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読書日記という壮大な言い訳


 この一ヶ月ほどに読んだ本。

・「螺旋のエンペロイダー」4
 いろいろあって時間を置きつつ、途中までになっていた完結巻を読んだ。
 簡潔に言うと異能バトルもの。アニメ化もされた「ブギーポップ」シリーズと世界観が同じ……ものと思って多少の覚悟を決めて(全作品を読んではいないので、分からない設定とかあるだろうと思って)いたが――読み終わったあと、電撃文庫外から出ている他の作品をチェックしていると、何やらそちらとも世界観的なつながりがある様子。そういう、作品、出版社をまたがる共通の世界観のある話が好きなので(だから本作も手に取ってみた訳だが)、機会があれば他のものも読みたいところ。
 元が雑誌連載の短編なので読みやすいし、「連載作品」を書く際の参考になるのではないか、と思ったり。

 ……最近読んだ中である意味において一番記憶に残ったものとなった。二冊目だったか、文章が丸ごとなくなっていたのである。落丁、乱丁というやつなのか……ページ番号は繋がっているが、前後の文章が繋がっていなかった。ちょうど見開きのイラストがあったから、そのせいで抜け落ちていたのかも。印刷段階のミスだろうか。ただ、話の展開的にそういう「仕様」と言われてもなんとなくは頷ける。


・「Ψの悲劇」
 Gシリーズ後期三部作、と銘打たれているものの二作目。ギリシャ文字のプサイ。
 前作のラストからすると、この人物が登場しているということは前作より過去なのか、あるいは……とずうっと疑いの目を持って読んでいた。ネタバレになるので詳しくは書けないが……。
 この路線はミステリとしてアリなのかどうか、その手のマニアな人たちがいろいろ言うのではないかと漠然と思った。世間の評価とかはあまり見ない、本を検索するにも出版社のサイトから、という人間なのでひとさまの考えは分からないが、いろいろと……このシリーズの初期から比べると、すごいところにまで来たなぁと不思議な気持ちになった。
 なんとなく感じてはいたのだが、本の後ろの方の広告?的なスペースに「Wシリーズ」が載っていて、世界観が繋がっていることを確信した。

 ところでそうしたスペースや本のあいだに挟まっていた当時最新のチラシの情報によれば、三作目は「Z」みたいな表記があったり「ωの悲劇」とあったりしたのだが(うろ覚え)、やっぱり「オメガ城の惨劇」が三作目ということでよろしいのだろうか。特に「Gシリーズ」関連という表記は見られないのだが(少なくともあらすじとかには)。
 話変わって――なんとなくサイトを眺めていて、同じ作者の、特にシリーズ表記のないミステリを発見。試し読みで登場人物一覧を覗いてみて、見知った名前を発見した。「キウイ」と「x」のあいだを埋める話かもしれないので今度読んでみようと思いました。まる。


・「境界線上のホライゾン」1上下
 このタイトル見て本の厚さが浮かんだ人がいれば、わたくしがカクヨムコンの準備がまったく出来ていなかった理由にも納得がいくのではないかと思われ。
 読みたい本はいろいろあるが、その優先順位を「いま自分が書きたい話の参考になりそうなもの」つまり経験値を多く得られそうなもの、刺激を受けられそうなものを基準にしている。ホライゾンに関しては「この分厚い本はいったいどうなってるんだ」という興味から。これだけ分厚くなる――しかもこのシリーズに限らず――からには、相応の世界が待っているだろう、と。

 昔、アニメを見ていたのでなんとなくストーリーは分かっているつもりだったが、もうずいぶん前のことなのでうろ覚えで、想像していたより壮大な世界観に驚かされた。設定も世界観もストーリーもシリアスだしディープなのに、あくまで表面上はコミカルにライトノベルしていて、すごい。分厚くて重くて、読む時は机を前にしていたが……。
 こっちも、他のシリーズを読みたくなる作品だった。上記の二作がどちらかといえば横に広がる作品なら、こちらは「歴史」という意味で上下に伸びている感じ。世界観も独創的だし、なんというか……もう「すごい」としか。あとがきに「おとぎ話」とあって、その表現がすごく腑に落ちた。歴史ものともSFとも言い切れないし、ファンタジーではしっくりこない……。
 上巻を読み終えたあとにウィキで軽く他のシリーズのあらすじも覗いてみたりした。

 ただ、最近身の回りの整頓をしていて本の占めるスペースに悩んでいた身としては、続刊を読むなら電子書籍だな……と思ったのでしたとさ。

 あと、「×剣」で七つの大罪をモチーフにしてるのもあって、いろいろと新しい視点を得られた。悲嘆の掻き毟りとか、淫蕩の骨抜きとか。それから魔法的な設定の「代演」と「拝気」っていうのが。こういう設定つくりたいよね、と。「魔法」の設定考えるのが好きな人間なのです。その関係で「魔女」という言葉も好き。


・「図書館の魔女」
 読んだのは文庫版全四冊。タイトルに惹かれて気になっていた。たぶん存在自体は「二作目」が出た時には認知していたと思われる。講談社の新刊でタイトルを見たのを憶えていたのがきっかけで、ずいぶん前に一巻を購入。ちょっと読んで、「これは全巻揃えてから読もう」と思ったのだが、なかなか揃わず、今から半年前くらいから本格的に読み始めた。本屋になかったんだ……。一巻はあるのに三、四巻はない、二巻がない、とか、いろいろ……。どうせならまとめて購入したい(一度に会計を済ませたい)という人間なので、四巻だけあるから先にこれだけ買っておくか、ということをしなかったのである。

 内容は……いやぁ、何も語りたくない。というか、いろいろあって感想がまとまらない。そんな訳でネタバレになるから。続きは君の目で確かめてくれ、みたいな。読んだ時の新鮮さを損ないたくない。まあそもそもこのページを読んでる人がいるかは別として――ともかく「すごい」し「面白い」作品だった。
 最低限のあらすじを書くと、言葉を操る「魔女」がいるが、彼女は「喋れない」ため「手話」を使う。……もうこれだけで自分の心は掴まれたのであった。

 ラノベ慣れしてる人間には冒頭部分はちょっときつかったのだが、図書館にたどり着いてからは……、ともかくそこまでは読んでみてほしいと強く思う。ライトなユーザーも惹きこまれる、キャラの立った登場人物が出てくる。ボーイミーツガールである。バトルもある。
 勧めてます。なんならこの近況ノート書いてるのも、本作をどこかの誰かに勧めるため、一読者として作者に出来る唯一のリターンである宣伝のため、である。とにかく人に勧めたくなる一作。特にファンタジーを書いてる人にはお勧めしたい。圧倒的にリアルな(架空の)世界が詰め込まれている。異世界ものを書こうと思い立った時から、「風景描写」を強く意識していた自分に刺さりまくりの圧倒的描写があった。

 正直に言うと難しい言葉が多く、ニュアンスは伝わるものの、描かれている風景だったりなんだったりを十全に理解した、頭のなかに思い描けた、とは言えない。自分の知識不足、頭の悪さが悔やまれる一方、もっと言葉を勉強したい、覚えたいという想いが強くが芽生えた。
 話変わるが、ブリーチの作者も辞書か何かをよく読んでいた、みたいな話をどこかで見たので、自分も辞典めくるのを日課にしようかと真剣に考えている。ボキャブラリーが増えれば、そのぶん頭のなかのイメージをアウトプットする手段が増える。当たり前の話だけど、この作品読んでると特にそう思った。なんというか、読んでいて気持ちがいい、読み応えがある……みたいな感じの地の文、台詞回し。

 ともかくすごいし、面白い。もちろんすごい面白い。作者の知識量にも驚かされる。戦闘描写、論戦といった見所や、「言葉」に関するあれこれという作品のメインとなる要素だけでなく――その「メイン」に優れた作品はいろいろあるけど、それ以外の要素にも力が入ってるのがこの作品。海や船の描写であったり、病気、火災や水難事故の対処、薬物って怖い、とか。

 個人的に印象に残ってるやりとりは、
「ご存知だったんですか」
「ご存知だったんですよ」
 みたいなやりとりがなぜか気に入っている。自分でも良く分からないが好印象。

 それから、エピローグに当たるだろう最後の章(といっても文庫で200ページはある)に入って、話も締めくくり、「二作目」に繋がっていくんだろうという雰囲気のなか……しかしまだまだページ数がある。それで、「回収されていない、いくつかの伏線」について振り返ってみると、それらが全て繋がっていることに気付いて思わず本を閉じ、ため息。うわあ、てなっちゃった。勘の良い人ならもっと早く気付いてたのかもしれないが、自分はその「種明かし」がされる数ページ前にようやく、でも自力で気付いたのだった。「一見、関係なさそうな話」が結びついて一つの大きな流れになる……この作品は全体的にそうなんだけど、点々と張られた伏線もまたそういう仕様だった。とんでもない仕様である。自力で気付いたからよけいにそのすごさに感嘆したのである。
 陰謀渦巻く物語なので「そういう要素」が「ある」可能性はあったのだが、もうすっかり失念していた。すっかり作中に入れ込んでいたので「信じたくなかった、無意識に除外していた」のかもしれない。

 ……ともあれ、そういうすごい作品なのだが、バッドエンドとか憂鬱なものではない……というのも一種のネタバレになるのかもしれないが……安心して読んで欲しいと思う。勧めてます。というか、これは壮大な物語のまだ第一幕だと思われるので、結末に関してのこの感想はあてになりませんけれども。

 ちなみに、文庫四冊目の帯にはもう第二作、第三作のタイトルが載っていて、二作目は既に文庫化もされているが、例によってサイトで調べてみても三作目はまだ出ていない様子。「2016年刊行予定」とあるのだが……予定は予定とはいえ、上にも書いてあるように、確定する前からけっこうタイトルとか公開してるもんなのだなぁ、と思いました。まる。


 とまあ、いろいろ読書していて、肝心のカクヨムコン準備がおぼつかなかった、という言い訳。他にもいろいろあったのだが、過ぎ去ってみると割と記憶に残っていないトラブルの数々。漫画とかもいろいろ読んだ。

 インプットしたものをもとに、何か良いアイディアとかが出てくれば幸い。

 ……ちなみにまだ読み終えていないのだが、「らきすたと学ぶ化学が面白いほどわかる本」というものにも手を出した。ずいぶん前に古本屋で見つけて、らきすたについては詳しくはなかったが、こういうのなら自分でもいけるかもしれない、と思って……ちょうど「×剣」で化学知識が欲しくなってたのもあり。
 しかし、かなり早い段階で挫折した。本を読んでいて眠くなるという経験はほとんどなかったのだが、頻繁にあくびが出てきた。難しかった。想像してたのは、もっとこう、キャラを使ってものをたとえたりして、噛み砕いて教えてくれるものだとばっかり……。らきすたあんまり関係なさそう。
 本気で学ぼうと思うなら、もう少しレベルの低い……中学生の科学レベルからやり直すべきかもしれない。例題何一つ解けてない現状。

 ただ、意味が分からないなりに、自分がまったく知らない分野の話を見聞きするのは割と好きな方なので、分からないなりに楽しんで読んでいる。いちおう、ドラマとかでたまに出てくる、化学式とか方程式……元素記号と思しきアルファベットから斜めに線が伸びたりなんだりしている謎の「なんか頭良さそうな式」が、どういう意図で何を表すために書かれているものなのか、というのがなんとなく分かって、それが読み進めるための動機というか、「面白い」と感じる出発点になった。世の中の現象はなんでも式に表すことが出来るのかもしれない。何かを学ぶというのは良いことですね。

 ちなみに、例によってこの近況ノートは削除するかもしれない。だいたい深夜から明け方にかけてのテンションで書いているので。

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