• 異世界ファンタジー

『私は世界を救えない』サブキャラ語る会~アイーダ編~

※本編のネタバレ全開でお送りいたします
※自分で考察したい方にはおすすめしません

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https://kakuyomu.jp/works/1177354055503800437


コンセプトは「有能秘書」。
冷徹で仕事一筋のバリバリキャリアウーマン。会話は事務的なやり取りのみで、機械的な冷たさを感じさせる女性。仕事は迅速かつ丁寧で、過酷な労働環境でも表情一つ変えない鉄人。
実は記憶が1日しか持たないという重篤な障害を背負っていますが、周囲にそれを感じさせないように振る舞っています。

キーワードは「喪失」「無表情」。
毎日記憶を失っていくということは、嬉しいことがあっても悲しいことがあってもすべて忘れてしまうということです。どんなにいい人に出会って親しくなっても、1日経てばその関係性はリセットされてしまう。

だからこそ、他人とあまり親しくならないよう距離を取り、無表情を決め込む。「無感情」ではなく「無表情」です。表に出さないだけで、何も感じていないわけではありません。忘れたと思っていても、感情の残滓のようなものは無意識下に蓄積されていきます。

アイーダはソルヴェイの代わりに<ウェスタン・ギャング>にスカウトされ、やべー薬を製造したり人の殺し方を叩き込まれたりします。都合の悪いことはすぐ忘れてくれるので、ギャング側も大助かり。めちゃくちゃ利用されてしまいます。
人を苦しめることばかりさせられてきた彼女は、その傷痕を残したまま<勇者協会>へ逃亡。ガマガエル支部長のもとで冷徹な仕事マシンとして日々を送ります。

が、そこに現れた新支部長&副支部長。
真面目というだけで西方支部ではかなりレアな特性を持つファースには仕事上の信頼を置き、毎日律儀に自己紹介をしてくれるエステルに鉄の無表情がほだされていきます。
しかし、どんなに信頼できる人がいても、どんなに嬉しい思い出ができても、絶対に記憶から消えてしまうという宿命を背負っている。

「クイーン」時代に製作した無差別薬物散布マシン(仮)も、当時精神的に追い詰められているときに考案したものですが、ヨアシュの術でそのときの記憶が蘇り、虚無感と喪失感に苛まれてしまいます。得たものが大きいほど喪失のダメージは大きくなるだけ。もはや絶望。

そんな彼女を救ったのが、元保護者のソルヴェイ様。2人で過ごした時間は記憶として思い出せなくても、奥底に残っている「何か」をアイーダは認識します。デジャブに近い感覚かもしれません。

さらにさらに、大天使エステル様。褒め上手な彼女はアイーダのいいところを事細かなエピソードつきで全部喋ってくれます。今まで事務的な記録しか残していなかったアイーダは、ここで初めて私的な記録を手に入れます。

今まで失うばかりだったアイーダですが、この「お褒め手帳」によって毎日新鮮な気持ちでポジティブな記憶を再体験することができるようになったのです。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

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