• 現代ドラマ
  • 現代ファンタジー

第1回「G’sこえけん」音声化短編コンテスト、雑記


 テーマ「あなたの心を離さない○○なあの子」
「君にささやくヒロイン」「会話で生まれるドラマ」

 ……音声化作品コンテストということで、テーマとかもある程度、指定されていたというのもあって、面白そうだと思っていろいろ考えていたのだが。
 シチュエーションはいろいろ思いつくが、一万字というハードルが高すぎて……コンテストの趣旨を考えればそれくらいの文字数が妥当なのかもしれないが、軽い気持ちで思いついたシチュで短編書くのにはなかなかキツい作業となった。面白そうだと思うシチュはけっこうあったし、考えればまだまだ出来そうなのだが……じゃあそれで一万字となると、ねえ……。

 ともあれ、最近自分のなかで恒例となったコンテストまとめ。投稿順に。


・ASMRのやつ

 これは「君にささやくヒロイン」部門と聞いて、ASMRネタをやろうと思いついたもの。みんなやりそうな安易なネタだから何かひねりを加えたい、と考えていたが……応募要項よくよく見れば、ASMR化される云々かんぬん載ってたね。
 ここでも端折るくらいの長文タイトルにしたのは、狂気性を出したかったから。自分が長文タイトル使う場合はだいたいそう。
 今回のコンテきっかけでASMRというものを聞いてみて、受けた衝撃。それがそのまま本文中にやや誇張しながらも書かれております。個人的に印象に残ってるのは、タップ音。耳から聞いてるはずなのになぜか頭頂部に刺激があるという……。それから、本文中では首絞めになってますが、抱き着かれてる感覚。圧迫感。ヤバぁってなった。あと、立体音響すごすぎて、思わずイヤホン外して音漏れしてないかチェックする……というクセがついてしまった。

 さて、本文。ASMRって、急に大声を出さない、みたいな配信者との約束というか信頼関係で成り立っているものなので……「大声出さないから安心して」とか言われると逆に恐いなっていう―――ASMR配信へのツッコミをする漫才みたいなノリで書いております。個人的なお気に入りは、変な音がすると思えば、「包丁研いでます」というやつ。視聴者側はいったい何を聞かされているのか、言われるまで分からない恐怖。

 配信ネタとしてよくある(?)やつに、配信者は気付いていないが、視聴者側にだけ感じられる異変……ホラーネタがあります。そういうのを配信者が意図してやった結果として、「配信部屋に第三者がいる」というシチュを考え……その結果が、今作というかたちになりけり。

 登場人物は、実は三人。主人公と、問題の配信者。そしてその双子の姉妹……。双子の名前も考えていたのだが、メモのどこかに消えてしまった。
 設定としては……学校の「人気者」と、「引きこもり」の二人の女の子がいて、「引きこもり」の方が配信を始めてネットで人気になった――それが、どこかのタイミングで入れ替わっている、というもの。現実の人気者を上回る引きこもりに嫉妬してその席を奪ったのか、引きこもりの方が現実に侵食していったのか……どちらでも面白そうなので、あえて定めずに書いてます。たぶん最初のうちは気軽なノリで「入れ替わり」をしていたのだろうと思われ。視聴者のコメントに「声変わった?」みたいなものがありましたが、これが理由。たぶん毎回の配信で言われてるんだと思う。

 主人公も双子両方と顔を合わせているのだが、その自覚はない。ただ、相手の方は意識していて……今回、こんなオチに。その後主人公がどうなったのか――よりも、主人公の部屋の前でいったい何が起きていたのか……みたいな。双子二人でやってきて、ドアを開けてみると一人だけになっていた――みたいな裏設定。散歩、してました。ナイフ、持ってました。

 いろいろ盛りまくって、個人的には楽しい試みだった。


・「リアル脱出ゲーム」

 適当に考えた仮タイトルがそのままタイトルになったパターン。思いつかなかった。今回はほぼぜんぶがそう。
「会話で生まれるドラマ」ということで、自分が真っ先に思いついたのが「女の子同士の口喧嘩」。クセになってんだ、そういうの。
 最初に……仲の悪い者同士が監禁される、手錠でお互いに繋がれる、というシチュが浮かんで、これいいな、と。
 脱出ゲーム自体は深く考えておらず、仲良くなるための指令を適当に入れていこう程度に思っていたのだが、結果的にはゲームぽくなって良かった。

 作中で明言はしてませんが、登場人物二人にはこういう設定がある。
 主人公はヒロインのことを勝手に、第一印象で、「アニメとかにいそうだが現実ではレアなクール系美少女」だと思っていたのだが、その期待が裏切られて激おこ。実はちょっと憧れてた。
 ヒロインはといえば、主人公がボーイッシュな格好をしていたのもあって男の子だと誤解し、その上でちょっとドキッとなってしまったものだから……あとで事実を知って、黒歴史扱い。顔を合わせるたびにその恥ずかしい記憶が蘇るため常に不機嫌に。なので、どちらかといえばヒロインが悪いのだが、部内での口喧嘩の原因はだいたい主人公にあるのでどっちもどっち。

 製造元が見てみたいわ、とかそういうエキセントリックなやりとりがお気に入りというか、好きな感じ。そういう百合。それにしても、後半シンプルに口が悪いなこいつ、と読み返してみて思った。


・「ゴースト・ライク」

 引きこもりの女の子が幽霊にとりつかれて、前向きになる――というよくある(?)系のネタなのだが、「二人でいるのが心地いいからこのまま泥沼にはまる」みたいなバッドエンドを考えていた。そういう闇のある百合も好き。

 会話で生まれるドラマということで――こちらは何かの悪口を言い合い意気投合する系の女子。脱出ゲームの方が地の文の描写に文字数喰ってたので、こちらは会話だけに注力。けっこうするする暴言が出てきたあたり、あれね……。
 当初は上述のようなオチを考えていたのだが、無事に外に出ることに。まあ、学校に行くことに意味を見いだせなかっただけで、正直いじめっ子連中のことなんて眼中になかっただろうから――こんなウザい連中と一緒の空間にいる必要ある?みたいな――その気になれば普通に登校できる。数日欠席してた気まずさは多少あるだろうが、それを顔に出さない系。なんだかんだメンタルクソ強系女子。その気になれば真顔で刺すくらいはする。たぶん机騒動もあるし、カッターちらつかせるだろうから今後いじめられることはないだろう……。陰口は絶えないかもしれないが、幽霊さんがいればどうでもいい、みたいな。


・不良少年、犬。よくない!

 5分で読書の際に思いつくまま書いた「よくある話」――オチとか好きだったのだが、本当に思いつくまま勢いで書いたのでだいぶとっちらかっている印象。
 で、それを書いた後、「ギャップって何もいいものばかりじゃないよな」とふと思いつき、メモっていたものが今回こういうかたちに。犬になるシリーズ。
 最初は2verあって、採用された「不良少年」と、百合系の「不良少女」版があった。後者は犬になった主人公に、不良少女が話しかける……一方的だが、「会話で生まれるドラマ」にしようとしていた。「不良少年」とはまた違うギャップの話とかいろいろ差別化は考えていたが、一万字はキツいと断念。

 とうの不良少年版も……当初想定していたあらすじだけでは文字数が足りず、かなり苦労して書いた。犬をお風呂に入れる方法とか調べて、それを脚色して文章化しただけな感もあるが……そのせいか、すっごいしんどいというか、なかなか文章が進まずに悶々としていた。直近に書いていた上三つとか×剣とかがスムーズに進んだぶん、なかなかストレスな作業であった。物語をひねり出すいい訓練にはなったが……。

 犬の世話をする女の子と、女神が話しかけてくるシチュエーションの二つで「女神なあの子」なのだが――これとは別に女神ネタがもう一つあって、そちらも文字数の問題で断念している。あと、オチもなんかコンテの趣旨に添わない気がしたので、今後また別の機会に使おうとお蔵入り。とにかく一万字の壁を強く意識した。

 他のやつはシチュエーションづくりとか、やりとり、話題があったのだが、こっちは言ってしまえばヒロインの独り言を聞いてるだけなので、それも苦労した理由かもしれない。音声作品というものを意識して、あまり主人公側の台詞とか反応を載せないようにしたり……。


・「甘いご褒美」

 ささやきかけるシチュエーションとして、主人公が盗聴……盗み聞きしてる案が浮かんだのだが……なんか微妙だなと思い、ボツになったささやきシチュエーションをいろいろ継ぎ接ぎしてみた。立てこもり犯を説得する(ささやきかける)交渉人、とか、スマホの録音を聞く、とか。
 なるべくポップないじめ(?)にしようとしたのだが……というか、いじめかと思ったら別のあれだった、という内容にしたかったのだが、これも場合によってはいじめだととられそうで、うーんって感じ。いじめネタが続いているが、別に好きでやってる訳ではない。
 あと、これ……公式のツイートで見たのだが、登場人物は多くても三人くらいが望ましいらしいので、アウトだよなぁと思いつつも書いていた。

 実際のささやきパートよりも、そうなるまでのシチュエーションづくりに力を入れたというか、そうやって文字数を稼いだというか、なんというか……。「よくない!話」で苦労したぶん、もう割り切ってしまった感。とにかく独創的なシチュを提案できればいいんでしょ! みたいな。


・はじおつ、萌え声シュラバ。

 実はコンテストの要綱を見て一番初めに思いついたネタ二つ。先にあったのが「はじおつ」こと「はじめてのおつかい(デート)」で、男主人公が初めてのデートに臨むにあたって、お姉ちゃんが耳元で指示する、という内容だった。直に耳元じゃないよ、電話だよ。主人公の初恋相手(?)を自称する隣のお姉ちゃんとかお母さんとか幼馴染みとか参戦して電話越しにシュラバ、それがデート相手にも気付かれて……みたいなかたちで、「萌え声」と組み合わせようと考えていた。

 萌え声の方は女の子同士の口喧嘩を書きたくて……加えて、「登場人物は全てあなたの好きな萌え声をイメージしてください」という注釈を添えて、だんだん熱くなる口喧嘩、どんどん増えるヒロイン(しかも設定盛り過ぎ)と、読者の想像力の限界に挑むような……特に理由はないが、読んでる人の頭がおかしくなるような内容にしたかった。

 いずれも単体では難しい、ネタが浮かばないとなり、上述のようにはじおつベースで一体化を考えていたが、やがて分離――萌え声のシチュエーションをベースに、味付け程度にはじおつを加えるかたちに。「会話で生まれるドラマ」なので指示厨お姉ちゃんは不要だったのだが、オチのためと、ネタを供養するために加えたかたち。はじめてのおつかいではなく、はじめてのおつとめ。ちなみに量産型なんちゃらという暴言はこっちが先。

 もう、好きにやっちまえ、というか――ヤケになったというか、とにかくやってみようというノリで、ああいう感じに。立てこもり犯と人質の会話とか、自殺しようとする人の説得とか、文字数のあれでボツになったシチュを盛り込んだ。
 設定とかたくさんありそうに見えるが、実は何も考えていない。


 ちょうど二部門に三つずつと、個人的にはいい感じの投稿数。
 ただ、客観的に、コンテストの趣旨を意識すると――あとに投稿したものほど微妙になっていってる感はありますね。○○なヒロインとかもう後付けだし……。

 まあ、よく頑張った。合わせて六万字とか、もうカクヨムコンとかの半分の文字数だもの。×剣伝説で換算すると13話分とかだし。そう考えると大変ヤバい。しかも、連載ではなく一話完結なので、場合によっては一万字分の努力が誰にもまったく読まれないっていう悲劇を演出してくれる。はじおつだけはめっちゃ文字数増えた(苦ではなかった)から二話に分割したが……他もそうすればよかったかな? 今回のコンテ、読者選考あるようだし。

 そんなこんなで、選考で選ばれる可能性は低いと意識しつつそれでも苦労して書いているのは――あれよね、コンテストっていわばテストみたいなもので、自分の実力を試す機会、ゲームでいえばボス戦。ムリゲーだと言いつつもどうにかこうにか攻略しようと試行錯誤する感覚です。あと、「こういうの思いついたんだ」というネタを披露したい。だいたいいつもそういう意識でやってます。学生の頃はテストといえば面倒くさいものという認識だったと思うが、今考えると自分はそういうものが好きなのだな、と。自分の実力を図る、どれだけやれるか試す――そういう機会って普通に生きてるとあまりないものだし。
 無論、受賞したら嬉しいけども。家族に……自慢は出来ないが、自分の書いたものにあの声優さんの声がついてる、とか、普通に内心で自慢できる案件では? 大通りを闊歩できるよ。しないけど。ご時世的に。


コメント

さんの設定によりコメントは表示されません