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ハッカー文化と共産主義

昔、仕事の関係で、ハッカーの人たちと話をしたことがある。

もちろん、ハッカーは「私、ハッカーです」なんて言わないので、彼や彼女らが本当にハッカーかどうかはわからないんだけど、話を聞いていると、やってることは完璧にハッカー。

で、いろんな話を聞いているうちに、面白いことに気がついた。企業のサーバーに勝手に入ったり、部外秘のファイルをコピーしたり、プロダクトキーを盗み出してソフトの違法コピーを作ったり……と、まあ、悪いことをたくさんやっているんだけど、そういう話の端々に、共通する考え方みたいなものが溢れ出ているのが面白かった。

どんな考え方か、というと、「情報はみんなのもの、誰も独り占めできない」とでも言えばいいかな……カッコよく言えば、人間にはあらゆる情報を知る権利がある、というような考え方。

例えれば、原始共産制みたいな感じかな。みんなで獲った食料は誰のものでもなく皆んなのもの。みんなでシェアしよう。情報もアイディアもソフトウェアのソースコードも同じく、誰のものでもない、みんなでシェアすればいい。

誰か力のある者が食料を独り占めし始めると、貧富の差が出来、権力が生まれ、強者が弱者を支配する現代の世の中になる。「食料」という言葉を「情報」に入れ替えたのが、今のネットの世界じゃないかな。

話はズレたけど、僕は「0010110〜は逃げた」の中に、昔のハッカーたちが心の奥に抱いていた、情報共産主義的な思想を滲ませたかった。少なくとも書き始めた時は。

だけど、途中からそんなことどうでもよくなってしまった。僕が知っているハッカーの何人かを、作中に登場させるのが精一杯だった。

2件のコメント

  • ハッカー共産主義点……恐ろしいですね。
    誰かが作ったアイデアや、大切な人も、みんなのものだから盗っても良いんでしょうかね。怖いです。
  • そうですね。大切な人もみんなのもの、だから盗っていい、となると、愛も人権もない恐ろしい世界が出来上がりますね。同感です。
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