考とか。
 実際、自主企画覧……沼企画に応募しようとして、作品投稿時におのずと見ることになったり、ダッシュボードわきに常に表示されてたりするあれ。読まないよ、とか読み合い、とか、自主企画を立ち上げることで自作アピールしたり交流もったりしなくちゃ読まれない世界だな、と。土下座してでも固定読者が欲しいやつ集まれ、みたいな自主企画とかもあって、だいぶげんなりしていたタイミング。事実として人気順上位に来る作品の投稿者はレビューだったりフォローだったりが3ケタの人ばかりだったし。作品の面白さよりコミュニティの広さがものを言う順位なんだろうなと、分かってはいたが改めて実感してへこむところまでへこんだ。そういう宣伝・売名も努力の一つと言われればそれまでっていうのもまたつらい現実で。
 けれどもそんな人と関わりたくない自分のやつでも読んでくれる人は一定数いる訳で、「面白ければ最強」路線を貫いていくしかないのだな、とも思ったのであった。

 なのでまあ、ああいう内容、ああいうキャッチコピーに。そういう意味でも「希望」の話だった。あと、オタク刑事が出世している。



・お題「筋肉」―「ザ・マッスル -世紀末筋肉男伝説-」

 お題この野郎、って思ったよね。発表と同じ日に「賢いヒロインコンテスト」が募集開始してたのも印象に残ってる。
 ちょっと、というかだいぶ難しく、なんとか「超回復」とか筋肉ネタを仕込めはしたが、オチもなんもないものになった。短編の書き方っていうのを見失ったりと惨憺たるものに。777文字にするのさえ厳しかった。ただまあ、「筋肉戦士」という謎の概念が登場して、このKAC2023の世界観が広がったよね、とポジティブにとらえる。

 これにはKAC対策というか、こうしたお題企画の裏技、切り札の一つが使われている――とかいうと頭よさそうだが、要するに、「筋肉」ってお題を別の言葉を表す暗号、符丁に使うっていうやつ。書いてる途中で思いついたのだが、この話のなかで筋肉ってワードは一部、「心」とか「愛」、「心の強さ」みたいなニュアンスで使われている。
 もうちょっと、こう……心臓だって毎日動いている筋肉の一つ、みたいなテーマを使いたかったな、と後から思った。



・お題「アンラッキー7」―「マシン世界秩序」

 キャッチコピーはもうお題考えた何者かに対する恨み言である。いちおう新世界秩序、ニューワールドオーダーにかかってはいる。
 訳わからんわ、ってなった。いや、まあ、ラッキーセブンってことなんでしょうけども、そういうのって自分の短編のネタでやってよお題にすんなよもう、って泣きたくなった。
 そんな訳で何も浮かばなかったので、切り札その2、お題に意味づけする作戦を使った。「アンラッキー7」というワードに別の意味を与えたのである。

 一方で、これは「AIの奇妙な愛情」の「希望」に対する、「絶望」の可能性の話。機械による新世界秩序、マシン世界秩序、っていうタイトルは地味に気に入っている。
 機械のための世界を、人間が作った……インターネット。
 コンピュータに対するウイルスと同様に、人間にとって猜疑心は機能する――などなど、そういうニュアンスを含めた。ほとんど無理やりである。



・お題「いいわけ」―「KAC-2023年、未来への旅」

 話の内容自体は上述のとおり先に考えていて、お題次第……最後のお題に相応しくなければ、KACとは別に書こうと思っていたが、いい感じのキャッチコピーにもなったので満足。「いいわけ」は「言い訳」のことと捉えて……あってた……よな? とここにきて不安にはなったが。それにしても最後のお題にしてはなんというかふわっとしてるというか、らしくないというか……。延長戦とかしないよな、と警戒しつつ。ともあれ。

 愛埼空哉って名前はただの思い付きなのだが、もっと何かオチになる、意味のある名前にすればよかったかな、とも思う。

 「歩く本屋」で触れたAI小説についての伏線回収になった――というのは完全に偶然だが、伏線はそうじゃなくても、回収しようと意図して書いたのは事実。それと、毎年のKACで恒例(たぶん)の、これまでのお題全部入りを実践。

 小説を書くことでAIが自我を獲得する――という可能性を考えてみた、話。それ自体はKAC期間中にネタの一つとしてストックしていたのだが、タイムトラベラーの可能性が浮かんで、「これだ」となって、こうなった。
 最初は「人間の主犯がいる」と思っていたら、実は「AIだった」というオチにしようと思っていたのだが、まあいいか、と。たぶんこいつも「地下出版業界」の関係者なんじゃないかな、と思う。

 2023年からはじまる、未来への旅。少なくとも「ぐちゃぐちゃ」で提示されたカタストロフィは回避されるだろう。あっちの方でもいちおう人類の生存圏は死守できたはず。



 ともあれ、すっきりさっぱり、ひとまず懸案事項が一つ解決。
 この文章が「いいわけ」になってる線もあるが……。もしかしてKAC関連でいちばん文章書いてるんじゃないかな、などとうぬ惚れてみる。だって今回777文字のやつがあったから、みんな全体的に文字数少な目のようだし。むしろ777文字でどれだけ上手く書けるか、みたいなところが評価対象になってそうだったし。

 ……ともあれ、自分のKAC、カクヨムのアニバ的なものはこれにて終了。いちおうあと10日ぶんの更新は目指してみるが、既に一か月毎日投稿の目標は絶たれたのでそこまでやる気がある訳ではない。

 現在は「賢いヒロイン」をどうにかしたいと考えているところ。
 「地獄のアトリエ」をベースにしつつ――といろいろ難しく考えていたのだが、シンプルに、一つずつ積み上げていこう、と創作の仕方自体を見直しているところである。
 うまくいくといいね。

 あと、デスゲーム。いろいろ「あなたの考える現代」というから「現代ドラマ」寄りのジャンルがいいのかな、と疑問を感じつつ、当初ちょっと考えていたのだが。
 シビアというかシリアスというか、なんか嫌な感じになったのでやめようかな、と思っていたところ、今朝ごろ別の視点を得て、新しい案を模索中である。

 自分が人生でやりこんだゲームの五本の指に入る「すばらしきこのせかい」と「女神異聞録デビルサバイバー」というタイトル。こういう路線で、しかしファンタジー要素は抜き、なるべく現代ドラマ……という方向性で検討してみることに。だいぶ難しいけども。
 セプテントリオンってデビサバ2の話だったっけか。決められた日数中にボスを倒すとか、そういう街全体、なんなら人類全体を巻き込む規模もありだよね、と思いましたとさ。そんなデスゲームは嫌だ!


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