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子宮の中が空洞のように、バブル時代も空洞だった

僕はバブル期を経験した世代。あの頃、月給12万円だったけど、23万円するエトロのバッグを持って仕事に行ってた。

狂ってた。

会社は大きくなるもの、給料は上がるもの、と誰もが思ってたから、分割払いでどれだけ買っても気は楽だった。

女の子と最初に寝るときは、1泊5万円以上するシティホテルが当然だった。そうじゃないと、女の子の自尊心が傷つき、可哀想だった。援交とかじゃなく普通の女の子がそう。

クリスマスの24日、25日、六本木プリンスホテル(今はない)の部屋はカップルで満杯になった。夜になると一斉に始めるので、ホテルのビルが揺れ、それを感知した気象庁の地震センサーが、「局地的緊急地震警報」を港区内に出した。

狂った時代だった。中身のない空洞の時代だった。けど、もっと上にもっと上に、という夢だけはあった。

足が宙に浮いた、不安混じりの不思議な快楽があった。

捉えどころのないその時代の空気を、なんとか文章に封じ込めようとして書いた短編がある。近々それを投稿しようと思っている。

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