昨日の深夜、危ない橋を渡りました。夢ではなくリアルに。
ガラガラと崩れゆく崖っぷちの一本道を直走り、間一髪、何とか先に辿り着いている者たちに合流して今に至ります。
滑り込みで、新作のご当地小説『朱鳥の鳴くころ』を公開しました。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556710993716お馴染みの奈良を舞台にした『現代ドラマ』。はじめてのジャンルです。
と言っても、見立て遊びを盛り込んだマジックリアリズムゆえ、幻想小説に思えるかもしれません。読む方によってはファンタジーで鹿ないかも。
登場する事物は実際に奈良にあるものばかり。それも、まあまあ細部まで。
今回は奈良の大仏建立に携わった中心人物、行基菩薩を題材にしています。飛鳥〜奈良時代にかけてご活躍された僧侶で、飛鳥寺、そして薬師寺で学び、月の半分は山林で修行されたそうです。
タイトルの朱鳥(しゅちょう、あかみとり)は飛鳥時代の元号の一つ。
これは大仏建立の時代ではなく、もっと初期の、異端者とされ弾圧を受けながらも草の根活動を続けた行基さんに注目していることを暗に仄めかしています。時間的な座標はさておき。
また朱鳥(あけみとり)という手拭い屋さんが現在の奈良に存在します。もちろん奈良のモチーフが刷られていて、私が持っている阿修羅のは色合いが何とも渋くて格好いい。
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さて、今回のチキンレースみたいな執筆に至ったきっかけは、先週末に実施された奈良の若草山の山焼きです。今年から再開とのこと。
その前座とも言える鹿せんべい飛ばし大会(鹿たちはちゃんと麓で控えて待っている)のことを思い出したり、一度くらい肉眼で見ておこうか、なんて考えている間に雪が降り出して結局断念しました。
はい、見ませんでした。
なんせ私は所謂『奈良』の住人ではないですから、遠くの山から若草山を眺めようと企んでいました。でも寒いは怖い。そういうわけでどのみち極寒なら自室の方がまだ雪も風も浴びずに済むと引きこもっておりました。
まあ視覚で捉えなければ頭の中で好き勝手に想像が広がりますから、『奈良』の界隈について、宙に浮かせてあったパズルのピースがぽこぽことはまり出しちゃったんですよね。で、先日の開放感もあって、サクッと形にしたくなった次第です。
と言っても下記2作の要素も一旦バラバラにして再構成して盛り込んでいます。レゴブロックの城を壊して恐竜創るみたいな。どっかで見たことあるシーンも、本作仕様に仕上げておりますので、どうかご容赦ください。
・妖し狸の神隠し
https://kakuyomu.jp/works/1177354054951868757・異都奈良の琥珀食堂
https://kakuyomu.jp/works/16816410413893461604 ☆
随分と長くなってしまいましたが、このままだとタイトル詐欺になってしまう。
実はパズルのピースがぽこぽこしている間に、Twitterでmiccoさんのご当地小説が流れてきたんですね。これまたタイムリー!
山形を舞台に繰り広げられる聖戦のお話で、控えめに言って続編読みたい。
めっちゃ面白いです。
実は昨年山形を少し彷徨いたし、もっと遡れば学生時代の先輩(高知県出身)が何故か趣味で山形弁を勉強していて、流れで教えてもらったワンフレーズを今だに覚えている。
「すんまこそらねでこちゃこい(そんな隅っこに居ないで、こっちへ来いよ)」
冒頭の『すん』の部分は、確か低いところで掬い上げるような感じの発音だったはず。
あってるのかな。
もっと言えば同じく学生時代に、結構山奥の川縁に大鍋持っていって、山形の真似をしてワイワイ芋煮会をやってたんですよね。一番張り切ってるおじいちゃん先生を皆で囲ったりして。さっきの山形弁が登場してもおかしくないシチュエーションながら、実践の機会は訪れなかった。けれど、里芋好きの私は大満足でした。
「あんなあ、山形では河原で芋煮会っちゅうのをやんねんけどなあ」
「へえ、そら我々もやらなあきませんねえ」
そんな感じで私の記憶の断片を幾つも掘り起こし、創作熱の火に油を注いでくれた短編小説がこちらです。
・大乱闘 〜芋煮戦線、本日快晴〜(作者:miccoさん)
https://kakuyomu.jp/works/16817330651371922792作中でも火に油を注ぎまくってますからね。
なんかもう凄い出会いでした。
これで大体の方がお腹いっぱいになっただろうと思いますが、それでもなお私の『奈良』へ足を伸ばそうとしている方が居られたら、くれぐれも、お気をつけて。