RPGライクっていうのはローグライク的な意味です。
作品タグに設定していたのだが、諸事情により削ったため……ここに彼の生きた証を刻みます。自分で消しておいて、サイコパスみたいですが。
RPGライクとはつまり、RPG・ゲームをモチーフにしたというか、イメージした、ゲーム的な世界観のある異世界もの……というと、スキルとかレベルとかあるものと思われそうですが、そういうのではなく――
自分が好きなRPGの要素というのは、世界観・裏設定で――
コンシューマのゲームをまるでやらなくなった頃……なんとなくようつべを見ていた時に、偶然見つけた「ポケモン」の考察動画。正直「子供向け」の作品だと侮っていたのですが、その考えが覆るほどの衝撃。それ以降アニメも録画している……。
で、ポケモンというか世界観の話なのですが――小説では、基本的に無駄は許されないというか、ストーリーに不要なことは極力なくすべき。一方、ゲームは自由で、無駄が……「寄り道」が出来る。
長いダンジョンを乗り越えたら、村がある。回復したり装備を整えたりしたら特に用はない村。村人に話しかけて次の目的に関する情報を得ることもあるし、アイテムが隠れてるかもしれないが……その村人以外はいなくてもいい――でも、家に入ったり、他の人に話を聞いたりといった「寄り道」が出来るわけです。小説ではそういうのは出来ないというか、家に入ればそれもストーリーに取り込まれてしまうわけで。
このむらびとーく――たとえば「この村のイメージカラーは青なんだ」とかどうでもいい話を聞く。……でも、そう言われてみればこの村には青いものが多い……とかいう発見が、ゲームにはある訳です。他の村とかに青いアイテムとかあれば、「あの村の物産なのかも」とか、想像が広がったり。
話が進んで、「青い服を着たキャラ」が仲間に。そいつは家を長らく空けているそう――そういえばあの村に無人の、何もない家があったような――とか。そういう、明言はしないが「物語」を感じる要素――それをゲームとかマンガ、アニメでは仕込める訳です。コマとかカットの隅に「見つけたらちょっと嬉しくなる要素」を。分かる人には分かるというか。
小説の場合にも「そっと仕込む」ことは出来ますが、文章である以上、必ず見つかる――ゲームのような「見つける楽しみ」を仕込むのは難しい。少なくとも自分は思いつかない。なので――なので? なんかこういうのに憧れがある訳です。小説で出来ないかな、と――
他にも、ゲームだとアイテムとかに説明文、フレーバーがあります。そこにちょっと物語の裏設定を仕込んだりしてるゲームが好きです。どうでもいいこと、ブラックジョーク、そういう「ただの説明以外」のネタが仕込まれてるやつ。アイテム図鑑、モンスター図鑑とか、世界観を広げる要素をいろいろ仕込めるのがゲームのよいところ。小説でやるなら、完全な番外、設定資料集になる……。そっちは見たい人が見るもので……ゲーム内でなんとなく目に入る、みたいな「発見」がないのである……。
世界観の謎に関する伏線をちりばめる――加えていえば、それがゲームシステムとも繋がっている、というのが理想のゲーム、というか自分の書きたい、好きな異世界もの。システムと絡んでるゲームといえば、メインストーリーの幕間でメタ発言してると思えば、実はそれは……みたいなのが印象に残ってる。
最終的には作中で明らかになるとしても、散りばめた伏線から考察の余地を生む――そういう異世界ものを書きたい――それを実践した第一弾が「×剣伝説」。
では、具体的にどこがゲームしてるのか――の前に、RPGのほかに、謎解きというか、ギミックの謎を解きながらアクションで進めていくゲームとかも好きなので、そういうこともやりたいと試行錯誤した結果、ジャンル名をつけるなら「聖剣ぶん回しアクションRPG」――ぶん回してたのプロローグだけなんだよなぁ……。ぶん回す以外のギミックも思いつかなかったが、それはともかく――
まず、「×剣」の世界には時間経過でHPが回復するオートヒール機能がある。傷が癒える、体力が回復する。厳密にはレベルアップによりHPの最大値が増え、それに伴い全回復している――みたいなイメージ。息してるだけでレベルマックス。そんな……運営が想定していなかったプレイへの対策もちゃんとある。
ヒールの正体は空気中に含まれているとある成分で、取り込むだけで身体が元気になるが、代わりにだんだん記憶なりなんなりが失われていく。大けがしても全回復、しかし直前の記憶を失う――といったデメリットつき。
その成分は動植物にも含まれ、食べてるだけで経験値貯まる。しかし、体力自然回復な状況のため、だんだん食欲もなくなってくるものだから、ものを食べずにプレイ続行も可能になってくる。そうやって永遠に生きられるが、だんだんと失っていく。生きてるだけで消耗するから、息するだけでレベルマックスは不可能。世知辛い。
このオートヒールは「レベルアップ」にも関係している――上述のとは異なり――モンスターを倒すことで、その体内の成分が空気に流出、それを呼吸を通して取り込むことで、強くなる。レベルアップシステム。じか食べも可。
モンスターと戦えば戦闘経験が得られるわけだが、それでいきなり強くなる訳がない――が、この設定ならそれが可能。こんな感じで、ゲームシステムを物語の設定、世界観の一部に組み込んでいます。
他には――世の中には「こいつは四天王のなかでも最弱」って言葉がありますが、四天王というからには対等であるべき――四天王対等問題。ゲームの進行上、最初に戦う四天王Aと、終盤に戦うBとでは圧倒的なレベル差があるのは仕方ない。主人公たちも強くなっている訳で、AとBが同レベルだったら終盤のボスとして不適格。
これへの対策として――たとえば、同レベルなのだが、後半に行くにつれなんらかのデバフが強まり、主人公たちを弱体化する。――そのため、後半のボスBは強く感じられる。……というのが落としどころではないか。逆に、ボスサイドにバフがかかるでも可。ゲームだと若干ストレスありそうだが……レベル低いくせに!みたいな……物語的にはそういうフォローが可能。
で、とあるゲームから得た知見――四天王たちは共通のリソース(魔力とかそういうの)を持っていて、四分割で運用している。一人が倒れれば、そのリソースを三人で――最終的には、もともと四人で使っていたものを一人で使えるようになる訳で――「後半になるほど強くなる」と「四天王は対等」を両立させられる素晴らしいアイディア。四天王が一斉に襲ってこない理由付けも出来る。他のやつが倒れれば強くなれるわけですし。
この第二案を今回採用――した、のかな? 意識はしてるが、あんまりメインではない――実際には、第一案の改案が予定されている。
第一案には問題があって、四天王Aを倒したことで生じる悪影響が、なぜBとの戦闘でも起きるのか、その後も積み重なっていくのか……という。
――怪我とか呪いというかたちなら、デバフを物語に落とし込める。あるいは、仲間が倒されたことで四天王サイドがキレて、パワーアップした、とか……。その戦闘だけ参加する仲間の存在がバフになって勝てた、次はそうはいかないから強く感じる……いろいろ考えられました。
結果、採用されたのは――敵を倒すことで、その敵の持っている属性の呪いを受ける――「×剣伝説」のボスは魔女で、全部で9人いる。これらには七つの大罪をモチーフにした属性があって――+αして自分なりに分類したもの――たとえば「淫蕩」の魔女を倒すと、「淫蕩」のケガレが染み込む――上述のレベルアップシステムと同じ理屈で、その場にいたパーティー全員がその呪いを受ける。
呪いの効果は「むらむらする」程度ですが――メリットとして、「淫蕩」の魔女と同じ属性を持つ敵相手に有利になる――つまり、一度攻略したエリアの雑魚キャラにいちいちエンカウントすることがなくなる。ゲーム的な考え。
それから、この呪いは「フラグ」になっていて、他の魔女を引き付ける――魔女は誰から倒してもいいオープンワールド仕様――また、ケガレを持った状態で他の魔女と敵対すると、魔女の方にバフがかかる。共鳴とかするんでしょ、たぶん。
そしてこのケガレが2の状態で3人目の魔女と戦闘すると、魔女側に「聖数3の加護」がかかる――立ち塞がる3人目ということで、3つ目の試練ということで、強くなる。この3というのは魔女の人数と属性に関係していて、肉体に根差した大罪「色欲、怠惰、貪食」といった感じ。聖数3の二乗。
この大罪ネタ、強欲(なんでもほしい)と嫉妬(ひとのものがほしい)みたいに、ちょっと被ってる要素があるのだが……「物語の進行上、ここでボス戦いれたいが、どの魔女にしようか悩む」という状況で、「近しい要素を持つ属性の魔女を登場させる」というストーリー制作の道標にもなります。
また、このデバフですが、冒険の「難度」を上げる要素になる。
上述の通り、この世界観では飲み食いしなくても息してるだけで生きられるのだが、それでどんどん先に進めるのだが……デバフによって、たとえば怠惰なら「眠気」……休む必要性が生まれ、「貪食」なら食欲に悩まされ、食糧を調達する必要が出てくる。どんどん人間的になっていく――いいことなんだけども――
で、3こもデバフがかかれば、何かしら起こるでしょう。よく物語の途中でケンカして仲間割れみたいなシチュエーションがありますが、あれを合理的に発生させられる仕様にもなります。「憤怒」のケガレを受けたせいで怒りっぽくなり、「怠惰」のせいで面倒くさがりになった仲間と対立する……といったような。パーティー内での男女間トラブルも「色欲」のケガレなら発生させられます。
このようなシステムがあることで、物語のネタ作りもだいぶ楽になります。楽というか、「何をしてもいい自由があるが、何をすればいいか分からない」……そんな問題を見事解決。まあシステムづくりにめっちゃ頭つかったが。
そんなこんなで――物語の設定・ゲームシステムが、物語の謎・世界観にも絡み合っている――他にも、情景描写のなかに「村人の台詞」みたいな、世界観に関する要素を含んだり――今作はゲームっぽさを追求しております。
めっちゃがちがちに設定つくってます。作者がそうして厳しい反動か、お話は頭ゆるふわな感じです。ゆるふわなりすぎて、レリエフさんの動機の一つである「聖騎士の伝説」について書くのを忘れていたと気付く。重要なエピソードなのに……。二章に入れるか。お姫様を追ってどこぞに身を投げたナイトの話。
……話はそれるが、ソシャゲ的なものを小説でやりたいと思っていたり、実際にプレイはしてないくせにゲーム的なものをやりたい自分の前に、ちょうど今日、新しいコンテストの発表が。なんかこう、×剣こそまさにそれ……と一瞬思ったが、若干似て非なるものである様子。
これはこれでやってみたいと考えています。RPGというよりフリーのホラゲみたいなものを意図されてるのかもですが。それもそれで。上述のアクションしながら謎解きしていく……みたいなゲームを小説に落とし込めないか、そのリベンジになるかもです。