200万字も読んでしまったので、いったんレビュー書いた作品のことをまとめておく

 月末に一度、今月読ませていただいた作品のことや、レビューを書いたり★押した作品のことをつらつら書いておこうと思った──のだが。思いのほか読んでしまっていて、すでに200万字を越えているので、いったんここいらでまとめておこうと思う。レビュー書くときに表現やニュアンスを確認し直したりするのにめっちゃ見返しているから、純粋に読んだ量は200万字よりは少ないと思うけれど。

 自分のための覚書。人に読まれることを想定していないので、配慮が足りないところがあるかもしれないし、もともと大変な悪食で何でも好きなように読んでしまうので、誰のなんの役にも立てない。不幸にも目に入ってしまった方は、お目こぼしください。

 ただ、あれこれ、うだうだ考えるのが好きな人のチラシの裏の書き殴り。



■レビューを勝手に投げつけた作品

御剣ひかるさん作
クレイジー・キャンディ
https://kakuyomu.jp/works/16816410413983497191

摩天楼の翳
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882174206

 ひかるさんは、とにかく文章と構成、展開が上手い。ファンタジーweb小説のトップダウン方式、最高峰では? と昔から思っている。最近は書きやすくて、読者の反応を受けて柔軟に対応しやすいボトムアップが主流なのかもしれないけれど。やっぱり、トップダウンの方が全体をとおして見たときに美しいから好き。トップダウンは構造上どうしても遅筆にならざるをえないので、連載だと書く側はめちゃくちゃ大変だけれど。あの字数(長編)でこうだから、ひかるさんは学生時代、きっと完璧なレポ―トを書かれただろうな、っていつも勝手に想像している。自分はレポートは壊滅的だったから余計にそう思う。

 あと、単語の選択がいつでも的確で、文節内に過不足がないのもすごい。それでいて大事なところはたっぷりモノローグ入れてくれるので、しっかり感情移入もさせてくれる。最近大ヒットした鬼と闘うアレと同じ手法だ。しかも、そんなハイレベルな技術でつづるのはエンタメ小説なんだもん。本当にすごいのよ……

 テクニック的なものはもちろん尊敬申し上げているけれど、さらに好きなところは、登場人物のパーソナリティとかストーリー展開とか、そこここからにじみ出る善良さと、優しさ。好き。このご時世だからこその悪意のなさにほっとする。俗気にやられすぎて疲れたときは、いつもひかるさんの作品に帰ってしまう。ご本人に向けてもいつも「好き」と「すごい」しか言っていないから、気味悪がられているかもしれない。しかし、ストーカーとかではない。



@nyashinさん作
西洋の香り
https://kakuyomu.jp/works/16816927862143763930

「400字以内で『パン』を表現してください」企画参加作品。
ダイエット中なのに、パンの香りにつられてソッコー「やめだ」と決断する主人公の潔すぎる姿に胸をうたれた。そう、人って愚かで、だから愛しい……。



上野蒼良さん作
12時20分発 エルパソ行き~Flowerlin' The Blooming~
https://kakuyomu.jp/works/16816927860590056285

 骨太そうなあらすじに惹かれて。瑞々しい感性の一端に触れられて、とてもすがすがしい気持ちになった。ああいう世界観と展開はもう自分には思いつかない。年寄りくさい表現で嫌になるけれど、仕方ないね。事実中年だもの。カクヨムのようなところは、こういう、リアルではなかなか触れられない世界に簡単に触れられるのがいいところだね。ありがたい。

 ところで、★ひとつ投げって、あんまりよくない行為なんだそうで。本質的に意味があるとは思えない不文律は察しても乗れない社会不適合者なので、心の赴くままにやってしまったけれど、もしかしたらネガティブにとられてしまったかも。そういうつもりはないんだけどなあ……そんな目的のために、仕事でもないのにわざわざ文字は書かない。



鈴木彼方さん作
麗しの巫女姫 : Transcription Victims ; Season Ⅰ "Songs of Innocence"
https://kakuyomu.jp/works/16816927860309626948

 レビューを書くにあたって、大失態を犯した。ストーリーというか、設定を読み違えていたのよ。異世界転生・転移の定義を学んでから挑んだんだけど、予習が足りなかった。転移の定義が、自分の知る領域の「転移」という言葉の意味と違いすぎるんだ。たぶん今もよく分かっていない。申し訳ないかぎり。あと、レビュー内の単語の選択が適切でなかったり、言葉が足りないのもあって、作者さんに不快な思いをさせたかもなあ……と反省。

 夏目漱石と泉鏡花はどちらも文豪だけど、文体と構成は全然違う。だけどどっちが優れているとか、そういうことじゃない。どっちにも熱烈なファンがいる。実際、自分の知人には泉鏡花が大好きで、夏目漱石の文は無味乾燥で最後まで読めない、とまで言う人もいる。一般的にはどうしたって漱石の方が読みやすいと思うけれど。だからどっちもいい。そういうことを書きたかったけれど、言葉が足りなかった。

 どんな作品も、どんな文体も、みんなそれでいいんだと思う。時代や情勢によってニーズが変わるから、多くの人から支持を得られるかどうか、売れるかどうか、とかはそういうこととは直接関係ないし。だから、どうしても商業ラノベ作家になりたいわけじゃなければ、そのままで十分素敵ですよって、言いたかった。

 品質と売れるものに相関性がないのは、いつの時代のどの領域でもある普遍的な問題だもの。裕福な生まれで、食うのに困らないショーペンハウアーでさえも嘆いていた。しかし、有閑階級じゃない人間にとっては切実すぎる問題だ。



二譲夏輝さん作
ダイヤモンドの惑星
https://kakuyomu.jp/works/16816927862377780606

 プロの方かなあ? って思うけど。どうなんだろう。節操なしの悪食なんだけど、現代SFとホラーだけはあんまり買って読まない。ビビりだから。だからお名前は存じ上げないけれど、少なくとも一冊や二冊は世に本が出ていそうな感じがする。

 構成も展開も文体も、隙がない。やや速めにストーリーが展開していくのはイマドキっぽい。文調は硬質で淡々としているんだけど、話の中身がすごくやさしい。人間賛歌を感じた。こういう作風の方、好きだなあ。自分はトレンドとは別に己の嗜好に忠実なので、こういう作品を読ませていただけるとすごく嬉しい。


あ……長くなってきたから、★だけ押した作品のことと、何もしなかったけど印象に残っている作品は別にまとめよう。

2件のコメント

  • なんだかめっちゃほめられていて嬉しいやら、こそばゆいやら……。
    あ、完璧なレポートなんて書いたことないですよー(笑)。

    こちらで紹介されている作品で興味をひかれたのを読みに行きたいと思います。

    わたしもへいさん、好きですよー♪
  • ひかるさん

    こんなところまで覗いていただいて、ありがとうございます! でも恥ずかしい…

    いやいや、ひかるさんのレポートは絶対的すごいですよ。

    好き!!!(懲りてない)
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