前回、前々回のつづき。自分のための覚書。人に読まれることを想定していないので、やはり配慮が足りないところがあるかもしれない。
人に読まれることを考えないで書く文章など、無意味だという人もいるかもしれない。リアルで言われたことがある。しかし、言語には外言という性質のほかに内言という性質もあってだな……。なんでも分析したり、まとめておかないと気が済まない性質の人間もいるのだ。
とにかく、ただのチラシの裏の殴り書きなので、誰の何の役にも立たない。人を貶めたり、嫌な感情を与える意図は一切ない。ないけど、やってしまうかもしれない。受け取り方もその方の自由だもの。その場合は本当に申し訳ない。
■追っかけ中でまだ応援だけの作品
すでおにさん作
忘れものおくりびと―盆之胡瓜の道草―
https://kakuyomu.jp/works/1177354054913200591 心残りがあって成仏できない人から話を聞き、「未練のもと」になっている対象者に贈りものを届けてくれる盆之胡瓜さんのお話。
やさしい世界が淡々とした文章でつづられている。このギャップもいいんだけど、自分は感傷的な人間なので、もっと、コッテコテに「泣かせてやる」もしくは「感動させてやる」ぐらいの勢いでごっそりモノローグ入っていたり、描写が入っていてもいいなあと思う。このぐらいの展開速度の方が今風かもしれないけれど。
ぼ ん の き ゅ う り
このネーミングセンスの良さったら、もう……ね。素敵。
4月末時点で7話、4エピソードが掲載されている。どうなんだろう、中盤くらいなのかな。
胡瓜さんの正体や素性がすごく気になっているんだけど、最終話までにそれが明かされるんだろうか。楽しみだ。
林柏和さん作
鞍馬のゆきみち
https://kakuyomu.jp/works/16816927862075692318 美しい。それに尽きる。
作者さんが「雪の降る景色が大好き」と書かれているだけあって、雪の結晶のように繊細ではかない文章と表現。
読み進めていくうちに出てくる違和感の大半は、伏線だったのだなあと結末を読んで気づいた。わりと早い段階でぽーんと種明かしされているのに、初見で気づかなかったのは、主人公の葛藤に引き込まれすぎていたからだと思う。お見事。
ストーリーの構造が重層的で、さまざまな味わい方ができるのもすごくいい。群像劇だと読む方も書く方も覚悟しなきゃならないけれど、主人公はあくまでもひとりで、複層になっているくらいだと読む方は疲れないし満足度が高い。おしゃれなやり方でいいな。
舞台設定が京都とニューヨーク(アメリカ)という対称的な街なのも、主人公の心理を表現するのにぴったりだった。街に縁のある人なら、その方面からもすごく楽しめると思う。
もしかすると、こちらの作者さんは母語が日本語ではないかもしれない、と思う。アメリカ育ちの雅斗はそういう設定なのだとしても、全体的に会話文の接続助詞などに少し違和感があった。あと、日本語ではあまり使わない単語も見られる。もちろん、重箱の隅をつつくようなことをしたいのではない。母語が日本語にも関わらず、満足にあやつることもできないうえに誤字脱字大魔王の自分としては、「まじか。すごいな……」ということだし、地の文の美しさの秘訣のひとつかもしれない、と思ったのだ。生まれ育った国でない場所で生きる存在の淡さの感覚というか、アイデンティティの揺らぎがリアルに表現されていたのもなるほど、と勉強させられた。
WEB小説じゃないと読ませていただけないような作品だと思う。出会えて良かった。
3月31日に第二話まで投稿されて以来、更新がなかったのでのんびり待つつもりが、4月22日に最終話まで一挙公開されてびっくりした。しっかり最後まで読ませてもらって、結局レビューを投げつけてからここに書いているので、こちらはレビュー投げ付け済み作品。
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今月の読書は数値上は260万字、109作品。
レビューは7作品、★投げ付けは3作品。109作品中10作品だから、意外と少ないのだな。
来月はもうちょっとのんびりやりたい。夢中になりすぎた。
ひかるさんのところにいって癒されてこよう。