『アリーシャ・ヴェーバー、あるいは新井若葉と、歴史の終わり』について、いろいろ語っていくノート。本編はこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/16817330666308142925 さて、『災厄』との戦いの物語は一段落し、7,8章はヴィルヘルミーナ・ヨハン編となっています……というには、少し話が進んでしまいましたね。
さて、大いなる危機が去った代わりに、この先の未来が不確定になった世界。この先の未来は良いものになるのか、悪いものになるのか。アリーシャとリヒャルトにもまだまだ仕事が待ち構えています。
それから、片足を失ったヨハンと、ヴィルヘルミーナお嬢様の関係。この二人、果たして進展するのか?
さあ、どうなる?
というお話ですが、改稿前の旧版本編では、この側面はそこまでクローズアップされていませんでした。
なぜって? 難しいから!!!!!
表向きは平和な中で、各国や世界の動向を注視しながら、見えない未来に向けて進んでいかなければなりません。それは、災厄後の世界の安全保障だったり、アリーシャの出身階級だったり……上手な立ち回りが求められるでしょう。
そこには、物語に語られない様々な小さな物語があることと思いますが……力量の限られた作者としては、匂わせだけで終わらせたいところであります(笑)しかし、気にはなる。
もう一つの気になる事は、ヴィルヘルミーナです。
本作では悪役令嬢のアンチテーゼのような存在のヴィルヘルミーナですが(※)、だからって中途半端な幸せで妥協していていいわけではありません。理解者の立ち位置にはヨハンがいますが、中途半端な理解、中途半端な関係では、最高の幸せには届かなさそうに思えてしまいます。そして、白黒コンビに比べると地味な身分と外見のヨハン、こいつはちゃんといい男なのか。
そこも書かれていない行間に委ねるのは、ありっちゃあり。だけど、気にはなる。
この「気にはなる」部分を物語の形にまとめて、エブリスタ版では何本かのサイドストーリーとして、本編完結後に投稿していました。カクヨム版ではそれらのエピソードを、7,8章として本編に編入しています。
しかし、本編編入に当たってはけっこうな改稿が必要でした。
まず、6章から続く危機と解決のテンションが、ここで絶たれてしまっては面白くない。潜在的な危機の存在を、これまでのエピソードからの文脈を活かしながら物語に取り込んで行く必要がありました。
それから、ヴィルヘルミーナが一体何を考えているのか。改稿前も結構手を焼いたお嬢さんなのですが、今回もとことん手こずらせてくれました(笑)
そんな甲斐あって、8章ラストでは、ヴィルヘルミーナのより成長した姿をご覧に入れられると思います……たぶん。
こんな風に、本編の流れと絡みつつも、本作の最大のテーマである堅実系雑学オタク女・若葉の転生、そして人生からは少し距離を置いた物語となっているのが、この7,8章となっています。
そのため(サイド)と銘打たれており、また、イメージイラストもいつもと違うものになっています。一番下に掲載↓↓↓
その後は、またメインテーマがクローズアップされます。
ということで、ヴィルヘルミーナ・ヨハン編の結末、それからその先の物語、楽しんでいただければ嬉しいです。
※悪役令嬢について……最初は悪役令嬢っぽく出てくるけど悪役令嬢とは言えないヴィルヘルミーナですが、逆にエックハルトは妙に悪役令嬢っぽい、と作者の弁。