• 異世界ファンタジー

『私は世界を救えない』メインキャラ語る会~ロゼール編~

※本編のネタバレ全開でお送りいたします
※自分で考察したい方にはおすすめしません

↓作品はこちら↓
https://kakuyomu.jp/works/1177354055503800437


コンセプトは「可愛がりたいお姉さん」。
ハーフエルフということで、大半の人間が年下。もちろんパーティ最年長。そんな人生の後輩たちを可愛がってくれる美人のお姉さんです。可愛がり方が狂ってますが。
かなり気まぐれでルーズな性格なので、しょっちゅう周囲を振り回して遊んでいる困ったさんです。

キーワードは「愛」「空虚」。
博愛主義者、といえば聞こえはいいですが、彼女が愛してるのは人間の本性です。
弱味だったり、汚い欲望だったり、苦しみだったり、狂気だったり……それを暴くためにはどんな手段も厭わないという快楽犯。
人の痛いところを突くのが並外れて上手いですが、その人を攻撃したいのではなく、そういうところを愛したいからやっているのです。

しかし、初めから裏表もなんもない素直さマックスのエステルには勝てません! なぜなら無理に暴くところがないからです。
エステルを悲しませる方法などいくらでもありますが、やったとしても彼女は滅多にへこたれません。何をやっても無駄だと察知してしまったから、即降参したのです。潔し。

なぜこんな歪んだ愛を持っているかといえば、ロゼール自身も自覚しているところですが、「空虚感」ゆえです。
家族も故郷もなく、慕っていた貴族のご主人夫妻も亡くし、ずっと守ってきた奥方の亡骸も失い、彼女には何もなくなってしまった。
そんな虚しさを埋めたいがために人を愛したいのだし、喪失を再現するかのように他人を精神的に破壊しようとします。
わざと人を怒らせて自分を攻撃させるのなんて、遠回しな自傷行為ですね。
中身が空洞だからこそ、他人の内面をそのまま飲み込み、鏡のように映し出す。人を見抜く才はここから来ています。

マリオのことが嫌いなのもこれです。彼も感情が麻痺している、中身が空虚な人間。要するに同族嫌悪です。
ただ、マリオはそのことをわかっていながら対処しようとしません。彼は自分の感情が戻ることは永遠にないと思っています。そういうところが、ロゼールは気に入らないのです。

でも裏を返せば、味方にするとこれ以上頼もしい人はいません。どうやって関係をぶち壊すかを知っているということは、どうやって保持するかもわかるということです。
<ゼータ>の要はエステルで、その人柄がメンバーたちを繋ぎとめているということをよく理解しており、リーダーへの良きアドバイザーにもなっていきます。他のメンバーの問題点も把握しているため、時には年長者として諫めてやることも(スレインとかスレインとか)。

が、どこまで行ってもロゼールは気まぐれ人間です。彼女の気分1つで誰かをターゲットにし、おもちゃにしてしまうリスクは常について回ります。そのときにエステルが止めることはできるのか……。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
このコメント欄でもツイッターでもいいので、皆様もうちのキャラたちのことを語っていただけたら作者は狂喜乱舞します。

6件のコメント

  • 「愛」と「空虚」。
    それってすなわち崇拝する対象として、うってつけの存在、つまりは神ということではありませんこと?(暴論)

    人の「本性」を「愛している」。「好き」なのではなく愛しているというのは深いですね。
    愛が必ずしも温かく良いものとは限りませんからね。愛するためには痛みを伴い、その痛みを受け入れる必要がある。人の痛み(本来、忌むべき部分)を含めて愛していると。なかなかそんな変態(褒め言葉)はいませんね。
    そして、226年生きた結果が「空虚」であるというのも興味深い。常識的な年齢、せいぜい90〜100くらいまで生きると普通は知見が深まり、若者よりその蓄積は多いものです。しかし、常識では測れないほど生きると「空虚」が訪れるということなのかもしれません。それはすなわち悟りに近い。つまり、仏ということですね。ほら、崇拝する対象です。

    また、226年という歳月だけではなく、その間に経験したこと、出会った人との関係で形成されたであろう人格までしっかりと描いているというところに五味九曜さんのキャラクターに対する「愛」を感じずにはいられません。
    そういう意味では、ロゼール様は五味九曜さんの一部であり切り離された分身なのかもしれませんね。
    これだけ愛されるキャラクターを数多く生み出せる五味九曜さん自身が愛されるキャラクターなのだと思います。

    そして、226年生きても出会うことがなかった(?)タイプの人間であるエティっていったい……。
    あれ? ロゼール様への熱い思いをぶちまけるつもりが、最後はエティを褒める流れになってしまった。さすが主人公ですね!
  • さすが信者ですね!!(褒め言葉)

    「愛」と「好き」が違うというのは興味深いですな。確かにロゼールさんは人の痛いところが特に好きですね。上っ面はいくらでも繕えるし(元ご主人が貴族だから傍でそういう上辺の世界を見てきたのかな)、良い部分だけ見てもつまらんのでしょう。

    空虚感。長生きしてるだけ失ったもののほうが多い、という認識なのかもしれませんね。本編ではさらっと言ったように見えますが(見えました?)、奥様のご遺体を持ってかれたのは彼女にとってとてつもない喪失体験です。生きる理由を失うレベル。確かに悟ってる感ありますが、根っこのところでは寂しがっているのかもしれません。やたらエステルたんにべたべたするし。てぇてぇ……。

    そしてなんか私までモテカワ愛されガールみたいに言っていただいて……うひゃあ照れちゃうわん!
    私ぶっちゃけ「これ自分にそっくりだな」っていうキャラつくらないんですが、微妙に似てる要素はあるかもしれんです。「人間の汚いところが好き」っていうのはロゼールさんと私の共通点です(性格悪い)。

    まあ結局は主人公最強なんですよねー(´∀`)ハハハ
    神仏の上にいるエティっていったい……。

    冗談で言ったレポートをほんとにこんなたくさん書いてくださってありがとうございました。今後ともお付き合いくださいませ。<(_ _)>
  •  人間の本性とは、表皮を剥がし、肉をめくって、晒された髄のなかにある。
     ロゼール様が作者様のおっしゃる通り自らの『空虚感』によって人の本性を探しているのだとすれば、別の方への返信の通り『寂しさ』のようなものがそこそこ強いウェイトを占めるキャラクター像なのかもしれないと勝手に一人で萌えていましたわ。
     道行きすれ違う平静に振る舞った誰しもは、良かれ悪しかれ自分のなかにはない熱のある何かを胸に抱えているのだろう。奥様の死体を持って行かれて呆然としていたくらいのとき、辺りを行き交う人々がその本性をひた隠して歩いているのがとても不思議で、勿体なく思えて、ちょっかいをかけて不器用に晒し上げてみたところ、ものすごい剣幕で反感を買ってしまった。露になった他人の鮮やかな熱量に衝撃を受け、人間の本性を抉ることの魅力とその罪深さに気付いた彼女が、技巧と観察眼を極め、作中のようなキャラクターへの道を辿っていったのではないかと妄想が止まりませんわ。人間の汚いところが好きというか、平静ではない人間の本性が発露する、喜びだったり、悲しみだったり、怒りだったり、憎しみだったりといった熱量こそがロゼール様を魅了してしまったのではないかしらと思いましたわ。
     そういう点で、エステルお嬢様は何も隠さず生身の本気で悩み、悲しみ、怒り、想っているわけですから、ロゼール様的にもこんなに何をするまでもなくストレートで魅力的な人間はいませんわとなったのですわね。
     このような素晴らしいキャラクターを創造された作者様には頭が上がりませんわ。少し文字数が少ないかもしれませんが、わたくし程度の新参お嬢様には語彙力も文章力もありませんわ。お許し遊ばせ、おやすみなさい。
  • >Aiinegruthさん

    この熱量……もはやあなたも立派なロゼール党員ですわ!!

    「道行きすれ違う~」の下り、なんだか都会的な侘しさって感じでロゼールさんと雰囲気が合いますね。ぶっ壊すの大好き病は元ご主人様(旦那様のほう)の影響ではありますが、何もかも失って帝都に出てきたロゼールさんは、都会の情景をそんなふうに眺めていたのかもしれません。都会的な、人が多いからこその孤独感は絶妙にマッチします。そういうシーン入れたい(*´ω`*)

    表皮を剥がした平静ではない本性、確かに汚さばかりではありませんね。人を怒らせる=本気にさせることが好きなので、気持ちを込める対象を失ったロゼールさんは、自分と違って何かに本気になっている人を見たいのかもしれません。

    そしてなぜかお嬢様扱いされているエステル(ハーブが生えましたわ)。気に入った理由は本当に仰る通りでございましてよ。
    本編でも触れましたが兄のエリックとも面識があります。エリックも似たようなストレートさがありますが、エステルは彼と違って戦う才能も特技もありません。そんな劣等感を抱えつつもひたむきに頑張る彼女がロゼールさんは大好きなんだと思います。てぇてぇ。

    こんな夜中にありがたい長文を頂いて、感謝してもしきれません。あなたはもう一人前の文章力つよつよお嬢様。そちらの活動も応援いたしますわ!
  •  「愛」、「空虚」、それでいて「高貴」……。そんなロゼール様は、「空っぽのグラス」と喩えることが出来よう。それも、ただのグラスではない。例えばバ○ラとか、例えばティ○ァニーとか、例えばイッ○ラとか。高級な、ブランド物のグラスである。
     突然だが、空っぽのグラスにシャンパンを注いだのを想像してほしい。そして、そのシャンパンを呷る。するとどうか。当然、口の中にはシャンパンの味がするだろう。何の話なんだ一体、と思ったかもしれないが、これこそが、ロゼール様の慧眼の本質であろう。
     我々は多かれ少なかれ、みな「我」と言うものを持っている。それを心の容器に注がれた飲み物、と例えよう。この「我」、つまり飲み物が入っていると、我々は他者を完全には理解することが出来ない。元々紅茶が入っていれば、紅茶と混ざった飲み物になってしまうし、ウィスキーが入っていれば、ウィスキーが混じった飲み物になってしまう。相手、例えばコーラという味を、完全に理解することは出来ないのである。
     しかし、我らがロゼール様は違う。空っぽのグラスに何を入れても、それは何の混じり気もないドリンクとして飲むことが出来る。相手の完全な理解に繋がるのだ。この、完全な理解というものは、案外難しい……否、我々にはまず無理だろう。完全に自分を空っぽにする、なんてほとんど誰も出来やしないのである。ロゼール様がここに至ったのは、想像を絶する喪失体験……人の倍以上生きるハーフエルフの、何もかもを失ってしまった「虚しさ」が故なのだ。ロゼール様の慧眼は、この「虚しさ」によるものだと考えると、彼女が失ってきたものの重み……流れてきた時間の重み、それらが感じられよう。

     しかし、いくら空っぽであることがメリットとして働いているとは言え、グラスは飲み物が入って初めて機能するものだろう。当然、その容れ物を充たしたい、充たされたいと思うものだ。これこそ、ロゼール様の求める「愛」なのではないか。では、なぜあのような精神攻撃全振りお姉さんになってしまったのか。
     まず、「わざと怒らせる、攻撃されるような発言をする」ことについては、それも一つの繋がりであり、一種の関心であるから、と言えよう。これは、意外と、現実世界でも見られるようなことだろう。例として出すのに憚られるようなものだが、子どもの癇癪、愛されていないと感じた時にしてしまう浮気などを想像して頂くと分かりやすい。このような、「親に怒られること」だったり「恋人にキレられること」であったりは、「自分が大事にされているかチェック」として為されることも多々ある。勿論、ロゼール様が初対面の相手に対し「大事にされているかチェック」を行っているかと聞かれたら、それはやや違うだろう。しかし、寂しい、関心を持ってほしい、繋がりを持ちたい……そうどこかで思っている、可愛らしい「可愛がりたいお姉さん」なのだ、ロゼール様は。また、創造主五味九曜様は、彼女の精神的攻撃性を「遠回しな自傷行為」と宣っていたが、この表現を借りるとするなら、他者に怒られることで「痛みをグラスに注いでいる」とも言えよう。
     最後に、人の本質・本性、痛いところを愛する点について言及したい。これは正に、『『結婚』』する時に必要なマインドではないだろうか。美人な妻、滅茶苦茶気の利く夫。しかし、結婚して三年も経てば気が抜け、五年も経てば容姿は見慣れ、十年も経てば不満はいくつも顕れるだろう。好きなところとは飽きるものであり、良いところというのは慣れるものであり、そして例え飽きずとも慣れずとも、美点を維持するのは難しいものだ。結婚で大事なのは、「絶対ムリ!」に抵触しないこと、「これだけはダメ!」という価値観が一致することだろう。さて、ロゼール様に話を戻そう。彼女がやっていること……そして、本質から愛するということは、この「絶対ムリ!」すらをも受け容れる、ということではないのか。彼女が暴いている痛いところというのは、つまりは欠点であり、許容し難いものだ。それをも受け容れ愛する、ということは、最早結婚や親友のような、若しくはそれを超えた、覚悟や絆が必要だ。喪失体験からの攻撃性だけではなく、むしろその反対のベクトルである「真の繋がりへの切望」も潜在的にあるのかもしれない。
  • >九十九お嬢様

    しゅげえええええええ!!! ありがとうございます!! これはまるでロゼール様が雑誌で紹介されたときの文章!! ロゼール様のお美しい写真をバックにこの文章載せたい!!

    そうですー容器という喩えはまさにそれ!!(ブランドわかんにゃいですけど)
    中が空洞だからこそ、相手をそのまま受け入れることができます。このへんは『老子』から着想を得ている気がします。器とは中が空洞だからこそ役割を果たせるのだ、みたいな(うろ覚え)。ある意味虚心坦懐の境地。超然的な雰囲気はそういうところから来ているのかなと思います。

    ロゼールさんにタゲられてしまった人たちは、彼女に怒りを向けているようで、彼女によって映し出された自分自身を見せつけられて怒っているわけです。人が他人を嫌悪するとき、自分と似ている部分(特に嫌なところ)があるから嫌うという話もありますね。あれのレベルアップ版です。自分の醜い姿を映した鏡を割りたくなるのです。
    そんなロゼールさん自身も、マリオくんのことを同族嫌悪しているという皮肉。たぶん彼女はそのことを自嘲的に自覚していると思います。

    試し行為としての精神攻撃、という発想は新しいーっ!! さすが九十九お嬢様、だてにばぶってませんわ!
    「痛みをグラスに注いでいる」ってすげぇ良い表現ですね。表現力あんぽんたんの私見習いたい。
    好きの反対は無関心ともいいますが、ロゼールさんは無よりは痛みを入れたいのでしょう。普通に初対面の人と接すると、初対面ならではの建前みたいなのがすぐに透けて見えてしまって、結局「無」になってしまうから、痛みを欲しているのかもしれません。
    「自分が大事にされているかチェック」というよりは、「この人は何かを大事にできる人間らしさを持っているかチェック」のほうが近そうですね。彼女はきっとそういう人と繋がりを持ちたいんだと思います。

    そしてまさか結婚というものにまで話が広がるとは……視野の広さに頭が下がるばかりですわん。そうか好きは飽きるのかー(恋愛経験ごみくず)。
    「絶対ムリ!」というのもやっぱりその人の価値観というかこだわりに由来するのかな。好きも嫌いも「本気」っていうのがロゼールさんが惹かれる要素なのかもしれません。
    それで自分に本気になってくれるような「真の繋がり」を求めた結果、エステルというこの上ない人物に出会えたのでしょうな。うわぁ、良かったな~。

    こんな夜中までお付き合いくださり、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。<(_ _)>
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